異動時の減給・降格について
いつも参考にさせていただいております。
現在、子会社に出向中の従業員の処遇について、お尋ねしたく宜しくお願い申し上げます。
今回人事異動で本体に戻す事を検討している従業員がおりますが、出向期間中は代表者として出向させておりました。本体での役職は次長クラスでしたが(出向中なので現在も次長のまま)、処遇については代表者と言う事もあり、部長職クラスとして扱っておりました。ただし、処遇に関しては社内規程等に明文化されておらず、「代表者」と言う括りからそのように設定したのですが、本体に戻す事により役職も次長になる事から、処遇も現在の部長から副部長→次長へと2ランクダウンさせる事を検討しております。
対象者に説明を行った際に本人より何か問題を起こしたとかは一切なく、会社意向で異動となるのに役職は受け入れる事が出来ても減給は受け入れられないと話がありました。対象者からは自身の生活も掛かっているし、異動して下さい、減給になりますは到底納得出来ないと発言がありました。
異動により対象者の年収が100万円近く下がる事となるのですが、これは不利益変更に該当するのでしょうか。
投稿日:2025/08/14 11:16 ID:QA-0156638
- 都合のいい野郎さん
- 兵庫県/運輸・倉庫・輸送(企業規模 101~300人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、就業規則に明記された内容に従った異動及び減給措置であれば不利益変更には当たりません。
一方、特にそうした具体的な定めがないようでしたら、現行の処遇は原則として既得の労働条件とされ当人の同意無くして変更は認められないものといえるでしょう。
投稿日:2025/08/18 10:53 ID:QA-0156685
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/08/18 11:12 ID:QA-0156694参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1. 出向復帰における役職・処遇の原則
出向は「出向元の会社と労働契約を維持しながら、出向先で勤務する」仕組みです。
出向中に出向先での役職や処遇が高く設定されることはありますが、出向元の会社での正式な役職・等級が変わるわけではありません。
したがって、本体(出向元)に戻すときには原則として元の役職・処遇に戻すことが可能です。
2. 不利益変更の考え方
労働契約法第9条は「労働者に不利益に変更する就業規則の変更は、合理性が必要」と定めています。
今回のケースでは
役職:本体での正式役職は「次長」であり、戻す際に「次長」とすること自体は合理的。
処遇(給与):出向中に「部長格相当の処遇」として上乗せしていたが、それを戻すことで「100万円近く年収が減少」する。
→ この「処遇減」は、労働者にとって明確な不利益です。
ただし、
出向中の部長処遇が「一時的な便宜的措置」であることを本人が事前に認識できる状態であったか
会社の給与規程や役職手当の運用に一貫性・明文化があるか
よって、「不利益変更」として違法性を問われるかどうかが分かれます。
3. 裁判例・実務上の傾向
裁判所は「本人に落ち度がないのに処遇を下げる」場合には厳しく見ます。
特に100万円規模の減収となると、「生活保障上の不利益が大きい」と評価されやすいです。
一方で「出向元での正式な役職・給与体系に戻しただけ」と言える場合は、会社側の裁量が認められることもあります。
4. 実務上の対応策
出向中処遇の位置づけを整理
「部長格処遇は出向先で代表者を務めるための特例であった」という点を明確にする。
社内規程や辞令文言で裏付けがない場合は、説明責任が重くなります。
本人への説明と調整
「役職は次長だが、処遇については段階的に調整する」「手当や特別加算で激変を緩和する」といったソフトランディングを検討。
特に100万円近い減収は「不利益変更」と争われやすいので、経過措置(例:1年間は部長処遇を維持、その後見直し)」を設けることが安全です。
記録の整備
「出向中の処遇は一時的な措置である」旨を文書で残す。
将来の同様事例に備えて、規程や社内ルールに明文化しておくことを強く推奨します。
5. 結論
役職を「次長」に戻すこと自体は合理的であり、違法とは言えません。
しかし、年収が100万円下がる処遇変更は不利益変更に該当し得るため、本人の納得を得られずに強行すると労務リスクが高いです。
実務上は「経過措置を設ける」「加算手当を支給する」などの激変緩和策を講じつつ説明することが適切です。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/08/18 10:55 ID:QA-0156686
相談者より
ご回答ありがとうございました。
