給与過払いの返金について
社員寮の使用料を27ヶ月間にわたり控除漏れのあることが見つかりました。
毎月31,500円の控除漏れにつき、合計すると850,500円にもなります。
27ヶ月前に給与ソフトのメンテミスが原因ですが、控除漏れがこれだけの期間にわたり
発見されなかった弊社のチェック機能にも問題がありました。
さて該当社員へは返還について話をしなければいけませんが、金額が膨大なために
どのような対応が適当でしょうか。
アドバイスをお願い致します。
投稿日:2018/05/22 20:45 ID:QA-0076698
- TED362さん
- 愛知県/商社(専門)(企業規模 301~500人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
返金請求は当然の権利、法的制限はない。再度の不祥事、給与担当者にも損害賠償請求を
▼2カ月程前にも、金額は違いますが(前回は6万円)、同テーマのご質問がありましたね( QA-0075820 dd 18/03/29)。
▼念のため、以下、回答を再掲しますが、今回は、複数度に亘る徴収漏れ、多額でることを勘案すれば、給与担当者に、故意または過失の有無に関わらず、未返還の過払い部分等につき損害賠償(民法415条または709条)を視野にいれて対処することが必要と思われます。
▼以下、前回回答
<返金請求は当然の権利、法的制限はなく、従業員に対する一切の斟酌は不要>
● 先ず。「返還請求の可否」に就いては、賃金が過払いされた場合には、使用者から過払いを受けた本人に対する不当利得返還請求権が生じます。使用者や給与担当者に過失がある場合でも構わないと解されています。
● 次に、本人が善意(過払いを受けた事実を知らなかった)場合は、過払い部分の6万円だけを返還させることができます(民法703条)。悪意(事実を知っていた)場合は、6万円に利息を付けて返還させることができます(民法704条前段)。
● 使用者から労働者に対する過払い部分についての不当利得返還請求権の消滅時効期間は原則として10年となります(民法167条1項)。
● 給与担当者に故意または過失がある場合には、未返還の過払い部分等につき損害賠償をさせることができる場合があります(民法415条または709条)。
● 賃金からの控除は、賃金は全額払いが原則とされているので(労働基準法24条1項本文)、できないのが原則です。ただし、過払部分の賃金からの控除を可とする労使協定がある場合には、例外として控除が認められます(労働基準法24条1項但し書)。
● 尚、過払いの点検及び申告は、「労働者の一般的義務」として元々義務付けられているというのが、法曹界の通念となっています。依って、返還請求に際して、一切の配慮は不要と考えます。
投稿日:2018/05/23 12:13 ID:QA-0076708
プロフェッショナルからの回答
請求
社員は本来の寮費額を知っている前提ですが、完全に会社側の手落ちですが、不足は不足ですのでていねいに事情を説明し、社員の理解の上返還してもらうことになるでしょう。当然一括払いなど大きな負荷をかけるべきではなく、ごく少額にして長期返済にするなど、できる限り社員の負担にならないように工夫が必要です。可能であれば会社の責任として、一部を負担などできればより好ましいと思います。
投稿日:2018/05/23 12:45 ID:QA-0076711
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
会社のミスではありますが、本来、本人が支払うべき寮費です。
ただし、返還については、よく本人と相談し、一括が不可能なようであれば、分割払いとして、社員の生活を脅かさない配慮も必要となります。
裁判例では、過払いが隣接し(例えば翌月に過払い分を控除)、額もさほど多額ではなく、事前に予告していれば、労使協定はなくとも控除可能としています。
今回のように、多額にわたるケースでは、労働者の自由意思に基づく同意であれば、給与控除も可能としています。
投稿日:2018/05/23 17:24 ID:QA-0076721
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、これ程の長期間に渡りソフトのメンテミスに気付かれなかったというのは担当者の重大な過失といえます。
但し、社員寮の負担について該当社員に周知されていたとすれば、他の諸手当の場合と比べましても当人が気付いていた可能性は高いものと思われます。よって、不当利得としまして返還してもらうことは可能ですが、いきなり全額請求というのはさすがに厳しいものと思われます。
そこで対応としましては、会社側の不手際について説明された上で、返還方法については本人の希望も考慮し相談される中で決められる他ないものといえるでしょう。その中で話がこじれるようであれば、多少の減額にも応じられる等、柔軟に対処されるのが妥当と考えます。但し、公平性の観点からも大幅な負担免除については避けるべきといえるでしょう。
投稿日:2018/05/23 19:54 ID:QA-0076732
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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