スタッフの交通費について
いつも大変お世話になっております。
職員の通勤交通費についてご相談です。
当社では「最も合理的な経路かつ値段の交通手段」で通勤した場合の交通費を支払うこととしています。
出勤回数の少ないパートスタッフは定期券ではなく都度払いにしています。
最寄り駅から1キロ以上自宅が離れている場合にはバスの利用を認めていますが、何かのタイミングで使用履歴を求めると実際にはバスを利用していないケースが散見されます。(提出を嫌がり「今月分はいりません」と自ら言うスタッフが多いです。恐らく最初から乗るつもりが無いが申請をしていると思われます。)
また、最寄り駅まで自転車で通う場合は駐輪場の利用も認めていますが、こちらも同じく実際には契約していないこともあります。
電車での通勤を申請して定期代が支払われているのに、自転車で通勤し実際には定期を購入していないスタッフや、その点を指摘すると定期を作りコピーを提出した後にすぐに解約し自転車で通勤を続けるスタッフも過去にいました。
このように交通費の不正が非常に多いのですが、バスや電車を利用するつもりがないスタッフにも申請通りの交通費を支払う必要があるのでしょうか。
あるスタッフからは「自宅から最寄り駅まで規定以上の距離があるのだから、バスを利用しなくても交通費をもらえるのは当然のことだ」と逆に苦情を言われたこともありました。(このスタッフは実際にはバスを利用していません。)
アドバイスをいただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/07/03 17:51 ID:QA-0154880
- 困った人事さん
- 東京都/医療・福祉関連(企業規模 11~30人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
通勤交通費の不正申請が頻発しているとのこと、非常に深刻で実務上も対応に苦慮されている状況かと存じます。
以下に、法的観点と実務的な対策の両面から整理してご案内いたします。
1. 法的な交通費支給義務について
通勤交通費は法定の支給義務があるものではありません。
したがって、会社が「合理的な経路・手段で実際にかかる交通費のみ支給する」と定めることができ、実際に利用していない手段について支払う義務はありません。
2. よくある誤解:「バスを使っていなくても距離があるなら支給されるべき」
この主張には合理性はなく、通勤手段としてバスを選択しなかった(あるいは使用していない)なら、バス代を支払う理由はありません。
社員から苦情を受けた場合には、以下のように明確に説明可能です。
「弊社では“実際にかかった交通費”を合理的な範囲で支給することを原則としており、使用実態のない交通手段にかかる費用を支給することはしておりません。」
3. 就業規則・通勤費規程の整備(改定)を強く推奨
不正防止のためには、以下のような明文化されたルールの整備が不可欠です。以下は例です:
【通勤費規程(例)】
通勤交通費は、実際に利用した最も経済的かつ合理的な経路・手段によって通勤した場合の費用を支給する。
実際の利用がないことが判明した場合は、該当額を不支給または返還対象とする。
通勤手段(バス・電車・自転車等)の利用に関しては、会社がその利用状況を確認することがある。確認に応じない場合は支給を見合わせる。
虚偽の申告があった場合は、懲戒の対象とすることがある。
4.実務上の対応策(段階的な導入が現実的)
対策→内容→備考
(1)利用実績の確認→バス・電車のICカード履歴、駐輪場の領収書など→全員ではなく「抽出調査」でも効果あり
(2)年に1回程度の「自己申告の更新」→「実際の通勤手段」について定期的に申請を更新させる→虚偽申告の抑止にもつながる
(3)経路・手段の申請様式を見直し→「実際の利用手段にチェックを入れる欄」+「利用実績の提出が求められる場合がある旨」明記→説明責任が明確になります
(4)定期購入証明の提出義務化→コピーだけでなく、有効期間や区間の記載を求める→即時解約防止策としても効果あり
(5)不正発覚時の対応明記→「返還義務+懲戒処分対象となる可能性」→社内通知などで周知しておく
5. 過去の不正分の取り扱い
実際に使っていない交通費を申請・受給していた場合、返還を求めることが可能です。
ただし、制度や運用が曖昧だった場合は、まずは制度の明確化と今後の適正運用に重点を置く方が無難です。
6. まとめ(方針案)
(1)「実際の利用手段に基づく支給」であることを明確にし、周知・規程整備をする。
(2) 不正・虚偽申請に対しては、返還・懲戒等の方針を明文化する。
(3) 利用状況の確認と定期的な申請更新を制度化し、不正の抑止につなげる。
以上です。よろしくお願い申し上げます。
投稿日:2025/07/04 10:30 ID:QA-0154909
相談者より
大変参考になりました。
あまりに不正が多く、多くのスタッフがそれを当然の権利として乱用しているため困っていました。
頂いたアドバイスのとおり契約書や就業規則の見直し、運用を早急に開始していきたいと思います。ありがとうございました。
投稿日:2025/07/04 11:03 ID:QA-0154920大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
通勤手当は、基本的には実費弁済の性質を持つ手当でございます。
よって、利用していない費用に対し、手当を支払うことは避けたいと
考えるのは普通です。
その際にトラブルを引き起こさない為に重要なのが、
・会社規程における通勤手当に対する規定
・適正な通勤手当支給の為の運用方法と社内周知 の2点です。
・社員が費用を払っているかどうかは確認する為には、定期的なエビデンスの
提出を求めるしかございませんので、定期的なエビデンスの提出義務・及び、
提出ができなかった際の通勤手当の支給取扱いについて、規定ください。
・また、規定された内容について、社員周知を定期的におこなってください。
