法的義務の有無と根拠を教えてください。
改正高年齢者雇用安定法は、有期雇用は対象外と理解しています。
雇用契約を反復更新し、勤続20年以上の有期雇用社員が60歳以降の雇用を希望した場合、会社が当人を雇用する法的義務の有無、およびその根拠を教えていただきたく、お願い申し上げます。
投稿日:2014/01/23 16:53 ID:QA-0057546
- 人事部さん
- 東京都/医薬品(企業規模 1001~3000人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
年齢とは関係なく一定の期間の経過により契約終了となるものは別の問題
改正高年齢者雇用安定法は、 第9条において、 定年 ( 65歳未満のものに限る ) の定めをしている事業主に、 その雇用する高年齢者を対象としていますが、 これは、 当該定年制度の下に雇用されている高年齢者、 即ち、 「 期間の定めの無い雇用高年齢者 」 に限られるものと理解されます。 厚労省も、 Q&Aサイトにおいて、 本条の定めに関し、「《 主として期間の定めのない労働者 》 に対する継続雇用制度の導入等を求めているため、 《 有期労働契約 》 のように、 本来、 年齢とは関係なく、 一定の期間の経過により契約終了となるものは、 別の問題であると考えられます 」 と述べています。 《 主として 》 という点が気になりますが、 これは、反復継続して契約の更新がなされている有期雇用は、 期間の定めのない雇用と看做される点に配慮したものと思われ、 「 有期雇用は対象外 」 という原則に影響するものではないと考えます。
投稿日:2014/01/23 20:35 ID:QA-0057547
相談者より
実務の参考になりました。
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2014/01/24 09:26 ID:QA-0057555大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
御相談の件ですが、形式上有期雇用契約であっても、長期に渡り反復更新を重ねているような場合ですと、実質上期間の定めのない契約と同視されることになります。
これは多くの判例で示されてきましたので、先般の改正労働契約法でも第19条において以下のように定められています。
「有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。」
雇用契約を反復更新している勤続20年以上の有期雇用社員であれば、上記に該当する可能性が高いですので、原則としましては正社員と同様の扱いが求められ、それ故高年法上の継続雇用義務も発生するものといえるでしょう。
しかしながら、高年法の継続雇用義務とは、法令に従って定年後の継続雇用制度を取り決め運用することを指しています。つまり、必ず個々の労働者について継続雇用しなければならないといった義務まではございませんので、例えば、定年後新たな労働条件を提示して合意が得られなかった場合には、定年による退職扱いとすることも通常可能といえます。
投稿日:2014/01/23 23:04 ID:QA-0057550
相談者より
ご回答ありがとうございます。
大変参考になりました。
投稿日:2014/01/24 09:28 ID:QA-0057556大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
高年齢者雇用安定法と有期雇用
1.有期雇用者やパートの場合には、会社で特に定年を設けていなければ、高年齢者雇用安定法は対象外となります。有期でも定年を設けていれば、65歳までの継続雇用措置義務が生じます。定年を理由に65歳未満で雇止めはできないということになります。
2.勤続20年以上の場合には、内容にもよりますが、雇止めについて無期社員と同じ扱いになりますので、期間満了ではなく、解雇か自己都合ということになります。
ただし、それ以外の労働条件については、正社員と同じというわけではありませんので、
定年制がない有期社員が正社員と同じく定年制ちなるというわけではありません。
よって、窯らずしも本人が希望すれば雇用義務が発生するということにはなりません。
投稿日:2014/01/24 14:41 ID:QA-0057565
相談者より
ご回答ありがとうございます。
参考になりました。
投稿日:2014/01/27 09:12 ID:QA-0057580大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
-
障害者の雇用 障害者を雇用する際の留意点を教え... [2006/12/05]
-
定年再雇用の勤務時間について [2015/02/02]
-
再雇用後の退職金水準について 統計データがあるかどうか分かりま... [2006/02/24]
-
外国人労働者の雇用について 外国人の方を雇い入れる際の注意事... [2005/08/23]
-
雇用契約の更新について 2009年3月1日から2009年... [2009/09/11]
-
再雇用者の契約打ち切りについて 弊社では、雇用延長でなく再雇用の... [2008/06/23]
-
障害者雇用 障害者を雇用する際の留意点を教え... [2005/11/02]
-
身分区分の定義について 正規雇用と非正規雇用および常用雇... [2018/05/02]
-
再雇用者の無期転換 いつも利用させていただいておりま... [2016/01/05]
-
65歳超の雇用期間について このたび66歳の方を正社員で雇用... [2017/05/26]
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。
関連する書式・テンプレート
シフト制における注意文
シフト制で雇用する従業員がいる事業所に対して、シフト制の運用に関する注意点を周知するための文例です。
労働者派遣基本契約書
労働者派遣契約を締結するときに、個別契約とは別に定める基本契約の例です。
書類送付状(契約書を1部返送)
契約書を送る際に添える書類のテンプレートです。
請負契約書
請負契約書のテンプレートです。フリーランスとの契約にも使用できます。