契約社員を正社員に登用する際の賃金について
当社では、一昨年9月から今年2月までメンタル不調で休職していた正社員の社員が、今年3月に契約社員・時短勤務で復職しました。復職時、条件を満たせば正社員に戻すことを説明しており、来月から正社員として働いてもらうことになっています。
契約条件は役員が決定しており、提示された雇用契約書には「賃金未定」と記載されていました。
契約社員としての賃金は休職前の月給を時給換算した額で支給していますが、正社員に戻す際にこの水準から減額する可能性もあるのではと懸念しています。
実務担当の立場としては、契約社員時代と比較して業務内容や責任に変更がないため、少なくとも休職前と同等の水準は維持すべきだと考えています。
減額して提示することが法的・実務的に許容されるのかどうか判断に迷っているのですが、問題ないのでしょうか?
投稿日:2025/08/21 10:02 ID:QA-0156930
- いまりがわさん
- 東京都/情報処理・ソフトウェア(企業規模 51~100人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、ご認識の通り以前の正社員時と業務内容等が全く同じであれば他で明確な就業規則上の根拠が無い限り減額は認められないものといえます。
恐らくはパフォーマンスの低下を想定され減給を視野に入れられているものと考えられますが、そうであれば仕事の質量を見直されるか或いは勤務再開後の評価査定を経て行われるのが妥当といえるでしょう。
投稿日:2025/08/21 11:08 ID:QA-0156939
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
|実務担当の立場としては、契約社員時代と比較して業務内容や責任に変更が
|ないため、少なくとも休職前と同等の水準は維持すべきだと考えています。
↓ ↓ ↓
ご質問者様の仰る通り、同等の水準の維持は、最低必要です。
評価基準が社員に公にされており、正当な評価結果に基づき、減給となる
ケースであれば、一定許容できる判断要素もあるやもしれませんが、
通常、契約社員から正社員へ切り替わることで職責が軽くなることはありません
ので、トラブルに発展した際は、会社側が不利に扱われます。
投稿日:2025/08/21 11:42 ID:QA-0156951
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1. 法的側面
(1)労働契約法第8条・第9条
使用者は労働条件を一方的に不利益に変更することはできません。
就業規則の不利益変更も厳格に制限されています。
今回の場合、「正社員→契約社員」への変更は本人同意のうえで行われており、復職時に「条件を満たせば正社員に戻す」ことを説明しているため、原則として「正社員復帰=休職前と同等条件」が本人にとって自然な期待です。
このため、減額提示は「不利益変更」と解されるリスクが高いです。
(2)均衡・均等待遇(労働契約法20条、パート有期法)
契約社員時代の時給換算額はあくまで「便宜的な形」であり、責任・職務内容・配置変更範囲が正社員と同等であれば、不当に低い水準に戻すことは均衡待遇の観点からも問題視されます。
(3)裁判例の傾向
病気休職からの復帰後に「賃金減額」や「非正規化」したケースは、合理性が問われ、会社が敗訴する例もあります。
減額の合理的理由が「本人の業務遂行能力の恒常的な低下」といった客観的な根拠であれば一定の余地はありますが、単なる経営判断や形式的理由では認められにくいです。
2. 実務的観点
契約社員時代は「休職からのリハビリ」的な意味合いで時短勤務+時給換算をしていたに過ぎません。
正社員に戻す際は、少なくとも休職前の月給水準をベースに、時短勤務なら比例按分した額を設定するのが適切です。
正社員に戻すのに、逆に水準を下げることは本人のモチベーション低下や紛争の火種になりやすいです。
3. 実務上の対応指針
基本は休職前と同水準を維持
→ 業務内容や責任に変更がないのであれば、この取扱いが最も安全。
減額を検討する場合の要件
医師の診断や業務能力の恒常的低下が客観的に明らか
労使で十分協議し、本人の納得を得られる場合
就業規則や賃金規程に基づき整合性を説明できる場合
「賃金未定」の契約書は危険
→ 後日紛争になった際に「会社が一方的に決めた」と見られるリスクがあるため、復職時点で賃金条件を明確に定め直す必要があります。
4. 結論
減額提示は、法的にも実務的にもリスクが高く、原則避けるべきです。
正社員復帰にあたっては、休職前の水準をベースに据えることが最も安全。
減額せざるを得ない合理的事情があるなら、本人同意を前提に十分に説明・文書化する必要があります。
実務担当者としては、役員に対して「減額提示は労使トラブルのリスクが高い」旨を強調し、休職前水準を維持する案を推奨されるのが望ましいと思います。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/08/21 12:01 ID:QA-0156953
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