出向元・出向先で就業規則に差異がある場合の対応について
この度、初めてグループ企業間で出向者を出す運びとなりました。
現状、グループ企業間で就業規則に下記のような差異があり、出向元の方が手厚い内容となっています。
■慶弔休暇
・妻の出産 〈出向元〉5日 〈出向先〉2日
・父母の死亡 〈出向元〉5日 〈出向先〉2日
■休職期間
・私傷病による場合 〈出向元〉最大12か月まで 〈出向先〉最大6か月まで
出向契約書に「就業規則は出向先のものを適用する」と明記しようと考えていますが、上記のような場合でも「出向先の就業規則を適用」で問題ないでしょうか?
何らかの手当を検討しなければならないでしょうか?
よろしくお願いいたします。
投稿日:2020/01/05 18:26 ID:QA-0089423
- shinmaijinjiさん
- 東京都/販売・小売(企業規模 501~1000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
出向に関する留意点
▼最近、類似のQ&Aがありましたので、以下、引用致しますが、先ず、今回の質問に対し、結論を申し上げます。
▽ 慶弔休暇、休職期間、何れも、出向の主目的である、「出向先の指揮命令の元における労務提供」と直接関係にある事項ではありませんので、出向元の定めを適用するのが妥当です。
▽ 出向には、① 出向元・出向先間の出向契約書 ② 出向元・出向者間の出向契約書が必要です。何らかの手当など、出向に伴う措置があれば、夫々の契約書に明記します。
▼以下、出向者の扱いのポイントと参考資料を説明しますので、出向という特殊な勤務態様と留意点を十分理解の上、対応して下さい。
●出向においては、出向元と出向労働者間の労働契約関係は存続しますが、労務の供給は出向先に行われるので、出向元との労務供給の関係は停止されます。しかし、出向元の就業規則のうち労務供給を前提としない部分は依然適用されることになります。
●他方、出向労働者は出向先の指揮命令のもとに労務を供給するので、出向先の服務規律に服することになります。労働保護法上の責任は、当該事項について実質的権限を有している者が、出向元か出向先のいずかで決めます。これに対して労働安全衛生法上の事業者責任は、現実に労務の給付を受けている出向先が原則として負担します
●労務提供は、出向先で行われるということで、出向先の就業規則が適用ということになります。具体的には以下のようになります。
※【出向先の就業規則が適用される事項】
・始業・終業等の労働時間に関する事項
・休憩
・休日休暇
・出張
・その他の勤務の関係の事項
・服務規律
・安全衛生に関する事項
※【出向元の就業規則が適用される事項】
・退職と解雇
・人事異動
・その他の労働者の地位に関する事項
●賃金の負担は、出向目的に応じた「応益の原則」に基づき負担します。出向目的に応じた受益者が負担するという意味です。研修目的なら出向元が、技術指導なら出向先が負担するといった具合です。通常は、出向先が受益先であることが多く、出向元に支払い、それを出向元が出向者に支払うというのが一般的なようです。
●法的な解説としては、下記、厚労省HP・出向・ P24 が分かり易く参考になるでしょう。
⇒ https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/dl/leaf.pdf
投稿日:2020/01/06 10:05 ID:QA-0089432
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
まず、就業規則全てを出向先適用というのは問題あります。
就労条件関係は、原則として出向先の規定が優先されますが、退職、定年、休職等の身分関係は出向元の規定が適用されるからです。
その上で、出向元・先・出向者の三者間で、のちにトラブルにならないように、あらかじめ出向契約を締結する必要があります。
原則として、出向者に不利益のないよう配慮することが肝要です。
休暇については、就労している出向先規定が優先ですが、3者間で事前協議が必要です。
休職については、長期離脱になりますので、出向元に戻したのちに、出向元の規定によるというロジックが通常です。休職は解雇猶予措置であり、身分に関する事項だからです。
投稿日:2020/01/06 13:43 ID:QA-0089442
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、現行より処遇が明らかに低下することになりますので、出向が当人の希望ではなく会社が指示されているものである以上、現行の休暇日数及び休職期間を維持されるのが妥当といえるでしょう。
勿論勤務に関する事柄については通常出向先の規定が適用されることになりますが、当事案のような事柄ですと日常の勤務時間等とは異なり現状維持でも大きな問題は生じないものと思われますし、当人にとりましても不満の原因ともなりかねませんので、極力処遇の引き下げは避けるべきというのが私共の見解になります。
投稿日:2020/01/06 20:44 ID:QA-0089456
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
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