給与の締日・支払日の変更について
いつもお世話になっております。
給与の締日・支払日変更についてご教示願います。
現在:当月15日締、当月28日払
変更後:当月末締、翌月25日払
変更月は給与計算が減少するため、次のように考えています。
変更月:
①前月16日〜当月15日 月額給与全額、当月28日払い
②当月16日〜末日、月額給与半額支給、翌月25日払い
変更月後:
翌月1日〜末日、月額給与全額、翌々月25日払い
変更月の②から支払日の翌月25日まで、給与が半額になるため、無利子の貸付制度を考えています。
このとき、従業員に対する不利益はありますか。
変更前後のタイミングで従業員側の受け取るキャッシュを各月で比較すると、変更後は変更前に比べて下がることが想定されます(支払日基準)。ただ、締日で考えると金額が減少することはありません(締日基準)。
従業員からは、上記内容で同意書を取るつもりですが、法的なリスクや注意すべき点、より良い対応などがございましたら、ご指導いただきたく、お願い申し上げます。
投稿日:2025/04/23 12:41 ID:QA-0151346
- ザンギエフ田中さん
- 東京都/その他メーカー(企業規模 31~50人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
締日・支払日の変更適法。給与減額には当たらない(締日ベース)
無利子貸付制度 任意導入は非常に望ましい。契約書で明文化を
法的リスク 同意取得や説明がないと「不利益変更」とされる可能性も
推奨対応 説明会+通知書+同意書+貸付契約書でトラブル防止
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論(要点)
ご提示のスケジュールと貸付制度による対応は適切であり、不利益変更にはあたりません。ただし、以下の 点を明確化・文書化しておくことで、法的リスクを防ぐことができます。
(1)法的観点からの留意点
1. 賃金支払い5原則の遵守
原則内容
全額払いの原則労働者が受けるべき賃金は全額支払うこと
定期払いの原則毎月1回以上、一定期日に支払うこと(※変更後の「翌月25日払い」は問題なし)
給与締日・支払日の変更は違法ではありませんが、
→ 支払日の変更により、一時的に手取り額が減る=実質的に「不利益」と感じる従業員もいる可能性があるため、対策が必要です。
2. 「無利子貸付制度」の導入は◎
支給の“谷間期間”に備えて無利子貸付を行うのは、非常に望ましい対応です。
注意点:
貸付契約書(同意書)を個別に交わしておくこと
返済方法・時期(たとえば翌月給与天引きなど)を明示しておく
就業規則や賃金規程の中に「貸付制度」等を記載しておくとさらに安心
3. 「不利益変更」にはあたらないとされる条件
以下の条件を満たせば、就業規則の不利益変更(労基法第90条)には該当しません。
判定条件 ご対応内容
従業員が実質的な収入減にならない月額ベースでは収入減なし(締日基準)
十分な説明と同意を得ている 同意書を取得予定
金銭面の負担に対する救済措置がある 無利子貸付制度の導入でカバー可能
2.実務上の対応策(おすすめ)
対応項目 内容
(1)変更通知書の発行締日・支払日変更の理由・内容・スケジュールを明記
(2)同意書の取得「給与支給変更に関する同意書(個別対応)」を取得(署名・日付あり)
(3) 貸付契約書の締結無利子である旨、返済方法(給与天引き等)を記載した契約書を交わす
(4) 就業規則・賃金規程の変更支払日変更や貸付制度を盛り込む場合は、就業規則の変更も視野に
4.ご参考:給与支給の流れ(例)
月締日支払日対応内容
4月~4/154/28月額全額支給(現行)
4月後半4/16~4/305/25月額半額支給(初の新スケジュール)+ 無利子貸付可
5月5/1~5/316/25月額全額支給
5.まとめ
項目 内容
締日・支払日の変更適法。給与減額には当たらない(締日ベース)
無利子貸付制度 任意導入は非常に望ましい。契約書で明文化を
法的リスク 同意取得や説明がないと「不利益変更」とされる可能性も
推奨対応 説明会+通知書+同意書+貸付契約書でトラブル防止
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/04/23 13:52 ID:QA-0151351
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問のケースでございますが、
給与の締日、支給日を先に延ばす変更を行う際は、
社員の生活に支障が生じないよう、最大限の配慮を行う必要がございます。
ローンを抱えている場合は、返済に支障をきたすケースも少なくないはずです。
その上で、貴社としては、
・貸付制度を設けること(生活サポート制度)
・十分な説明を行った上で、同意書をとること
を予定されているとのことですので、そちらの対応を適切に行うことで、
法令的なリスクは払拭されるものとかと思案いたします。
更に、他の配慮措置としては、
・ 変更後のルールが適用される迄、相当期間の予告期間を設ける
・ 給与の前払いを、一部、認める
・ 賞与支給があれば、一部、先払いを行う
等が挙げられます。
現実的に対応可能なものがあれば、社員目線に立ち、対応していただくと、
社員側の安心感・納得感も得られるのではないかと思います。
投稿日:2025/04/23 14:19 ID:QA-0151359
