裁量労働制の周知について
いつも参考にさせていただいております。
このたびは裁量労働制について質問をさせていただきます。
弊社では、企画業務型裁量労働制を導入しております。企画業務型の場合、労使委員会を開催し、議事録を作成・周知することが労使委員会の要件として規定されていますが、弊社のある事業所では従来より議事録を労働者へ周知していませんでした。
法令に規定されているので、今後は周知をしなければならないと考えているのですが、ここで3点質問がございます。
①「当該事業所の労働者」について、事業所に勤務する全労働者に周知する必要があるのでしょうか?それとも裁量労働制対象者への周知のみで足りるのでしょうか?
②議事録を周知することが労使委員会の要件と規定されているため、議事録を周知していないことにより、労使委員会そのもの、あるいは労使委員会での決議事項が無効となってしまうのでしょうか?
③周知の方法としまして、webのイントラネット上にて周知を図ることを検討しているのですが、問題はございませんか。
長くなりましたが、ご教授の程、宜しくお願い致します。
投稿日:2009/09/28 16:09 ID:QA-0017607
- *****さん
- 岐阜県/輸送機器・自動車(企業規模 10001人以上)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
御質問に各々回答させて頂きますと‥
①:法令上では、「当該事業場の労働者」への周知が義務付けられていますので、対象労働者のみならず事業場全ての労働者への周知が必要といえます。
②:厳密に解すれば、周知していない時点では効力は発生しないとも考えられますね‥ 但し、委員選出や決定事項等に問題が無ければ、周知が遅れた事情を説明の上速やかに周知させることで実務上問題は起こらないものと思われます。
③:就業規則の周知と同様、全ての従業員が容易に閲覧できるならば、イントラネットを利用しても問題ございません。
投稿日:2009/09/28 20:36 ID:QA-0017617
相談者より
ご回答ありがとうございました。
大変勉強になりました。
周知に関して、迅速に対応したいと思います。
投稿日:2009/09/29 08:57 ID:QA-0036884大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 冨田 正幸
- 冨田社会保険労務士事務所 東京都社会保険労務士会 所長
Re
ご質問にそれぞれご回答させていただきますと
①「当該事業所の労働者」について、事業所に勤務する全労働者に周知する必要があるのでしょうか?それとも裁量労働制対象者への周知のみで足りるのでしょうか?
全ての労働者に対して周知する必要があります。といいますのも『使用者は、労働基準法及び同法に基づいて発する命令の要旨、就業規則、労使協定、裁量労働制に係る労使委員会の決議を労働者に周知させなければなりません。』とあるように労使委員会の決議に関しては、労働者に周知をする必要があります。その労働者とは、労基法では、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。ということになっておりますので、法令解釈からして対象者のみということだけでは、足りないということになります。
②議事録を周知することが労使委員会の要件と規定されているため、議事録を周知していないことにより、労使委員会そのもの、あるいは労使委員会での決議事項が無効となってしまうのでしょうか?
労使委員会の決議の届出がされていないと効力は発生しませんが、届出をしているのであれば、効力自体は発生はしていることになります。ただ、労使委員会の決議そのものの届出はされていても労使委員会の要件を満たさないまま届出をしており、免罰効果が発生していないことになりますので、法令違反は免れません。労働基準監督署から指導がある前に正しく運用することをお勧めします。すぐに罰則とはならないと思いますので・・・
③周知の方法としまして、webのイントラネット上にて周知を図ることを検討しているのですが、問題はございませんか。
磁気テープ、磁気ディスク、その他これらに準ずるものに記録し、かつ各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置するとあるように、イントラネットで周知をしても問題ございません。但し、このイントラネットが特定の社員しか見れないとかであると周知しているとは言えなくなるのでご注意ください。
以上、ご参考ください。
投稿日:2009/09/29 08:36 ID:QA-0017624
相談者より
ご回答ありがとうございました。
周知に関して迅速に対応いたします。
参考までに、周知がされていないということに対しての罰則はどのようなものなのでしょうか。ご教授お願い致します。
投稿日:2009/09/29 09:39 ID:QA-0036888大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 冨田 正幸
- 冨田社会保険労務士事務所 東京都社会保険労務士会 所長
Re
労基法で周知義務に関しては、第106条に記載しており、その罰則規定は、第120条1項に記載がされております。
ここから判断しますと、30万円以下の罰金になります。とはいえ、実際は、いきなり罰則とは行かず、労基署指導等が先行するのが実情ですので、それでも無視したり改めなければ下記の罰則を適用する形になるでしょう。
以下、労基法の罰則規定の抜粋です。
第120条
次の各号の一に該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
1. 第14条、第15条第1項若しくは第3項、第18条第7項、第22条第1項から第3項まで、第23条から第27条まで、第32条の2第2項(第32条の4第4項及び第32条の5第3項において準用する場合を含む。)、第32条の5第2項、第33条第1項ただし書、第38条の2第3項(第38条の3第2項において準用する場合を含む。)、第57条から第59条まで、第64条、第68条、第89条、第90条第1項、第91条、第95条第1項若しくは第2項、第96条の2第1項、第105条(第100条第3項において準用する場合を含む。)又は第106条から第109条までの規定に違反した者
ご参考にしていただけましたらと思います。
投稿日:2009/09/29 10:28 ID:QA-0017628
相談者より
大変丁寧なご回答、ありがとうございました。
投稿日:2009/09/29 14:39 ID:QA-0036889大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
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ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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