虚偽があった場合は、懲戒対象となる可能性がある旨もお伝えください。
上記が徹底されていれば、社員は文句を言うことは難しいでしょう。
一方、規定が不足していますと、支給は規定に従って行いますので、
支払いが必要となるケースも生じます。
まずは本件を社内で問題提起いただき、会社規程の改定と周知徹底ください。
少なくとも上記対応以後は、通勤手当を支払う必要はございません。
投稿日:2025/07/04 10:35 ID:QA-0154910
相談者より
アドバイスありがとうございます。
これまで不正があると口頭注意をし、個別対応していましたが、今回「バスに乗っていなくてももらってしかるべきだ」と言い張るスタッフがいたため、早急に規則を整える必要を感じました。
アドバイスのように会社としての規則を整え周知しようと思います。
ありがとうございました。
投稿日:2025/07/04 11:06 ID:QA-0154922大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、交通費の性質からも実際に使用していなければ支払う義務は生じないものといえます。
但し、規定で明確にされておかなければこの度のように対応に苦慮されますので、これを機会に実費精算である事を定めておかれるべきといえます。
投稿日:2025/07/04 10:47 ID:QA-0154913
相談者より
アドバイスありがとうございます。
早急に就業規則などの整備をすすめようと思います。
投稿日:2025/07/04 16:09 ID:QA-0154949大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
通勤手当規定には、
少なくとも、
「実費支給」と「常時公共交通機関を使用する従業員に対して支給する。」
の文言は記載しておく必要があります。
利用しなくてももらえるなどと勘違いも甚だしい従業員に対して、
指導・説明の根拠となります。
また1Km以上のバス利用は少し短いと思われます。
1.5Kmあるいは、2Km以上の変更も検討してください。
投稿日:2025/07/04 15:31 ID:QA-0154948
相談者より
ご回答ありがとうございます。
就業規則の変更を早急に行います。
ご指摘の1キロですが、当院ではGoogleMapで事業所から自宅の距離を確認していますが、この方法で1.5-2km程度以上でしょうか、それとも直線距離で1.5-2kmどちらが一般的なのでしょうか。
投稿日:2025/07/04 16:53 ID:QA-0154954大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
コンプライアンス
本件は交通費の支払いではなく、貴社の組織管理のガバナンスマターです。
法的にも、架空交通費などあれば詐欺にもなりかねない訳で、ナアナアで許されることではありません。
不正は少額でも絶対に許さないという、企業体質を徹底する必要があります。
採用時教育は当然。採用後も不正があれば懲戒を課し、連続すれば解雇や告訴もする旨、しっかり全社員に徹底しましょう。
一度でも不正を働いた人物は毎月証明の提出を義務付けるなど、対策を取って下さい。
投稿日:2025/07/07 18:25 ID:QA-0155048
相談者より
ご回答ありがとうございます。
就業規則の記載の仕方を今見直し、不正が発生しないよう努めようと思います。
先日不正が発覚した社員には「今後使用しない交通費を請求した場合は懲戒処分になる可能性もあるので注意してください」と説明したところ、数日後に「退職します」と申し出がありました。「交通費は利用していなくても自分のもの」と考えていたようなので、逆切れされたのかもしれませんが、このような考えの人が世にいることを知りました。
今後に活かしたいと思います。
投稿日:2025/07/07 19:50 ID:QA-0155052大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
通勤費の本来的負担者
以下、回答させていただきます。
(1)労働基準法において、使用者が労働者の通勤費を負担することは義務づけ
られていません。
(2)むしろ、通勤費については、民法の規定により、本来的には、労働者が負
担するものと認識されます。(以下において、債権者は使用者。債務者は労
働者。)
民法 484条第1項
弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物
の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他
の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならな
い。
民法485条
弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、
債務者の負担とする。ただし、債権者が住所の移転その他の行為に
よって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は、債権者の負
担とする。
(3)以上を踏まえ、「これらにもかかわらず、なぜ、御社があえて通勤費を負
担することにしているのか」について、労働者の方々に丁寧に御説明される
ことが有益ではないかと思われます。
(ご参考)
「通勤手当またはその現物支給たる通勤定期券は、通勤費用が労働契約
の原則からいえば労働者が負担すべきものなので、業務費ではなく、
その支給基準が定められているかぎり賃金である。」
(労働法第十二版 菅野和夫著)
投稿日:2025/07/13 19:58 ID:QA-0155356
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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