精神不安定な従業員が故意に社内設備を破損した際の処分について
いつもお世話になっております。
さて、今回精神状態が不安定な従業員(通院歴なし、本人とのヒアリングで情緒不安定と自身で話しており、カウンセラーへの相談依頼あり)が、勤務職場の設備を故意に破損し、大きな損害(1.5日間2台の設備稼働できず)が出ています。
本人になぜそのようなことをしたのか確認したところ、「イライラしていてついやってしまった」「プライベートで悩みがあり、そのことを考えるとイライラしてやってしまった」と回答しています。
現時点で損害賠償請求することは考えていないものの、行為自体は重大であると判断しており、社内の賞罰委員会にて何らかの懲戒処分をと考えています。
ただ、故意とはいえ精神状態が不安定な状態であった場合、処罰を軽減する(もしくは責任を問えないと判断し処分なし)ことも考えられるのではないかという意見もあり、こういった場合の処分をどうしたらよいか悩んでおります。
当該従業員には、社内で定期的に実施しているカウンセリングに参加するよう促し、了承を得てチカジカ行う予定となっています。
いろいろと配慮する部分もありますが、周りの従業員も知ってしまっているので、どのように対処すべきか、ご教授願います。
投稿日:2025/09/05 18:08 ID:QA-0157848
- k-12jinjiさん
- 石川県/機械(企業規模 501~1000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
1.まずは、病院に行って、診断書を提出してもらうことです。
あるいは、産業医がいれば、産業医の診断を受診させてください。
2.私傷病であれば、病気だからという理由で処罰はできませんが、
勤務職場の設備を故意に破損し、大きな損害(1.5日間2台の設備稼働できず)を
出したという、行為に対する処罰は特に軽減する必要はありません。
投稿日:2025/09/05 19:08 ID:QA-0157856
相談者より
回答ありがとうござます。
処分は過去の事例も鑑み、賞罰委員会で判断します。当該従業員には、心療内科等の専門医を受診するよう促します。
投稿日:2025/09/09 09:06 ID:QA-0157937大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1. 法的整理のポイント
故意の設備破損は懲戒対象となり得る
会社の財産を毀損し業務に重大な支障を与えたため、懲戒事由(職場秩序違反、業務妨害等)に該当。
損害賠償請求の有無とは別に、懲戒処分を行うこと自体は可能。
精神状態の影響
刑法上は心神喪失等で責任能力が問われない場合がありますが、労務管理上は「責任を一切問えない」わけではありません。
精神的不安定さは「処分量定を決める際の考慮要素」になり得る。
例:解雇ではなく戒告・減給等にとどめる、指導と再発防止措置を優先する、など。
懲戒処分の有効性判断基準
就業規則に該当条項があるか(「故意に会社財産を損壊した場合」等)
行為の重大性(損害額・影響度)
本人の責任能力・事情(精神状態)
社内秩序維持の必要性(他社員への影響)
2. 実務上の対応方針
(1) 処分の基本スタンス
故意の設備破壊は重大行為 → 処分なしでは不公平感や秩序維持の観点で問題。
ただし「精神不安定」という事情を踏まえ、処分の程度を調整するのが妥当。
例:
戒告または譴責:まずは行為の重大性を明示的に指摘する。
減給処分:損害の一部を金銭的に反映させる(ただし労基法の制限あり:1回の減給は平均賃金の1日分の半額以内、総額は賃金総額の10%まで)。
停職処分:再発防止や本人の心身安定のため、一定期間休養させる趣旨で行う場合も。
※いきなり懲戒解雇とするのは、精神的要素や初発であることを考えると、裁判で争われた場合に無効と判断されるリスクが高いです。
(2) 再発防止とケア
カウンセリング受診の促進(既に合意済み)
医師の受診や産業医面談の機会提供
業務負荷や配置転換の検討(再発リスク軽減)
社内周知は最小限に留めつつ、関係部署には「再発防止に取り組んでいる」ことを伝える
(3) 社内説明・公平性
他社員が知っている場合、処分なしは「不公平感」につながる。
「本人に改善指導とあわせて相応の処分を行った」と公式に説明できる形が望ましい。
「心身の事情を踏まえて処分内容を軽減した」ことも説明可能にしておくと、理解を得やすい。
3. まとめ
懲戒処分自体は可能(故意の破損は重大)
精神状態は処分の軽減要素になるが、免責の理由にはならない
実務上は「戒告・減給・停職」など比較的軽い処分とし、あわせてカウンセリング・受診を促すのがバランス的に妥当
他社員への説明責任を果たすため、処分は「ゼロにはしない」方が望ましい。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/09/05 19:30 ID:QA-0157863
相談者より
