企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】カイゴキュウギョウ 介護休業

企業などに勤務する人は、病気やケガで要介護状態にある家族を介護するため、事業主に申し出ることで一定期間休業することができます。これを「介護休業」といいます。介護休業は育児・介護休業法に定められている制度で、事業主は労働者による介護休業の申し出を拒否することはできません。休業期間中の労働者の賃金については、事業主にこれを支払う義務はなく、介護休業を取る人にはその分の所得保障として、一定の要件の下で、雇用保険から介護休業給付金が支給されます。現在、厚生労働省では同制度の見直しが進められており、現行では家族が要介護状態になるごとにまとめて一回ずつしかとれない介護休業を複数回に分けて取れるようにする仕組みや、介護休業給付の給付率の引き上げなどが導入される見通しです。
(2015/12/25掲載)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

介護休業のケーススタディ

取得率3%の休業制度を見直し、離職を防ぐ
3回まで分割取得可能、給付金も引き上げへ

介護を必要とする人は年々増え続け、2014年4月時点で586万人超に。介護保険制度がスタートした00年4月の3倍近くに達しました。高齢化と核家族化が進むなか、要介護状態の家族の介護や看護を理由にした現役世代の離職も深刻化。40~50歳代を中心に、年間約10万人の貴重な人材が仕事との両立を断念し、「介護離職」を余儀なくされています。介護に専念するためにいったん離職してしまうと収入が大幅に減り、あらためて仕事を探そうとしても、とくに中高年の再就職は困難です。

こうした事態を受けて、厚生労働省は、働く人々が要介護状態にある家族を介護・看護するために一定の期間休業することができる「介護休業」制度の見直しを進めています。現政権が掲げる“2020年に介護離職ゼロ”の一環として、17年をめどに実施。使い勝手のいい、柔軟な仕組みにすることで介護休業の利用を促し、仕事と介護の両立を推進するのがねらいです。

介護休業制度において介護の対象となる家族の範囲は、配偶者(事実婚を含む)、父母(養親を含む)、子(養子を含む)、配偶者の父母、労働者本人が同居かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫。対象の家族が要介護状態になった際、現在の仕組みでは一人につき最長93日までまとまった休みを取ることはできるものの、同一の介護状態の間に、休みを何回かに分けて取ることはできません。そのため、より大変な時期に備えて使わずにおこうと介護休業を取り控え、代わりに有給休暇を充てるケースが多いのです。12年の総務省の調査では、介護休業の取得割合は実際に介護をしている雇用者の3.2%(男性3.5%、女性2.9%)にとどまっていました。

今回の見直しでは、育児・介護休業法を改正し、93日の合算日数は変えないものの、休みを最大で3分割できるようにする方針です。これにより、たとえば認知症の親を介護する場合、(1)在宅介護の準備をする段階、(2)施設を探して入所する段階、(3)自宅で最期を看取る段階、というような介護のステージに応じて休みを分割取得し、休業と復職を適宜繰り返すことができます。労働政策研究・研修機構の調査によると、すでに法定を上回り、独自に介護休業の分割取得を認めている企業では、約9割の社員が3回までの取得で収まっており、分割取得ができない企業に比べ就労が持続する割合が高い、という結果が出ています。

また、育児中の労働者には、申し出れば残業を免除される仕組みがありますが、同省はこれを介護のケースにも適用できるよう企業側に義務付ける方針です。さらに育児・介護休業法の改正とは別に雇用保険法を改正し、介護休業給付金も引き上げます。現行制度で休業前の賃金の40%となっている給付率を、育児休業給付金と同じ67%へ。休業間の経済的支援を手厚くすることで不安を軽減し、介護休業の利用を促します。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