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
給与の締日、支払日変更に伴う、
無利子の貸付制度はあまりおすすめしません。
貸付金は返してもらう必要がありますし、どのように返してもらうか
でトラブルに発展するリスクがあるからです。
半額は支払いますので、
早めに変更理由を説明して、意見も聞いたうえで、貸付制度はなしの方向をお勧めします。
投稿日:2025/04/23 16:51 ID:QA-0151376
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、確かに給与自体が減るわけではございませんが、移行時に給与支給が従来より遅れる形になりますので、不利益変更に当たるものといえます。
しかしながら、変更事情や内容について従業員に丁寧に説明された上で無利子の貸付をされる等の経過措置を採られるという事でしたら、労働契約法第10条に基づき仮に従業員の同意が得られなくとも変更内容が有効になる可能性が高いものといえます。
投稿日:2025/04/23 18:58 ID:QA-0151389
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
賃金締切日は就業規則の絶対的必要記載事項の1つであり、その変更にあたっては届出や周知が必要であると供に、公共料金の振込み等社員の生活に与える影響も決して少なくはないため、前もって十分に変更内容を説明する、賞与支払月に変更を行う、無利子で貸付を行うといった社員への配慮も必要になります。
通常、賃金締切日を変更する場合、①移行月を賞与支給月に合わせる。②移行月も1ヵ月分の賃金を支払い、過払い分は、賞与から控除する。といった方法が考えられます。
賞与から控除する場合は、労基法24条1項但し書きの労使協定が必要であり、控除額の限度は賞与額の4分の1までする必要があり、また、過払い分については、1回の控除額が多額にならないよう毎月数回にわけて賃金から控除するといった方法も考えられ、あくまでも賃金の精算調整であり、全額払いの原則に反しないと認められる程度の控除額であれば、特別問題はないと考えられます。
ただし、このような調整的な取り扱いをする場合は、就業規則に賃金締切日の変更に係る経過措置として明確に規定したうえで実施する必要があります。
注意点としましては、社会保険に関してですが、賃金締切日の変更を4月から6月の間にした場合、この期間は社会保険料の算定基礎月にあたり、社会保険料の定時決定が行なわれる際に、給与計算の基礎日数が17日未満の月は計算対象から除くとされておりますので、締切日の変更に伴い支払基礎日数が17日未満となる場合は注意が必要です。
投稿日:2025/04/24 08:23 ID:QA-0151406
プロフェッショナルからの回答
ご相談内容について回答いたします
今回の給与支払日の変更は、基本的には,あくまで「締日・支払日」の変更であり、「支給額」に変更はありませんため、不利益変更には当たらないと考えます。
しかしながら、変更に伴う従業員の負担を軽減するため、できるだけ早期に変更スケジュールと社員へのサポート策を準備して、社内周知を開始して、従業員の理解を得る必要があります。
法的リスクの観点からは、賃金支払いの5原則(通貨払い、直接払い、全額払い、毎月1回以上払い、一定期日払い)を遵守する必要があります。支払日が翌月25日に変更される場合、変更月においても「毎月1回以上の支払い」が確保されていることを確認してください。
また、給与支払日変更に伴い、就業規則の変更が必要となります。変更後は、従業員を代表する者の意見書を添えて労働基準監督署へ届け出て、従業員への周知を行ってください。
給与の締日・支払日変更について、従業員の方から最大限の理解を得るものとできるよう、検討中の貸付金制度の導入の他、社会保険料の取扱い、変更の内容やスケジュールの周知、実施のタイミングなど、様々な対応策を検討しておく必要があります。
貸付金制度の導入に関しては、変更月の給与が一時的に減少する影響を緩和するため、貸付金制度を導入することは適切です。
ただし、無利子の貸付制度を導入した場合ですと、従業員に金銭を貸し付けた場合には法令により決められた利率により利息相当額が算定されることになり、その額と実際に支払う利息の額との差額が、給与として課税される場合があることにご留意ください。
また、返済方法を明確にし、従業員に十分な説明を行う必要があります。
社会保険料の取り扱いに関して、給与の支払いが遅れることで、社会保険料の納付にも影響が出る可能性があります。低額となる変更期の給与から満額の社会保険料を引くことは難しく、会社が一時的に立て替えるようなケースも出てきます。
社内周知に関しては、変更の内容やスケジュールを早い段階で分かりやすく繰り返し周知することが重要です。従業員自身が給与支払日の変更に合わせて、変更が可能な支払いや引き落としの変更手続を取ってもらう等、生活設計を調整できるよう十分に配慮してください。
なお給与が低額となる変更期とボーナス月を合わせることで従業員の負担を減らすことが出来るため、実施のタイミングにつきましても検討されると良いでしょう。
投稿日:2025/04/26 20:40 ID:QA-0151542
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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