個人情報・機密情報保持誓約書(退職者用)について
個人情報・機密情報保持誓約書(退職者用)
株式会社○○(以下「会社」という)に在職していた○○(以下「退職者」という)は、退職にあたり、在職中に知り得た個人情報および機密情報について、以下の事項を誓約します。
第1 条(目的)
私は、在職中に知り得た個人情報および機密情報を、退職後も適切に管理し、第三者への漏えいや不正利用を行わないことを誓います。
第2 条(定義)
⚫ 個人情報
社員、顧客、取引先等に関する氏名、住所、連絡先、家族情報、勤怠・給与情報、その他個人を特定できる情報を指します。
⚫ 機密情報
会社の事業、経営、財務、技術、営業、顧客管理、労務管理等に関する非公開情報を指します。
第3 条(守秘義務)
私は、退職後も以下を行わないことを誓います。
⚫ 個人情報および機密情報を第三者に漏えい、開示、提供すること。
⚫ 個人情報および機密情報を自己または第三者の利益のために使用すること。
⚫ 書類、データ等を無断で持ち出し、複製、保管、転用すること。
第4 条(資料・データの返還)
退職に際し、業務で保有していたすべての書類、データ、記録媒体、複製物を会社に返還し、私物機器に保存された個人情報及び機密情報は完全に削除済みであることを誓います。
第5 条(安全管理義務)
やむを得ず一時的に保管していた情報がある場合、会社の指示に従い適切に削除・廃棄し、不正利用されないよう必要な措置を講じることを誓います。
第6 条(違反時の責任・損害賠償)
本誓約に違反し会社に損害が生じた場合、私は実際に生じたすべての損害(直接損害・間接損
害・逸失利益を含む)について賠償する責任を負うことを誓います。
第7 条(有効期間)
守秘義務は、退職後も期間の定めなく有効であることを承諾します。
一般的な製造業において、退職者へのこの誓約書に不備・または厳格すぎるなど、ご指摘いただけますと幸いです。
投稿日:2025/11/17 09:54 ID:QA-0160740
- 青木秋生さん
- 東京都/石油・ゴム・ガラス・セメント・セラミック(企業規模 301~500人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、誓約書の内容に関しましては任意で決められる事柄ですし、文面内容でも特に差し支えございません。
但し、誓約書自体に直接の法的効力までは生じませんので、あくまで心理的な抑制効果をもたらすものと理解されておかれるべきといえます。
それ故、誓約書がいかに厳しい取り決め内容であっても、実際に損害賠償請求される場合には個別の事情によって成否が決まる点に留意される必要がございます。
投稿日:2025/11/17 10:38 ID:QA-0160744
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.総評
内容としては十分に実務で使える水準です。
一般製造業の退職者用誓約書として問題となるような「過度な義務付け」はほぼありません。
ただし、次の4点の修正・補強をすればより適切かつ法的に安定した文書になります。
2.ご指摘すべき点(改善ポイント)
(1)「逸失利益」まで賠償させる規定は、過剰と評価される可能性あり
誓約書に損害賠償を明記すること自体はよくありますが、
「直接損害・間接損害・逸失利益を含むすべての損害」
は裁判で減額対象になる可能性が高く、
実務ではそこまで広く書く必要はありません。
・理由
逸失利益(営業機会の喪失など)は算定が非常に難しく、労働者側に著しく不利
一般製造業の退職者に対しては「過大な負担」とみなされやすい
規程が厳しすぎると無効とされる可能性がある
・おすすめの修正
「会社が被った直接かつ通常生ずべき損害を賠償する」
→ これで十分法的効果があります。
(2)「私物機器に保存された情報は完全に削除済み」は“誓わせる範囲として妥当だが”曖昧
文面上は正しいのですが、
「完全に削除済み」の内容を明確化すると実務上の紛争予防になります。
・改善案
「私物スマートフォン、USB、PC、クラウドストレージ等いかなる媒体についても削除したことを誓います。」
→ 裁判でも争点になりやすい「私的クラウド」まで含められます。
(3)「一時的に保管していた情報」条文は良いが、会社側の説明責任を追記するとさらに良くなります。
製造業では、設計データ・顧客情報を個人PCに保持してしまうケースが多いため
条文自体は非常に良いです。
ただし、
削除方法の基準を会社が示す
と紛争になりにくい。
・追記すると良い文言例
「削除・廃棄方法は会社が指定する手順に従うものとする。」
→ 個人情報保護法の安全管理措置の観点からも望ましい。
(4)「機密情報」の定義がやや広すぎて“包括的すぎる”
実務上は問題ないのですが、
裁判では
「過度に広い機密情報の定義」
が無効と評価されることがあります。
特に製造業でよく問題になるのが、
「労務管理に関する情報」が機密情報か?
という点。
これを含める場合は「社内限定情報」の範囲とセットにすると安定します。
・改善例
「労務管理に関する情報(個人情報を除く)は、会社が社外非公開として取り扱うものに限る。」
→ 労務管理情報すべてが機密という扱いは過剰とみなされる場合があるため。
3.その他、軽微だが改善すると良い点
・第1条の目的は問題ないが、個人情報保護法の文言を取り入れるとより良い
「適切に管理し」
は抽象的すぎるため、
「個人情報保護法その他関連法令に従い」
という文言を追加すると安定します。
・「期間の定めなく有効である」は有効。ただし例外規定があっても良い
守秘義務は退職後も有効ですが、
判例では「永続的義務」について
過度に広範すぎる場合は無効となる可能性があります。
さらに強化するなら
「法令により開示義務が生じた場合を除く」
と入れるとよいです。
・署名欄に「返還物一覧」を添付できるようにすると実務で便利
特に製造業では、
製品図面
金型情報
工程表
生産管理データ
などの返還が漏れやすい。
添付書類欄(返還チェックリスト)があると安全。
4.まとめ
項目評価コメント
守秘義務内容◎妥当・標準以上
損害賠償範囲△(過大)逸失利益まで入れるのは過剰
機密情報の定義△広すぎるため限定を推奨
資料返還条文○(良好)私的クラウド等を明確にすると良い
有効期間○永続で問題なし(例外明記推奨)
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/11/17 11:08 ID:QA-0160751
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
基本的な事項についての不足はないものと思案いたします。
但し、損害の程度が大きく、トラブルになりやすい第4条については、
例示をあげて、出来る限り具体的に記載した方が良いでしょう。
また、調査が生じた際に、調査に協力することへの事前合意もとっておくと、
何かあった際にはスムーズに調査できます。
最後に、補足として訴訟へ発展した場合を鑑み、管轄裁判所を明記した条項
を記載することも誓約書等において多く見られる記載事項となります。
投稿日:2025/11/17 11:17 ID:QA-0160752
プロフェッショナルからの回答
対応
一般的制約内容として適切に思います。とはいえ、あくまで念押しのためのもので、実際に漏出などあれば、対応は必要になりますので、トラブルのない辞め方は欠かせません。
また本来は入社時に誓約し、就業中も勝手な情報の持ち出しなどしないよう釘を刺しておくことは非常に重要です。
退職届提出時に必須書類にするなど、なるべく手間を一気に終わらせられるような手続きをお進め下さい。
投稿日:2025/11/17 14:15 ID:QA-0160761
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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