給与を出向元が全て負担する研修目的の出向は可能ですか?
若手の育成を目的とした、グループ内出向を行いたいと考えています。
①可能かどうか
②可能な場合、具体的にどういう手順を踏めばよいか
③不可能な場合、『出向』という扱いに拘らなければ可能かどうか
をご教授いただきたく。
弊社(以下、A社)とその100%子会社(以下、B社)(いずれも国内法人)において、
・対象:若年層社員
・目的:研修(関係会社の商品・技術知識を習得し、原籍復帰後、その知識・人脈を
生かす事により、グループとしての利益強化を図る)
・期間:1年間
・業務:出向先の業務を行う
の出向を行う。
費用負担については、
・給与及び賞与、退職金等の人件費
出向元(A社)負担
・出張旅費等、出向中の日常業務で発生する諸経費
出向先(B社)負担
とする。
ちなみに、A社からB社への出向だけではなく、同時に、B社からA社への出向も予定しています。
簡単に言うと、A社とB社の各営業部長が
『お互いの若手をお互いで育てようか。両方の事がわかれば、お互いの得になるしね。
給料は元が負担ね。研修中に業務上発生する経費は先が負担ね』
と決めてきた内容を実現する方法をご教授いただきたく。
投稿日:2012/05/21 15:23 ID:QA-0049589
- *****さん
- 京都府/機械(企業規模 1001~3000人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
出向について
①について
可能です。人材の育成・能力向上を目的とした出向はよくある出向目的の一つです。
②について
以下ご確認ください。
・就業規則等に出向規定は記載してあるか。(ない場合は、改定するか、個別の同意が必要です)
・出向契約書を締結する。(出向先と、出向期間、賃金、労働時間、休日等について取り交わします)
・出向通知書を本人に交付する。
投稿日:2012/05/21 15:55 ID:QA-0049591
相談者より
早々のご回答、ありがとうございます。
就業規則等には記載してありますが、賃金に関しては『出向先負担』となっております。とはいえ、この点に関しては出向契約書への覚書等で個別締結してしまえば、問題ないかと考えております。
質問に書けばよかったのですが、一番気にしているのは、
『出向先の業務を行い、研修中とは言えその成果は出向先に帰属する(例えば営業で売り上げに貢献した等)にも関わらず、賃金は出向元が100%負担する』
という点が、税法上の問題(出向先に対しての利益供与等)とならないかという点です。
この点もクリアできるのでしょうか?
投稿日:2012/05/21 16:44 ID:QA-0049592参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
▲税法上の問題については、詳細は、専門家である税理士さんにご確認にお願いいたします。
その上で、ご参考まで。
ご質問のように、「合理的理由」がない場合には、利益供与となるケースもあるようです。
出向社員は、出向先で働くわけですから、出向元が支払うにしても、出向料等で出向先が賃金負担をしてもらのが望ましいわけです。
ただし、出向元の若手社員を人材育成目的で出向させるケースや出向先に支払い能力が欠けているケースでは、出向元が全額負担すべきとされています。
税法上の問題についても「実態」で判断されるということですので、最終確認は税理士さんにご相談くださるようお願いいたします。
投稿日:2012/05/21 17:47 ID:QA-0049594
相談者より
度々の回答、ありがとうございます。
一度、税理士さんに相談してみます。
『出向元の若手社員を人財育成目的で~~~出向元が全額負担すべきとされています』
というのは、どこかに記載されているのでしょうか?
