家族手当受給者を入学祝金等一時金の対象外とすることについて
いつも参考にさせていただいております。
当社では被扶養配偶者および扶養内の子について、月額定額の家族手当を支給しています。配偶者のいる女性社員は子を扶養に入れることは少なく、男性社員が中心に受給しています。
今回、福利厚生充実の一環として、子の出生時や学校への入学時に慶弔見舞金として一時金を支払うことにするよう規程の改定を考えています(現在は結婚祝、死亡弔慰金、傷病や災害時の見舞金のみ支給)。
この場合に、月額の家族手当を受給している者を、慶弔見舞金規程上の祝い金(一時金)の対象該当することは公平性の観点から問題となるでしょうか。
なお、一時金の額は、家族手当(子女分)1年分相当額よりも下回る予定です。
よろしくお願い致します。
投稿日:2025/10/13 12:04 ID:QA-0159399
- 人事初心者さんさん
- 大阪府/販売・小売(企業規模 51~100人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.法的観点:支給対象の限定は「原則自由」
慶弔見舞金や祝い金は、労働契約上の賃金ではなく、任意の福利厚生給付(恩恵的給付)にあたります。
したがって、企業が「支給対象者を一定の条件に限定する」こと自体は原則として法的には自由です。
例:
正社員のみ対象
勤続年数○年以上の者のみ対象
家族手当の支給対象者は除く
といった定めはいずれも法令違反にはなりません。
ただし、差別的・不合理な取り扱いと評価されると、就業規則や均等待遇の観点で問題になる可能性があります。
2.公平性の観点:二重給付・バランスの説明ができるか
一方で、社内的な「公平性」や「納得性」の観点では、下記のような整理を行うとよいでしょう。
観点→内容
二重給付防止→家族手当(月額)により、継続的に扶養家族を支援しているため、一時金を重ねて支給しないという設計は合理性があります。
実質的受給バランス→家族手当の支給額(年額換算)が一時金額より高ければ、「家族手当受給者はすでに支援を受けている」と説明しやすいです。
性別バランス→現状、男性社員中心に家族手当が支給されているとのことですが、子の扶養者が女性社員の場合、家族手当を受けていないケースもあるため、祝い金の支給条件が「扶養認定の有無」だけだと男女差に見える懸念があります。→「実際に生計を同一にする子を有する社員」とする等の工夫で是正可能です。
3.実務上の対応例(規程設計)
よくある設計例(合理性が高い)
子の出生・入学等の祝い金は、家族手当の支給対象外の者について支給する。
ただし、家族手当の支給を受けている者については、既に扶養家族に対する支援を行っているものとみなし、祝い金の支給対象外とする。
このように明文化しておくと、二重給付を避ける合理的理由として整理できます。
4.注意点:性別に偏る運用は避ける
質問文にあるように「配偶者のいる女性社員は子を扶養に入れないケースが多い」ため、結果的に男性社員ばかりが家族手当受給者となり、「男性だけ祝い金がもらえない」構造になるおそれがあります。
この場合、性別に基づく間接差別と誤解されるおそれがあるため、支給要件を「扶養内かどうか」ではなく「実際に扶養しているかどうか」に置き換えると安心です。
例:
子の出生・入学祝い金は、当該子を扶養している社員に支給する。
ただし、家族手当の支給により既に扶養支援を受けている場合は、二重給付を避けるため支給しない。
5.まとめ(結論)
観点→判断
法的問題→特に問題なし(任意給付であり支給対象を限定可能)
公平性→家族手当との二重給付回避として合理的に説明できる
注意点→結果的に男女差が生じないよう、支給条件の文言を「扶養している者」とすることが望ましい。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/10/14 09:48 ID:QA-0159406
相談者より
論点を整理の上、ご回答いただき大変分かりやすく参考になりました。
また規程への記載の仕方も具体的にご教示いただきありがとうございます。
投稿日:2025/10/14 10:35 ID:QA-0159410大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
月額の家族手当は生活保障・家計補助を目的とし、慶弔見舞金(祝い金)は、
特定の事由に対するお祝いを目的とする、目的の異なる福利厚生制度です。
ですので、支給要件も目的にあわせて、それぞれの設定が必要です。
重要なのは手当の目的となります。
その上で、通常、祝い金は、出産や入学といったライフイベントを全従業員で
祝うという性格を持つものです。
これを月々の手当の受給者に限定してしまうと、単なる家族手当の追加支払い
のような位置づけとなり、福利厚生の充実という本来の目的から逸脱してしまう
点には注意が必要です。
投稿日:2025/10/14 11:17 ID:QA-0159412
相談者より
ご回答ありがとうございます。
対象は月々の手当の受給者以外ですので、追加支払いにはなりませんが、目的の異なる福利厚生制度のため、誰が対象になるかについてはしっかりと検討したいと思います。
投稿日:2025/10/15 09:30 ID:QA-0159477大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
法的には可能な制度と思われますが、人事的に「手当」は可否以上に大事なのは目的です。この手当によって、どのような人事経営的目的が達成できるのか、判断基準はそこにあるといえます。
公平公正な人事は経営の基本なので、社員から不満を呼ぶようなものは好ましくありません。また既婚者優遇、家族持ち優遇は、会社としてどう考えるかのポリシー次第です。
昨今の人事制度では手当を積み上げる方式より、成果給や年棒制など、より成果能力にシフトした給与制度に重きを置くケースが増えています。貴社の経営方針で決めるべき課題と思います。
投稿日:2025/10/14 16:52 ID:QA-0159442
相談者より
ご回答ありがとうございます。
成果ベースの制度への切替の中で、既存の制度をどのように新制度の中に組み込んでいくかを模索しております。
「どのような人事経営的目的が達成できるのか」を軸にしっかりと検討していきたいと思います。
投稿日:2025/10/15 09:39 ID:QA-0159478大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、新たな慶弔見舞金の導入になりますので、原則としまして会社が任意で支給要件を定める事が可能になります。
従いまして、法的に問題になるものではございませんし、公平性についても御社の従業員の事情に照らし合わせて御社自身で判断される事で差し支えございません。
投稿日:2025/10/14 22:40 ID:QA-0159455
相談者より
ご回答ありがとうございます。
従業員が不公平感を持たないように、しっかりと検討の上、導入にあたっては丁寧な説明を心掛けるようにします。
投稿日:2025/10/15 09:40 ID:QA-0159479大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
問題になることはありません。
慶弔見舞金は法に根拠があるわけではなく、あくまで企業独自の制度ですから、どういう基準・条件で支給するかは、企業の判断で差支えはございません。
家族手当を受給しているか否かは別の問題であって、公平性を論じる必要もございません。
投稿日:2025/10/15 09:14 ID:QA-0159475
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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