ワーキングケアラー
「ワーキングケアラー」とは、働きながら家族や親族などの介護を行っている勤労者を指す言葉です。総務省が2013年に公表した最新の「就業構造基本調査」によると、全国のワーキングケアラーの数は、介護をしている人全体(約560万人)の過半数に相当する約290万人に上ります。うち男性が130万人、女性が160...
介護離職
家族などの介護を理由に、働き盛りの社員が会社を辞めることを「介護離職」と言います。団塊世代の高齢化などで親の介護に直面する子世代のビジネスパーソンが急増する中、介護離職を企業の深刻な経営リスクと捉え、支援制度の整備や職場環境の改善に乗り出す動きが広がっています。 (2012/1/16掲載)
改正育児介護休業法
「育児や家族の介護」と「仕事」の両立支援をさらに推進するため、2005年4月1日から改正施行された法律です。少子化への意識が高まる中、育児休業をとりやすく、職場復帰しやすい環境の整備が求められていることから、より利用しやすい仕組みにするために、育児休業制度などの見直しを行ったものです。

関連する記事

人事マネジメント「解体新書」第97回 仕事と介護の「両立支援」を考える 手遅れになる前に、企業はどんな対策を講じておくべきなのか(前編)
企業の中核を担う40代、50代を中心に、介護を理由とした離職が増えている。介護は「いつ始まり、いつまで続くのか」が分からない。手遅れになる前に、企業としての基本方針を示し、何らかの対策を講じておくことが、組織経営(人事マネジメント)の観点からも極めて重要だ。「...
2016/09/01掲載人事マネジメント解体新書
介護経験のあるビジネスパーソン309人に聞いた 仕事と介護の両立実態
2014年7月に「介護に関するアンケート」を実施し、これまで実際に介護をした人が、どのように仕事と介護を両立してきたのかを実態調査し、その結果から課題と今後の取り組みのヒントを分析しました。
2015/04/13掲載人事・労務実態調査
「働き方改革」推進に向けての実務(6)育児・介護と仕事の両立
「働き方改革」の重要課題である育児・介護と仕事の両立。改正を重ねる法律と支援策について紹介する。
2017/03/31掲載よくわかる講座

関連するQ&A

育児・介護休業について
いつも利用させていただいております。 さて、育児・介護休業の対象者および非対象者を教えていただきたく思います。
介護休職で介護保険給付金を請求する場合
親の介護で休職する際 介護保険給付金が請求できると思いますが、介護認定でのしばりはありますか
介護短時間勤務制度について
いつもお世話になっております。 平成29年1月1日からの育児介護休業法の改正で介護短時間勤務が義務付けられていますが、育児短時間勤務と同様に1日あたりの勤務時間を6時間とする制度が必要なのでしょうか。
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
各分野のプロフェッショナルが親切・丁寧にお答えします。

関連するキーワード

分類:[ 就業管理 ]
テレワーク特集

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

タレントパレット ジョブ・カード制度 総合サイト

50音・英数字で用語を探す

新着用語 一覧

注目コンテンツ


テレワーク特集

「テレワーク」のメリット・デメリットを整理するとともに、導入プロセスや環境整備に必要となるシステム・ツール、ソリューションをご紹介します。


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


「見える化」による効果検証で テレワーク導入をスムーズに実現<br />
西部ガスが取り組む“業務・ワークスタイル改革”とは

「見える化」による効果検証で テレワーク導入をスムーズに実現
西部ガスが取り組む“業務・ワークスタイル改革”とは

福岡市に本社を構える西部ガス株式会社は、「働き方改革」の一環としてテレ...


会社の新しい挑戦を支えるために<br />
人事戦略のよりどころとなる総合的な人材データベースを構築
new

会社の新しい挑戦を支えるために
人事戦略のよりどころとなる総合的な人材データベースを構築

第一三共株式会社は2025年ビジョン「がんに強みを持つ先進的グルーバル...


「グロービス学び放題」導入で公募研修の受講者が増加<br />
“自発的に学ぶ”企業文化を醸成
new

「グロービス学び放題」導入で公募研修の受講者が増加
“自発的に学ぶ”企業文化を醸成

急速に変化する市場環境の中で競争力を維持・向上させていくためには、人材...