投稿日:2012/05/22 14:05 ID:QA-0049611参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
「 受益者負担 」 が原則
給与に限らず、出向における費用は、「 利益を受ける側 」、即ち、「 受益者負担 」 が原則です。一般的には、出向目的が、研修なら、出向元が、技術指導であれば、出向先の負担といった具合です。 税務上の原則にも即した負担方式です。 研修の場合、この原則を、ベースにして、一定率の出向先への寄与度を出向元、出向先双方で認識し、出向先が負担するような、バリエーションも、実態を伴う限り、それぞれで、損金処理が可能です。但し、出向契約書における明記、業務記録などが、税務上、要求されますので、お忘れなく。
投稿日:2012/05/21 21:01 ID:QA-0049595
相談者より
ご回答ありがとうございます。
最終的には、税理士さんへの相談が必要であり、その回答も100%ではない(最終は税務署が判断)事も認識した上で、改めて質問です。
①研修(育成)を目的とした出向において、
②出向先の業務を行う=業務の成果(売り上げ等)は出向先に帰属するが、
③書面類をキッチリと揃える事により、
④出向元が100%負担する
という事は問題ない。
と、税務署が判断する可能性は高い(またはそういう実績がある/聞いた事がある)。
という事でしょうか?(出来れば、Yes/No でお答えいただけるとありがたいです。②と④の共存が「受益者負担」に反するので、厳しいような気がしていますが・・・。)
質問の趣旨としては、
『道がない(または、道はあるが非現実的である)のであれば、”出向元100%負担”を諦めた策を考える為』
です。
投稿日:2012/05/22 14:00 ID:QA-0049610大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご質問の件ですが、税務面に関しましては当方専門外であり既に他の専門家の方々から回答も出されておりますので、こちらでは人事労務管理面からの回答とさせて頂く件ご了承下さい。
その上で申し上げますと、出向内容に関しましては法的な定めがございませんので会社間で協議し合意の上出向契約にて原則任意に取り決めることが可能です。出向目的がグループ会社間での人事交流や研修であればごく一般的なものですので、偽装出向と扱われる事もなく何ら問題はないといえるでしょう。
従いまして、文面のような内容で出向契約を締結し両社間で互いに出向を行うことは勿論可能といえます。きちんと契約締結を行えばよいわけですので、特に採られるべき手順といったものもございません。
但し、社員に出向を命じる際には出向を行う場合がある旨の定めが就業規則になされているか、或いは定めが無ければ当該社員の同意を得て出向してもらうことが必要になります。特に出向した結果、賃金や労働時間・休日等で条件が不利になる場合は、何らかの形で補填を行う事が求められます。人事労務管理面ではこの点が最も注意すべき事柄といえるでしょう。
投稿日:2012/05/21 23:00 ID:QA-0049599
相談者より
ご回答、ありがとうございます。
人事面では、就業規則や出向契約、出向通知、本人同意、本人不利の際の補填等々、問題無い事は確認できました。
確認できていないのが税務面でして・・・。
そもそもの質問が言葉足らずで申し訳ありません。
投稿日:2012/05/22 13:18 ID:QA-0049609参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
「 受益者負担 」 が原則 P2
研修出向の主たる目的は、「 出向先に研修して貰う 」 ことですから、簡単に言えば、授業料一式は、受益者である、「 出向元 」 が全額負担するのが、原則です。勿論、全額、人件費として損金処理が可能な経費です。 なお、出向先での業務従事も現場研修であり、付随的に派生する成果は、プラスもあればマイナスもある、結果的副産物なので、出向契約書などに、わざわざ記載する必要もないと思います。 国税の見方も、恐らくその通りだと思います。 問題があるとすれば、「 名ばかり研修 」 で、実態は、出向先に対する業務提供 ( 契約と実態が一致しない ) のような場合です。
投稿日:2012/05/22 14:35 ID:QA-0049612
相談者より
回答ありがとうございます。
出向元100%負担の道があるという事が理解できました。
その道に向かって策を考え、税理士や税務署へ相談する事にします。
本当に度々のご回答、ありがとうございました。
投稿日:2012/05/22 21:03 ID:QA-0049618大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
労務管理上の観点および税務上の観点からの一般論としてあげませていただきました。
■経験上、言えますことは、
出向元が全額賃金を負担するからといって、何でもかんでも利益供与や寄付金とはならないということです。出向の「目的」により、どちらに利益があるのかといったポイントになってきますので、目的が出向元社員の人材育成であれば、出向元が負担すべきであろうということです。
ただ、ご質問の中で、出向先の営業利益等という記載もありましたので、詳細は、税法上ということですと、労務管理の域を超えていますので、念のため、税理士さんや税務署さんに確認をお願いいたしました。
投稿日:2012/05/22 14:56 ID:QA-0049613
相談者より
回答ありがとうございます。
出向元100%負担の道を進む為の根拠を探す旅ですので、少し”揚げ足とり”のような追加質問をしてしまいました。申し訳ありません。
税理士や税務署へ相談する事にします。
度々のご回答、本当にありがとうございました。
投稿日:2012/05/22 21:08 ID:QA-0049619大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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