有期雇用社員の雇い止めについて
4月から3月までの1年契約で更新を続けて現在6年目の社員が1月に出産します。
産後休暇に続けて育児休業も取得希望していますが、無期転換せず、4月からも1年ごとの契約を希望した場合に、子が1歳6ヶ月になるまでには雇用契約が終了しているので育児休暇は取れないという理解で良いでしょうか。
1月に出産後、3月末で雇い止めをすることは可能でしょうか。
投稿日:2025/10/28 00:37 ID:QA-0159988
- User-acさん
- 福井県/農林・水産・鉱業(企業規模 31~50人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
|1月に出産後、3月末で雇い止めをすることは可能でしょうか。
雇い止めをすることが可能なケースは、今回の事例では、
契約更新をしない業務上の必要性や、人員構成上の合理的理由
といった、合理的な理由がある場合に限るとなります。
育児休業を申し出たことを理由に契約更新をしないとした場合は、
合理的な理由に該当せず、法令で禁止されている、育児休業取得を
理由とする不利益な取扱い該当いたします。
よって、雇い止めをする際は、理由を良くご検討ください。
投稿日:2025/10/28 14:42 ID:QA-0160003
相談者より
ご回答ありがとうございました。育休取得以外の理由はありませんので、契約を更新しようと思います。
投稿日:2025/10/30 17:47 ID:QA-0160115大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.前提条件の確認(ご質問のケース)
有期雇用契約:4月~翌年3月末までの1年更新契約
現在:6年目(つまり、契約更新が5回以上)
1月に出産予定
産後休暇(出産翌日から8週間) → 3月中旬まで
育児休業を希望(産後休業明けから1歳または1歳6か月まで)
ただし、契約は3月末で満了予定
2.育児休業の取得要件(有期契約労働者の場合)
育児・介護休業法第5条第1項の但書により、有期契約労働者は以下の2条件を両方満たす場合に限って育児休業を取得できます。
(1) 同一の事業主に継続して1年以上雇用されていること
(2) 子の1歳以降も雇用契約が更新される見込みがあること
(=子の1歳6か月の時点においても雇用関係が存続する見込みがあること)
今回のケースに当てはめると…
(1)はOK(継続6年在籍)
(2)はNG(3月末で契約満了予定、1歳6か月時点=翌年7月には契約終了済)
したがって、
・現行契約をそのまま3月末で満了とする場合、育児休業の法的取得要件は満たさない
という理解で正しいです。
つまり、「子が1歳6か月になるまでに雇用契約が終了している場合」は、
育児休業の対象外です(取得できません)。
3.では「3月末で雇止め」は可能か?
結論から言えば、形式上は契約期間満了による終了(=雇止め)は可能ですが、
実際には慎重な対応が求められます。
なぜなら、6年も継続更新している場合、労働契約法第19条が適用される可能性が高いからです。
(1)労働契約法第19条(雇止め法理の明文化)
一定期間反復して契約更新されており、実質的に期間の定めのない契約と変わらない場合には、
使用者が合理的理由なく雇止めをすることは許されない。
つまり、
これまで自動的に更新されてきた
業務内容も継続している
契約更新を期待する合理的理由がある
といった事情があれば、「雇止め」は実質的な解雇と同様に扱われ、
妊娠・出産・育児を理由とする雇止めは無効と判断されるリスクが非常に高いです。
(2)妊娠・出産に関連する保護規定(男女雇用機会均等法第9条)
妊娠・出産・育児休業を理由として不利益取扱いをしてはならない。
妊娠・出産が近い時期に「契約更新を打ち切る」と、
形式上は契約満了でも、実質的には違法な不利益取扱い(マタハラ)と見なされることがあります。
4.行政・判例の実務的運用
行政解釈上、以下のように整理されています(厚労省「育児・介護休業法Q&A」)。
有期契約労働者であっても、育児休業開始予定日前に契約更新が見込まれる場合は、育児休業を与えなければならない。
一方で、契約満了により雇用関係が確実に終了する場合には、休業を与える義務はない。
しかし、「6年継続更新」「同一業務」「過去すべて更新」という実態がある場合、
監督署・裁判所ともに**「契約更新が見込まれる」と判断されやすい**傾向があります。
5.実務的な判断指針
ケース育休取得可否雇止めの法的リスク3月末で確実に終了、更新しない原則、育休不可妊娠を理由とした不利益取扱いと見なされる恐れあり3月末に一旦更新(例えば翌年3月まで)育休取得可能(法要件充足)雇止めリスク低下(出産保護に整合)無期転換(労契法18条)当然、育休取得可能最も安定・リスク低
6.おすすめの対応方針
