みなし残業について
当社は土木業です。みなし残業については以下のとおり、就業規則や給与規定等に記載があります。
○就業規則
現業部門に従事する者に対し「出張旅費規定」にて規定した残業手当相当(以下作業所手当)を支払う
作業所手当を超えた分に対しては振替休日で対応する
○給与規定
所属長の命令による残業については以下の表を割増して支払う
※以下の表→一般的な法定割増について記載
ただし土木部社員については別に定める作業所手当を別途支払い、時間外残業代とする。これにより給与加算支払いはしない
実作業についての計算は、作業所手当と相殺し、不足分については振替休日で対応する
○出張旅費規定
土木部で現場を担当した者に、作業所手当(月当たり+日当たり)を下表金額を支払う。この手当は、現場での時間外手当(みなし残業代)として現場施工期間のみ支払う
施工期間の始/終月は、日数÷20日で支払い、上限は20日分とする
日当たり作業所手当は1月あたり24日を上限とする
つまり、支給された作業所手当以上に残業代が発生しても全く残業代は支給されず、超過分は休ませる というものです。
私は、最近当社で総務・人事・労務関係業務担当者として採用され、勤怠管理をしていく中で、以下のような疑問が生まれました。
①大体の会社は○○時間分のみなし残業代として固定給に含まれ毎月支給されていると思うが、当社は○○時間分の明記が全くない。また工事施工期間のみの支給になるが、法令上の問題はないのか
②作業所手当(みなし残業代)を超えた時間数は「振替休日で対応」とあるが、「法令上の振替休日」にはあたらないのではないか
そもそも、振替休日として付与されるはずの日数・時間数が年度を跨いでもなお取得しきれていない
また、振替休日(時間単位を含む)は就業規則では2週間以内に取得する(本人希望により取得期限を変更することがあるとの記載もある)ことになっており、会社としても社員本人も管理ができていない
このことからも、法令上の振替休日とならないのではないか
③休日出勤(法定休日)する際、事前に法定休日と休日出勤日を変更指定いないのは法令違反ではないか ※代休でなく振替休日と言い切るのであれば
その他、法令上の問題や、改善するためのアドバイスをいただければ大変ありがたいです。
就業規則等は古くからの内容を未だに踏襲していると思われる部分が多くあり、労働組合も結成されていないので、社員から問題提起されることも殆どないと思われます。
私としては、今後採用になるであろう若い社員が安心して仕事ができるように改善に努めていきたい考えです。
どうかよろしくお願い致します。
投稿日:2025/07/08 10:53 ID:QA-0155083
- こんささん
- 北海道/建築・土木・設計(企業規模 11~30人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
ご質問者様が疑問に持たれている、丸1、2、3いづれも、
ご質問者様のご見解通りです。
みなし残業代を支払う際は、相当時間も踏まえ、社員に明示する必要があります。
例)〇時間分の時間外手当として〇円
また、振替休日は、事前に振り替えている必要があり、事後に振替休日を設定
することはできません。
また、給与は全額払いの原則があります。仮に振休を取得する場合においても、
振休取得日が、翌月以降の取得となる場合は、当月給与においては、
振休日相当分の賃金を相殺することはできず、当月に発生した休日出勤分の
賃金は支払う必要があります。
所感としては、貴社の会社規程全体について、法令適合チェックをなさって
いただいた方がよろしいかと思います。ご質問者様の方で対応が難しいようで
あれば、専門家の社労士へチェックをご相談ください。
投稿日:2025/07/08 11:37 ID:QA-0155090
相談者より
ありがとうございました。
会社が適正な事業運営をしていく、それは社員にとって必要不可欠と思います。
やはり、社労士等のプロの目で見ていただくよう経営者に進言させていただきます。
投稿日:2025/07/08 13:28 ID:QA-0155096大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
全体の前提理解
貴社では「作業所手当」がみなし残業代(固定残業代)として支給されていますが、以下のような実態です。
対象者:土木部所属で現場従事者
手当は工事施工期間中のみ支給(終了後は打ち切り)
超過分の残業は賃金でなく振替休日で処理
明確な「○時間分相当」の定めがない
「振替休日」の管理も曖昧で取得されていない
1.みなし残業代の「○時間分の明記なし」→ 違法のおそれ大
(1) 問題点
労働基準法や関連通達では、固定残業代制を導入する場合、以下の要件が求められています。
要件→必須かどうか→貴社の状態
固定残業代の対象時間数の明記(例:30時間分等)→必須→ ×未記載
固定残業代の金額の明記→必須→△(金額自体は出張旅費規定に記載)
固定残業代に含まれる手当の範囲→必須→×(あいまい)
固定残業時間を超えた分の追加支払い→必須→× 原則、支払っていない
→ これらを満たしていないと、「作業所手当=基本給の一部」と判断され、未払い残業代が発生する可能性があります。
(2) 改善提案
就業規則や給与規定にて「作業所手当は○○時間分の時間外手当として支給」と明記すること
超過分に対しては「割増賃金を追加で支払う」と明文化
対象者、条件(施工期間中のみ等)を明確に定義
