私傷病休職者の復職について
現在、いわゆる難病で休職中の従業員がおりますが、症状が固定したため復職したいとの意思表示がありました。
医師の診断書には、「症状は軽減してきており、外来通院と2ヶ月間の自宅療養が必要であるが、軽作業を試してみても良い」と記載されております。
なお、その従業員とは職種を特定した雇用契約を結んでいるわけではありませんが、軽作業と呼べる業務を用意できるかというと難しい状況です。
・どの時点で就労可能とみなすのか
・会社としてどの程度まで配慮すべきであるのか(リハビリ出勤等)
・勤務時間の軽減による処遇変更(給与の減額等)を行う場合の注意点
一般的にはどのような対応をすれば問題がないのかお聞かせいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
投稿日:2006/09/11 10:00 ID:QA-0005975
- o2gさん
- 愛知県/その他業種(企業規模 51~100人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
私傷病休職者の復職について PART 1.
PART 1
■休職者については「気の毒だ」「何とかしてやりたい」という気持ちが先行して、医師の診断書を鵜呑みにして、場合によっては、無理に軽減作業などを作って復職させるケースがしばしば見受けられます。結果の良し悪しはさまざまでしょうが、人情論に振り回されないためにも、検討に先立って、復職させる義務が会社に発生する条件を一度確認しておく必要があります。
■まず、最初に、医師の診断書は、特別の規定がない限り、判断材料の一つに過ぎず、就業規則上の「休職事由が消滅したか否か」は、あくまで会社の判断であるということです。医師の診断書は、患者との信頼関係や、退職となれば収入の道が途絶えるなどの事情から、患者の依頼によって復職可能と記載される可能性があります。医師の立場から仕方のないこととはいえ、この点は使用者が自分の責任で見極める必要があります。
■診断書は鵜呑みにせず、医師に問い合わせるべきです。本人の業務内容が正しく説明されていない可能性も大いにあります。実際の業務内容を正しく説明した上で、通常通りに実施できる健康状態に回復しているのか否か、更に、それより悪化することはないか等を確認するのです。それでも疑念が残るようであれば、会社の指定する医師による検診を命じ、確信できる情報に基づき措置を講ずるべきです。
投稿日:2006/09/11 14:17 ID:QA-0005978
相談者より
早速ご回答いただきありがとうございます。
ご指摘のとおり、現場の管理者は感情的になっている部分があります。それに押し流されないように対応したいと思い、今回投稿いたしました。
復職に関しての当社の流れとしましては、担当者と面談⇒産業医面談・判断⇒会社判断となります。今までに復職を不可とした者もおります。
また、本人の了解を得て医師にも問合せをいたしますが、実は当社の産業医と同じ病院の医師でもあり判断が難しいところです。(下に続きます)
投稿日:2006/09/11 15:17 ID:QA-0032493大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
私傷病休職者の復職について PART 2.
PART 2
■次に重要なポイントは「本人に課された業務内容を通常通りに実施できる健康状態に回復している」という意味は、出社できるとか、軽作業に従事できるとかいった意味ではなく、本人の健康時の業務遂行と同じレベルの基準まで回復したという意味です。従って、社会復帰の一環、短時間就労、軽減作業などなら就労可能というのは、休職事由が消滅したことにならないということです。
■少々長くなりましたが、以上の重要な点を抑えた上で、今回のご相談を見ますと、
① まず「復職の条件は満たしていない」と判断され、復職は拒否できます。
② 次に「軽作業と呼べる業務を用意」することはできず、「病状も固定化」(病状の進行もない代わりに改善も難しい)するならば、リハビリを通じ、ほどなく通常業務へ復帰できる回復振りも期待できないと判断され、就業規則に則った措置(休職期間満了に伴う退職)を講ずるのが妥当だと考えます。
■ご質問について(要望を受け入れる方向の場合)
●どの時点で就労可能とみなすのか⇒現時点では、医師の診断書を鵜呑みにはできません。
●会社としてどの程度まで配慮すべきであるのか⇒通常業務への復帰可能性次第となります。
●勤務時間の軽減による処遇変更⇒軽作業(業務内容変更)時短勤務(労働時間変更)いずれの場合も、変更に際しては、キーワードとして、合理性(筋の通った)と透明性(納得し易い)を使われることをお勧めします。
投稿日:2006/09/11 14:19 ID:QA-0005979
相談者より
本掲示板の仕組みがよくわかっておらず、見づらくなってしまい申し訳ありません。
「軽作業」という言葉は診断書にあったものですが、その従業員の原職は負荷が高い業務ではありません。ですので、それ以上の軽作業を作り出すことが難しいという意味で書きました。
主な病状に「易疲労性」があり、時間短縮をすることで原業への一部復帰が可能と考えられないこともありません。ただ、復職を認めることで症状が悪化する可能性がないともいえませんので、今後は慎重に進めていきたいと思います。
丁寧なご回答、誠にありがとうございました。
投稿日:2006/09/11 15:37 ID:QA-0032494大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- この回答者の情報は非公開になりました
私傷病休職者の復職について
通常は、治癒し”従前の職務を通常の程度に行える健康状態に復したとき”に就労可能となったと解されます。このような状態で復職を認めるのが一般的だと考えられますが、そうも行かないケースが出てきます。
ご相談によると、従業員本人は「症状は固定した」と言っているようですが、医師の診断書から判断して元の職務への復職は認められません。念のため、会社の指定医があればそこでの受診を命じる方が良いと思われます。
今回のように、職務の変更や作業量の軽減をすれば労務を提供できると診断されたケースでは、最近の判例では、”使用者はその企業の規模や社員の配置、異動の可能性、職務分担、変更の可能性から能力に応じた職務を分担させる工夫をすべきである”とした努力義務を課しています。裏を返せば、会社として、業務上過度な支障を生じさせてまで復職させる義務はないことになります。
ご相談では、軽作業と呼べる業務を用意できないので勤務時間の軽減で対応するということですが、通常、休職中は無給と言う規定になっていますが、たとえ休職中のリハビリではあっても、指揮命令の下での就労であるならば、賃金が発生します。賃金を初めとする労働条件について、事前に本人との話し合いをして合意をしておかなくてはなりません。
投稿日:2006/09/11 14:46 ID:QA-0005980
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復職申請書
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傷病による休職を経ての復職の場合は、復職申請書と医師の診断書をもとに復職可否を判断します。また時期の明確化、記録のために復職許可証を発行するとよいでしょう。