回答ありがとうございます。
詳細にご回答いただき、大変参考になりました。
既に他の従業員も事象を知っているため、処分ゼロとならないよう進めます。
また、当該従業員としっかり話をし、専門医への通院を促します。
投稿日:2025/09/09 09:08 ID:QA-0157938大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、情緒不安・メンタル疾患等で就労に支障が有ると診断されていなければ、通常勤務をされている以上免責は認められないものといえます。
すなわち、心配毎等でイライラする状況は誰にでも日常起こり得る事ですし、それだけで職場において人や物に激しく当たるというのは社会人として容認されない行為といえます。
従いまして、通常の制裁対象とされるのが妥当といえますが、これを機会に当人には精神科医等の受診を勧められるべきといえます。
投稿日:2025/09/05 22:24 ID:QA-0157870
相談者より
回答ありがとうございます。
精神的に不安定で、イライラしてたからといって、許される行為ではないため、しっかり処分案を検討したいと思います。
併せて、当該従業員には、専門医への通院を促します。
投稿日:2025/09/09 09:09 ID:QA-0157939大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
人事課題では何より公平性と公正性、透明性が重要です。
本件は単に社員による不適切な行為であって、懲戒規定に沿って粛々と賞罰委員会が査定した懲戒処分を下すだけでしょう。
一方で障害者雇用など、会社に病気が明確に認識されて、その条件で雇用されている場合は、配慮が必要な可能性があります。すでに社員に広く知れ渡っており、特別配慮などを会社が認めていない場合、特別扱いすることは公平性に反し、モラルハザードとなる可能性もありますので、特別扱いする場合は慎重に進めるべきでしょう。
また最近病状が悪化して、実は病気が原因で異常行動を取ってしまった場合などは、診断書などエビデンスがあれば事情を配慮することも可能です。ただしその場合は雇用条件や業務もそうした状況に合わせる必要があると思います。
いずれにしても病気が原因かどうかは絶対に医師以外の素人判断や本人の申し立てだけで判断せず、科学的エビデンスに基づいて行って下さい。産業医による診断などを参考にすることも選択肢です。
投稿日:2025/09/05 22:51 ID:QA-0157872
相談者より
回答ありがとうございます。
当該従業員の症状については、本人の話だけでなく、専門医の診断をもとに、判断したいと思います。そのために、まずは専門医への通院を促します。
投稿日:2025/09/09 09:11 ID:QA-0157940大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
単に精神状態が不安定だったから処分なしとするのは、他の従業員への示しが
つかず、会社の秩序を保つ上で問題が生じる可能性があります。
かといって、厳しすぎる処分は、ハラスメントや従業員の健康を害するとして
新たなトラブルに発展しかねません。
以下の対応案が妥当ではないでしょうか。
↓ ↓ ↓
懲戒処分は下します。行為の重大性を鑑み、懲戒処分は必要でしょう。
ただし、精神状態を考慮して、重すぎる懲戒処分は避け、出勤停止、減給、
けん責あたりの処分が現実的です。また、処分と同時に、今回の行為は
許されないことを明確に伝え、再発防止を約束させることが大切です。
万が一、再発行為を行った場合は、更に重い処分になる旨もお伝えください。
カウンセリングと業務の調整は、処分と並行して、予定通りカウンセリング
を実施し、精神状態の安定をサポートします。必要に応じて、配置転換や
業務量の調整も検討し、本人が安心して働ける環境を整えることが大切です。
周囲の従業員への説明・配慮も重要です。プライバシーに配慮しつつ、
当事者には会社のルールに基づき然るべき対応をとった上で、再発防止に
向けたサポートを行っていくといった、会社の方針を簡潔に説明することで、
職場の信頼を維持することができます。
投稿日:2025/09/06 08:21 ID:QA-0157876
相談者より
回答ありがとうございます。
何も処分しないのは小生自身もそうですが、当該従業員が働く職場の同僚が納得しないと判断していますので、何らかの処分を下すよう対応します。
併せて、当該従業員へ再発防止を約束させる誓約書等を取り交わすようにします。
投稿日:2025/09/09 09:13 ID:QA-0157942大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
精神状態が不安定な従業員の方の対応は病気やケガなどと違い対応が難しいと思います。
先ず、ご相談いただいた従業員の方はご自身で情緒不安定との話をされているので、心療内科又は精神科を受診し診断書を提出するように促してはいかかでしょうか。
