他社役員を職員として受け入れる場合の契約形態について
いつもお世話になり、ありがとうございます。
早速ですが、標題の件でご相談させてください。
専門性に配慮して、物流関係関連会社の専務取締役を、私共の物流部門のマネージャーとして勤務受け入れを行なうことになりました。
先方での取締役につき、出向という扱いにはならないと伺っています。
この場合は、関連会社との間でどのような契約を結んで勤務受け入れを行なうことが望ましいのでしょうか。
関連会社には、当該の専務取締役の給与負担金を私共から支払うこととしています。
以上、ご回答のほど、お願いいたします。
投稿日:2015/07/02 10:35 ID:QA-0062875
- 山喜さん
- 東京都/その他業種(企業規模 1001~3000人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
実務運用面での二つの方法
出向は、 労働者が他社へ、 出向くことを意味しますから、 株主総会で選任された取締役 ( 労働者ではない ) が出向することはできません。 然し、 専門的経験、 知識を必要とするニーズは、 常に、 生じ得ます。 その際は、 実務運用面で、 次の二つの方法が考えられます。
① 会社間で、 当該業務に関する助言契約 ( アドバイザリー契約、 指導契約など ) を締結し、当該専務取締役がその任に当たる方法です。 契約金額は、 両社にて協議の上決定され、 会社間で決済するので、 専取の報酬、所得税などの取扱いは従来と変わらないことになります。 但し、 その業務は、 助言・指導に限られ、 相手先企業の被用者マネージャーとしての業務行為をすることはできません。
② 専取が、 一労働者の立場で、 業務委託元会社と独立した雇用契約を締結する。 この場合、 会社法や商法により、 株主から経営を委任された取締役義務、 特に、 善管義務、 忠実義務、 競業避止義務などをクリアーするため、 取締役会の承認を得る必要があります。
投稿日:2015/07/02 13:34 ID:QA-0062877
相談者より
お答えいただきありがとうございます。
マネージャーとして勤務しますので、②の方法が適当ということで、理解いたしました。
あわせて、専務取締役を下りて、取締役となっている場合も、同様に考えてよろしいでしょうか。
関連する質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
投稿日:2015/07/02 14:14 ID:QA-0062878大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
実務運用面での二つの方法 P2
代表取締役以外の役付 ( 副社長、 専務、 常務など ) は法的資格ではなく、 私的資格です。 つまり、 代取以外は、 すべて取締役です。 依って、 専務取締役を降りる、 降りないは、 関係ありません。
投稿日:2015/07/02 17:59 ID:QA-0062883
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2015/07/02 18:02 ID:QA-0062884大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
文面には「出向という扱いにはならない」とございますが、そうなりますと当該専務取締役を従業員として受け入れる為には原則として御社と当該専務取締役との間で雇用契約を締結しなければなりません。会社間で契約を結んで受け入れるとなりますと、明らかに実態としては出向という事になりますので注意が必要です。
そして、雇用契約を結ばれる場合ですと、給与(賃金)は労働基準法による賃金直接払いの原則に基づき、御社から当人に直接支払いしなければなりません。それ故、御社から給与負担金を関連会社に支払って関連会社から当人に支給するとなれば、明らかに法令違反となってしまいます。
以上から分かりますように、文面内容を拝見する限りでは、当該専務取締役はやはり出向者として受け入れるのが妥当といえるでしょう。その旨関連会社ときちんと相談された上で法令違反とならない受入れ方をされる事が重要になります。
投稿日:2015/07/02 20:09 ID:QA-0062888
相談者より
ご回答ありがとうございます。
現所属との間で取り扱い方を決めれば、出向者として取り扱って問題はないということですね。
投稿日:2015/07/03 13:40 ID:QA-0062902大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
ご返事感謝しております。
「現所属との間で取り扱い方を決めれば、出向者として取り扱って問題はないということですね。」
― ご認識の通りです。その際は当然ですが、トラブルを生じないよう会社間で出向契約を締結される事が必要となります。
投稿日:2015/07/03 22:19 ID:QA-0062912
相談者より
ご回答ありがとうございました。
相手先との間での確認を密にしてすすめたいと思います。
投稿日:2015/07/06 12:50 ID:QA-0062925大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
-
出向者である役員の労働保険について 役員で在籍出向している者が数名い... [2006/07/24]
-
転籍出向者の出向について 弊社の子会社に転籍出向させている... [2006/03/01]
-
出向者が一定期間 出向元で働かいていたときの労災は? 出向元から、出向者を一定期間 出... [2020/03/28]
-
出向に関する注意事項 出向契約をする際、通常、出向元の... [2011/07/28]
-
二重出向の可否について 二重出向(再出向)の可否について... [2018/12/13]
-
出向通知の取得について 出向において、出向通知や同意書を... [2022/10/13]
-
出向料について 在籍出向での契約を行った場合の出... [2010/03/31]
-
出向者をその出向元から請け負った業務に就かせる 質問させて頂きます。以下のような... [2013/03/28]
-
出向契約期間中に一時的に出向元で就業させる場合 出向者を出向契約期間中に一時的(... [2022/08/26]
-
翌日に跨ぐ勤務時間について 基本的な質問になるかと思いますが... [2005/11/10]
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。
関連する書式・テンプレート
役員の辞任届
労働者の立場ではない役員が辞任をする際の届出です。
出向同意書(サンプル2)
出向同意書の書式文例です。
出向命令書と出向同意書はセットで用意しましょう。また、出向命令が権利濫用にあたらないかの注意も必要です。
在籍出向・転籍出向など形態に合わせて適宜編集した上でご利用ください。
出向同意書(サンプル1)
出向同意書の書式文例です。
出向命令書と出向同意書はセットで用意しましょう。また、出向命令が権利濫用にあたらないかの注意も必要です。
出向通知書・出向命令書(サンプル1)
出向通知書・命令書の書式文例です。
出向命令書と出向同意書はセットで用意しましょう。また、「労働契約法14条」の定めに則って、出向命令が権利濫用にあたらないかの注意も必要です。