本人が希望するなら、1年契約を更新し、育休を付与する方向で調整
→ 出産・育児休業期間中は雇用関係を維持。復帰後の勤務体制を別途検討。
どうしても契約を終了する場合は、
- 妊娠・出産以外の合理的理由(業務縮小・派遣先終了など)を明確化
- 本人に説明し、書面で合意(更新打切合意書)を交わす
- 「妊娠・出産を理由にしたものではない」と明確にしておく
育児休業給付金の申請可否についても注意:
→ 雇用保険上も、契約満了予定日が1歳6か月未満の場合、支給対象外です。
7.結論
論点結論育児休業の取得可否3月末で契約終了予定なら「不可」。ただし更新すれば可。雇止めの可否形式上は可だが、実務上は「妊娠・出産を理由とする不利益取扱い」と見なされるリスクが高い。安全策少なくとも育休開始日を含む期間まで契約更新する(1年間更新が望ましい)。根拠法令育児介護休業法第5条、労契法第19条、均等法第9条
以上です。宜しくお願い致します。
投稿日:2025/10/28 14:56 ID:QA-0160006
相談者より
ご回答ありがとうございました。育休取得以外の雇い止め理由はないので、1年契約を更新し、育休を付与する方向で進めたいと思います。
投稿日:2025/10/30 17:51 ID:QA-0160116大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
法的には可能でしょうが、妊娠を理由とした雇止めと取られないような、合理的理由が必要です。かなりのハードルなので、業務縮小や能力を理由とする場合は、それを合理的に証明する必要があるでしょう。
これが非常にデリケートかつ難しいゆえに出産などのライフイベントの時期に、雇止めはしないのが一般的です。
投稿日:2025/10/29 08:53 ID:QA-0160020
相談者より
ご回答ありがとうございました。雇い止めのリスクが高いことが分かりましたので契約を更新しようと思います。
投稿日:2025/10/30 17:53 ID:QA-0160117大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
1年契約で更新を続けて現在6年目ということであれば、出産後であっても3月末での雇い止めは不可能と言わざるを得ません。
①有期労働契約が過去に反復更新(本事例では更新5回と思われる)され、その雇い止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められる場合。
②労働者が有期労働契約の契約期間満了時に、契約が更新されると期待することに合理的な理由が認められる場合。
において、労働者が更新の申し込みをした場合に、使用者がその申し込みを拒否し、雇い止めをすることが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その雇い止めは無効になるというものです。
したがって、育児休業の申し出を理由に契約の更新を拒否することには合理性がなく、不利益な取扱いでしかないということになります。
本人が更新を望むのであれば、更新したうえでの育児休業の取得とするのが適正な処置だと考えます。
投稿日:2025/10/29 10:33 ID:QA-0160026
相談者より
ご回答ありがとうございました。育休取得以外の合理的な理由はありませんので、契約を更新しようと思います。
投稿日:2025/10/30 17:55 ID:QA-0160118大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、有期雇用契約の場合の育児休業取得要件につきましては、「子が1歳6か月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと」と定められています。
そして、上記要件に関しましては、厚生労働省によりますと「育児休業の申出があった時点で労働契約の更新がないことが確実であるか否かによって判断されます。事業主が「更新しない」旨の明示をしていない場合については、原則として、「更新しない」とは判断されません。」と示されています。
従いまして、当事案に関しましても、現時点で契約更新しないものと確定していない以上、契約期間が満了していることが明らかとはいえませんので、当人が希望すれば育児休業を付与される義務が生じます。
投稿日:2025/10/30 13:44 ID:QA-0160096
相談者より
ご回答ありがとうございました。希望があれば長く働いていただきたかったので更新の上限は設けておりませんでした。育児休暇をとっていただくようにしたいと思います。
投稿日:2025/10/30 17:45 ID:QA-0160113大変参考になった
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