2. 「超過分は振替休日で対応」は振替休日に該当しない → 違法の可能性
(1) 問題点
労基法上の「振替休日」は、以下の条件を満たす必要があります。
要件→概要
1 事前に休日と勤務日を変更する→就業前に「今週の日曜を勤務日、翌週水曜を振替休日にする」と決定
2 労働日と休日の振替が明確である→振替日が決まっていなければ「代休扱い」になる
→ 貴社では明確に事前指定しておらず、振替取得が実態としてできていないため「代休」にもなっていない状態です。
その結果、休日労働に対する35%以上の割増賃金が未払いという扱いになります。
(2) 改善提案
「振替休日」でなく「代休」として運用し、割増賃金を必ず支払う
または法定休日出勤前に「振替休日」として事前に書面で指示する制度整備を行う
「○月×日に休日出勤し、○月△日を振替とする」旨を記録するフローを作る
3. 法定休日出勤時に事前に振替指定していない → 明確な労基法違反
(1) 問題点
労働基準法35条では「法定休日に労働させた場合は35%以上の割増賃金を支払う」ことが義務です。
振替休日の事前指定がない場合は「休日労働」扱い
よって、代休を与えても割増賃金の支払いは免除されません
(2) 改善提案
休日出勤は原則「休日労働」として割増賃金支払いを徹底
振替休日として処理する場合は事前に書面での指定が必要(就業規則にも規定を明示)
4.その他の法令上のリスク・改善提案
観点→問題→改善策
未払い残業代→作業所手当の超過分が未払い→超過分を集計・支払い、今後は適正に運用
36協定→時間外・休日労働に関する協定が未締結 or 上限超過の可能性→土木部門の特例等を含めて再確認
管理体制→振替休日の付与・取得が曖昧→勤怠システムによる厳格管理・定期的な上長確認
採用後の説明責任→新入社員が制度の不備に気づく可能性→労働条件通知書で固定残業代制度を明記し、説明の機会を持つ
5.総合コメント
貴社の現状は、過去の慣習や業界の慣れにより運用されてきたと推察されますが、現在の労務リスク・訴訟リスクに対しては非常に脆弱です。
特に若い社員の採用を今後意識されるのであれば、「安心して働ける透明な制度設計」が急務です。
6.次にやるべきこと(チェックリスト)
(1)就業規則・給与規定における「みなし残業時間数」の明記
(2)振替休日と代休の制度・手順の明確化
(3)超過勤務に対する賃金支払いの明文化
(4)36協定の再確認と見直し(特に土木業の例外適用)
(5)勤怠管理の運用改善(取得状況の一覧化と定期確認)
(6)就業規則改定を行う場合の従業員周知と意見聴取手続き
以上です。よろしくお願い申し上げます。
投稿日:2025/07/08 12:03 ID:QA-0155091
相談者より
細部にわたり的確なご指摘、またアドバイス等をいただき感謝申し上げます。
今後の会社運営のため、社員のために適正な規則類の整備とそれに基づく厳格な管理体制を築いていこうと思います。ありがとうございました。
投稿日:2025/07/08 13:34 ID:QA-0155098大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
1.何時間分のみなし残業代なのか就業規則あるいは、
個別契約書にて、明記が必要です。
2.振替休日というのは、事前に振り替えることをいいますので、
振替休日とはなりません。
3.振休ではなく、代休となります。
4.給与規定、個別契約書でみなし残業については、明記する必要があります。
投稿日:2025/07/08 13:29 ID:QA-0155097
相談者より
ありがとうございました。
現規則類を改善して、適正な管理を行っていこうと思います。
投稿日:2025/07/08 13:53 ID:QA-0155100大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、1に関しましては、ご認識の通りで残業代に充当される為には具体的に何時間に当たるのか就業規則及び給与明細上に明記されていなければなりません。また、工事施工期間のみの支給自体に問題はございませんが、その場合ですと仮に工事施工期間外で何らかの事情で残業が発生した場合には追加で残業代の支給が必要です。
2に関しましては、振替休日は事前に日を指定して実際にその日に休んでもらう事が必要になります。それ故、御社の振替休日は要件を満たしておらず単なる代休という扱いになりますので、仮に法定休日でも勤務があれば休日を与えても法令上の休日とはならず休日労働割増賃金の支払義務が発生します。
3に関しましては、上記で触れました通りで当然に事前の指定が必要です。
その他の件ですが、文面に示されていない事柄でも法令違反となる運用があるかもしれませんし、それを人事経験の浅い方々のみで逐一確認されるのも大変ですので、可能であればお近くの社労士事務所等にご相談され全体的なチェックを依頼されてみる事をお勧めいたします。
投稿日:2025/07/08 21:50 ID:QA-0155119
相談者より
ありがとうございました。
他にも就業規則や給与規定等で、法令に則していないと思われる部分があるため、プロの目でも見ていただきながら整備していきたいと思います。
投稿日:2025/07/09 09:28 ID:QA-0155129大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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