その結果、うつ病など何らか病気の診断があれば賞罰委員会にて病気を考慮して処罰を軽減することもできると思います。また、産業医に診断書を見てもらい今後の対応についても相談できると思います。
診断書に症状が重く就業できる状況ではないと診断されている場合は、その診断結果の通り休職して療養をする必要があります。
休職期間は会社から給与は支払われませんが、健康保険より傷病手当金が支給されます。傷病手当金の支給要件は下記です。
1.療養のためであること
2.労務に服することができないとき
3.継続した3日間の待期を満たしていること
賞罰委員会での処分及び従業員ご本人の療養の必要性の判断のためにも診察を受けることをお勧めいたします。
投稿日:2025/09/07 18:29 ID:QA-0157884
相談者より
回答ありがとうございます。
社内処分も優先すべきですが、まずは当該従業員に専門医への通院を促します。
その診断内容を加味し、処分を検討したいと思います。
投稿日:2025/09/09 09:14 ID:QA-0157943大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
主たる論点
以下、回答いたします。
(1)主たる論点として、次のことが考えられます。
1)当該従業員の当該行為についてどのように処分するのか。しないのか。
2)当該従業員の今後の出勤等についてどのように考えるのか。本人に委ねてよいのか。会社が指示・命令を出すのか。
3)なぜ当該行為を防止できなかったのか、未然・再発防止のために何をなすべきか。
(2)上記1)については、まずは、「弁明の機会」を与え、診断書を含め、なぜこのような行為に至ってのかについて説明を受けることが重要であると考えられます。やむを得ない事情が認められるのか。重大な過失はなかったのか。会社側に問題(落ち度)はなかったのか。場合によっては、損害賠償請求することも考えられます。早急にカウンセラーへの相談を実施することも必要であると考えらえます。
(3)上記2)については、同様に、早急にカウンセラーへの相談を実施するなどにより、今回のような事態の回避について目途をつける(確信を持てる)必要があると考えられます。それまでは、企業秩序維持及び安全配慮義務という観点から、自宅待機を命じることが考えられます。
(4)上記3)については、本件においては、直属の上司からのヒアリングが有益であると考えられます。その際には、当該従業員とどのように向き合ってきたのか、どのような困難があったのか、会社からの支援としてどのようなことを期待するのか、という点が重要であると思われます。
投稿日:2025/09/07 23:30 ID:QA-0157885
相談者より
回答ありがとうございます。
まずは当該従業員に専門医の受診を促し、その結果をもとに、当該従業員と再度面談し、処分を決定します。
投稿日:2025/09/09 09:16 ID:QA-0157944大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
「イライラしていたから」というおおよそ理由にならない理由で、職場の設備を故意に破損されたら、会社もたまったものではありません。
職場でついイライラするというのは誰にでもあり得、だからといってそれをいちいち形に表してもいいということにはならないし、社会人としての資質も疑われます。
そのうえ、1.5日間2台の設備が稼働できないという大損害を与えられたわけですから、精神状態が不安定ではあっても、通常どおり勤務をしている以上、そこは考慮する余地はなく、二度とこういうことは許さないと強く戒め、毅然とした対応を心がけるべきです。
また、精神状態が不安定でカウンセリングに参加したからといって、改善は望めません。
就業規則に従い、通常どおりの処罰で差し支えはございません。
この機会に、本人には心療内科(精神科)への受診を勧めることも吝かではないでしょうが、強制はできないためそこは本人の意思次第です。
投稿日:2025/09/09 08:49 ID:QA-0157935
相談者より
ご回答ありがとうございます。
確かに精神状態が不安定だからといって、その時に起こしてしまったことが許されるとなると、今後収集がつかなくなると思います。
社内の賞罰委員会で処分をしっかり検討し、当該従業員には処分内容に加え、今後二度と同じことをしないよう、制約させようと思います。合わせて、心療内科等への受診を進めてみたいと思います(強制はしません)。
投稿日:2025/09/09 09:04 ID:QA-0157936大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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社労士などの専門家がお答えします。