雇用形態の変更について
最近、出産育児・介護・病気などの理由により、転勤が不可能な状態になった総合職社員が増えてきています。
転勤を伴う人事異動の際には、その対象から外さざるを得ず、他の社員との不公平感も出てきているため、区分(コース)を新たに設け、転勤できない状態になった社員は、別の処遇制度(昇給・昇格など)にすることを検討しています。もちろん、再び転勤可能な状態になった場合は、元のコースに戻ることを前提とします。
このような制度の変更に何か問題があれば、教えてください。また、同じようなことを実施した経験があるかたはアドバイスなどいただければ幸いです。
投稿日:2011/05/04 23:15 ID:QA-0043766
- 役員事務担当者さん
- 東京都/繊維製品・アパレル・服飾(企業規模 1001~3000人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
御相談の件ですが、育児介護の場合とそれ以外の個人的な事情の場合は区別して考えなければなりません。育児介護理由の場合には、育児介護休業法上で配置に関する配慮義務が定められていますので、事情をよく聴いた上で育児介護の妨げにならないよう特に慎重な対応が求められます。この場合、他の社員との不公平感から配慮をしないというのは正当な理由になりません。一方、その他の事情ですと、重大な疾病等であればともかく、単なる個人的な事情で転勤を拒否するようであれば、御社規定に沿った処分を科す事は当然の措置といえます。
また、育児介護を理由とする場合には労働者への不利益な取り扱いも禁止されていますので、総合職からのコース変更というのも避けるべきです。御社の事情にもよるでしょうが、一定の限られた期間において転勤が困難になってもそれだけの理由で総合職に適さないと判断するのは合理性に欠けるものと考えられます。
但し、多くの場合本人も現状十分に職責を果たしていない事を認識しているものと思われます。特に育児介護の負荷が長期化するような場合にはその可能性が高いはずです。従いまして、対応としましては本人と相談の上、同意を得た上で処遇の変更等を行う方向へ持っていくのが最善策といえるでしょう。
投稿日:2011/05/05 11:25 ID:QA-0043767
相談者より
ご回答ありがとうございました。大変参考になりました。また、分からないことがありましたら、相談させていただきたいと思います。
投稿日:2011/05/17 16:57 ID:QA-0043959大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
転勤の「事実」ではなく、「可能性」に対する処遇の変更は難しい
|※| 「 総合職 」 の実態は、同じ呼称であっても、実態面では、企業ごとにかなり異なっています。よく目にする区分要素は、非定型的基幹業務か、定型的業務といった 「 業務区分 」 と 「転勤・出向義務の有無 」 の2つです。
|※| 発生頻度は別にすれば、組み合わせは4通りあり得るわけですが、実際は、「 総合職 = 基幹業務 + 転勤義務有 」 と 「 一般職 = 定型業務 + 転勤義務無 」 という構図で定められているのが大半でしょう。総合職で転勤を断った場合、総合職からはずれる、出世が遅れる、降格・減給の可能性、リストラ要員化など、生々しい声も耳にします。
|※| 御社における総合職の個人別の転勤頻度の実績は分かりませんが、勤務生涯期間を通じて、転勤ゼロの者と、数回の転勤を余儀なくされる者とが、ともに、同じ、総合職処遇を与えられている状態なら、現況でも、すでに、不公平が存在している訳ですね。そうであれば、この辺も、整理してから、ご相談の課題に取り組むことが必要だと思います。
|※| 日増しに負担の増大するする、育児、介護問題への対応を、現行の、雇用形態 ( 社員の身分と賃金をいう基本的な労働条件 ) に求めるのは、極めて難しいと思います。つまり、現在の、総合職の処遇が、「 転勤の可能性 」 に対して決められているものであり、「 転勤の事実 」 に対する処遇ではないからです。
|※| 実施された企業があるかも知れませんが、回答者としては,仄聞していません。転勤義務を伴わない総合職と言えば、「 地域限定社員 」 とか 「 リージョナル社員 」 とかいった制度を採用されている事例は割合多く見られます。但し、転勤義務だけでなく、職務内容も、総合職 ( 全国社員、ナショナル社員 ) とは異なっているようで、実際は、一般職の別呼称である場合が多いようです。
投稿日:2011/05/05 12:42 ID:QA-0043768
相談者より
ご回答ありがとうございました。おっしゃるとおり、現状をもう一度整理したうえで、当社に合ったやり方を検討してまいります。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
投稿日:2011/05/17 16:56 ID:QA-0043958大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
-
転勤を機に退社が増える 全国転勤ありの専門商社です。この... [2021/10/18]
-
転勤制度の『手当』について 転勤制度の『手当』に関して、ご質... [2015/12/01]
-
適応障害を理由にした転勤拒否について 経営計画の一環として、同県内の別... [2024/06/13]
-
転勤命令後の社員処遇について 転勤命令後の社員の処遇についてご... [2014/04/08]
-
転勤及び帰任時の手当について いつも利用させていただいておりま... [2016/01/22]
-
転勤について はじめまして、メーカーで中途採用... [2008/01/30]
-
現状、転勤打診は可能か?また会社がすべきことを教えて下さい。 要転勤の案件を受託したため、会社... [2021/10/10]
-
海外転勤者の住宅ローン減税 海外転勤者で非居住者になった場合... [2012/11/12]
-
転勤に伴う費用負担 社員を1名転勤させる計画がありま... [2020/01/13]
-
転勤に伴う持家の対処について はじめてご質問させていただきます... [2009/10/26]
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。
関連する書式・テンプレート
転勤辞令
従業員に転勤を通知する際の辞令のテンプレートです。Word形式のファイルをダウンロードできます。
栄転のお祝い状(見本5)
転勤を伴う昇進をした他社従業員に対して、お祝いを述べる文例です。
昇給辞令(見本2)
具体的な昇給金額を記載する昇給辞令です。表部分に自動計算の機能がついています。