裁量労働制の導入手続き
裁量労働制の導入手続きとは?
裁量労働制とは、実際に働いた時間に関係なく、労働者と使用者との協定においてあらかじめ定められた労働時間に基づき、賃金を支払う制度のことです。定められた時間以上働いても原則残業代は出ず、逆に、実際に働いた時間が短かった場合でも決められた賃金が支払われます。
裁量労働制は「専門業務型」と「企画業務型」の二種類にわけられ、それぞれで対象職種が定められています。手続きも異なっており、導入時には間違いがないように進行する必要があります。
専門業務型裁量労働制の手続き
導入に際しては、労使協定の締結・所轄労働基準監督署長への労使協定の届出、就業規則の変更が必要になります。
労使協定に定めるべき事項は以下の通りです。
- 制度の対象となる業務や内容について明記します。
- 労働者に対し対象業務の進め方や時間配分などに対して具体的な指示をしないことを原則的な考え方として労使協定に明記します。
- 所定労働時間とは別で定める1日あたりのみなし労働時間を明記します。
- 対象労働者に対する健康・福祉を確保するための措置内容を明記します。たとえば、健康状態について定期的にチェックする社内の仕組み、特別健康診断の実施や相談室の社内設置など、具体的な取り決め内容を明記します。
- 対象労働者から苦情があった場合の具体的な処理方法・対応部署・対応範囲などを明記します。
- 労使協定の有効期間。厚生労働省においては、3年以内が望ましいとされています。
- 4、5に対して講じた措置の記録について、協定有効期間とその後3年間保存することとします。
企画業務型裁量労働制の手続き
企画業務型裁量労働制は、2000年4月に施行されました。しかし、専門業務型裁量労働制と比較して対象業務が明確でないこともあり、ルールが厳しく手続きも煩雑な傾向がありました。これを受けて、制度がより機能していくことを目指し、2004年1月に導入・運用についての要件や手続き関連が緩和されています。
導入に際して必要となるのは主に以下の通りです。
- 労使委員会の設置及び運営ルールの決定
- 必要事項において、労使委員会で5分の4以上の多数による決議
- 就業規則の変更
- 所轄労働監督署長への届出
- 対象労働者本人からの同意
- 制度の実施
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