役職については対象者から理解を得る事が出来ましたが、減給については就業規則にも給与規程にも明文化されておらず、ただ出向時は「責任者なので部長待遇にする」と言う口約束だけで支給しておりました。今回の異動も元の役職に戻すので給与もそれに伴い次長給に戻すと伝えましたが、対象者は大きなミスを犯した訳でも無く、評価も平均点なのに何故2階級下がるのかが理解出来ないと言い、会社からは評価が平均点だった事、そして新規提案が無かったからこの結果となったと伝え、後任人事が決まっているので異動に応じないのであれば次に何処に配属されるか不明となると説明しました。対象者からは「全く考える余地が無く、逃げ場もない会社だけが得をする卑怯な人事異動だ」と酷評され、無力な子会社に新規案件ばかり求める親会社の経営方針に辟易していると話がありました。
投稿日:2025/08/18 11:31 ID:QA-0156697大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
ポイントは、降格にともなう減給が、合理的かつ客観的な基準にともない、
実施されているかどうかとなります。
その上で、処遇に関しては社内規程等に明文化されておらずとのことですので、
対象者の方の主張も一定、筋が通るものとなります。一方、役職が次長となる
ことは事実ですので、一概に不利益変更とも言えません。
制度が整備されていない以上、役職は次長とのことですが、次長における給与
バンド上の上限に設定されるのが、着地地点ではないかと思案いたします。
いづれにしましても、本件においては話し合いでの解決となります。
投稿日:2025/08/18 13:45 ID:QA-0156726
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/08/18 15:11 ID:QA-0156736大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
不利益変更となります。
また、処遇に関しては社内規程等に明文化されておらずということですので、
本人の同意が必要です。
社内規程等に明文化されていれば、合理性があるとされ、同意が不要となり得ます。
投稿日:2025/08/18 17:29 ID:QA-0156766
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/08/19 07:21 ID:QA-0156812大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
契約内容の変更
以下、回答いたします。
給与(基本給)を引き下げる人事であり、契約内容の変更と解し、使用者が当然に降格を命ずることはできず、労働者の同意または就業規則上の根拠規定が必要になると考えられます。
投稿日:2025/08/18 19:14 ID:QA-0156788
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/08/19 08:13 ID:QA-0156813大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
社員の申し立てに道理があると思います。それを否定するには、出向命令時に、本出向が臨時のものであり、給与条件も併せて時限である旨を本人が理解した署名などが必要でしょう。それらがなく口約束だけであれば、本人申し立てのように、会社が命令して条件を下げているだけに思います。
役職は同意できているのですから、給与条件で年収百万もの差額を出してしまった経営責任は任命者である会社と考え、給与は現状保証されるべきでしょう。
投稿日:2025/08/18 22:33 ID:QA-0156806
相談者より
ご回答ありがとうございました。
出向命令時点では臨時とも無期とも説明を行っておらず、給与条件についても出向後に給与制度が変更になり、出向後も次長給で支給していたのですが、制度変更に伴い部長給に変更しました。本人には給与変更の通知書のみ送っており、そこには減給に関する説明や時限である旨も明記されておらず、署名の取り交わしも行っておりませんでした。
本人は渋々今回の異動を受けると言いましたが、同時に労働局にも相談に行くと申しており、本人が納得出来るまで説明を聞きに行くと言ったので、異動を受けないのであれば、後任が決まっている事から次は何処に配属されるか分からない、処遇もどうなるか分からないと伝えた所、社員に少しの選択肢を残さないパワハラ人事でありブラック企業だと反論されました。
投稿日:2025/08/19 08:43 ID:QA-0156821大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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