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出張中(休日)の日当の支給について

いつもお世話になっております。

出張時の日当については、こちらの相談掲示板でもたびたびご回答いただいているように、「法的に必ず支給しなければならないものではなく、会社が任意に設定できる」性質のものというのは理解しております。
規定にもその定めがありますが、定義が曖昧なため運用でカバーしてきた経緯があり、このことから現在人事部内におきまして、「出張地における休日(労務に服していない)に日当を支給するべきか否か」に対する見解が分かれております。
(当然のことながら、週末に帰宅困難で出張地にとどまることや、便宜上休日の移動(前泊)を会社が認めているケースです。)
状況としましては、
・規定上:「日当とは食事費その他雑費にあてるため・・・」定義されている。
・従来別途支給されてきた食事代は廃止している。
(これまでは日当支給に労務の提供の有無は要件とせず、出張地にて休日を過ごす際もしくは休日の移動についても日当支給の対象としてきました。)

このような状況の中、今回社員からの問い合わせについての回答を検討した結果、現状、日当とは「業務実施における不備不足を補填する」性質のため休日の支給はなしではないかと判断し、回答したところ納得いただけませんでした。

弊社の状況において、現状、休日に日当を支給すべきとするのが妥当でしょうか?それとも、今回の回答どおり、労務提供のない休日には支給しないと言い切ってしまってもいいのでしょうか?
(仮に、休日日当を支給すべきが妥当した場合、これを労務提供の有無を要件とすると運用を変更する場合、規定の変更だけの手続きでよいでしょうか?)

ご教示いただきたく、よろしくお願いいたします。

投稿日:2010/10/26 15:15 ID:QA-0023528

*****さん
東京都/その他業種(企業規模 501~1000人)

この相談に関連するQ&A

プロフェッショナル・人事会員からの回答

全回答5

プロフェッショナルからの回答

服部 康一
服部 康一
服部賃金労務サポートオフィス代表

お答えいたします

ご利用頂き有難うございます。

御相談の件ですが、文面のみから判断しますと規程上で日当の「支給条件」が定められていない、つまりどういう場合に支給されるのかが分からない事が根本的な問題箇所といえます。

そのような状況ですと、やはり実際の運用でどのようにされてきたかで判断する他ないものといえます。

文面上では、「出張地にて休日を過ごす際もしくは休日の移動についても日当支給の対象としてきました」とございますので、それが突然廃止されるとなりますと社員側で納得し難いのは当然といえるでしょう。

加えて、会社側では「日当とは業務実施における不備不足を補填する」性質のため‥」と回答されていますが、日当自体は法的に定義されているものではございませんので、こうした定義が就業規則にきちんと定められていなければこれまた納得を得る事は難しいといえます。

従いまして、会社の規程不備が問題の原因であることからも、現状は従来の慣行通り休日であっても日当を支給すべきというのが私共の見解になります。

また今後については日当に関する規程整備が必要不可欠ですが、日当の支給条件の低下は広義の不利益変更になるものといえます。

従いまして、賃金減額といった重要な労働条件のように従業員の個別同意まで得る必要はないでしょうが、会社側で一方的に変更してしまうのではなく、変更事情を従業員にきちんと説明し意見等も聴かれた上で納得の行く形で変更される事をお勧めいたします。

投稿日:2010/10/26 22:48 ID:QA-0023539

相談者より

服部様

ご回答いただき有難うございます。大変助かります。
ご指摘のとおり、旅費規程も微細な改定は都度行ってきておりますが、根本的な見直しには至っておらず、制定当時の背景をそのまま引継いできている状況です。
とはいえ、当時の詳細な資料が残っているわけでもないので、大方これまでの運用実績や他の規程との関連部分などからの推測になりますが。
個人的には、服部様のご回答どおり、現段階では従来どおり日当を支給し、今後規程を整備し従業員への周知を行ったうえで運用を変えるべきかと思っています。
ところが、部内では従来の運用が誤りで規程の表現が曖昧なだけだから支給の必要はない、という意見が多くあります。
規程は曖昧とはいえ「日当は食事代、その他雑費にあてるため」とあり、また期間については「出発の日より帰着の日まで支給する」とだけ記載されています。過去に日当とは別に食事代が支給されていましたが、日当がある以上、あえて別に支給することはない・・・と廃止しました。
こういったことから、業務命令で出張地に滞在している以上、労務提供の有無を要件とし、日当の定義を「業務実施における不備不足の補填」に限定することは現時点では困難かと思っています。
この認識が間違っていなければ服部様のご回答内容も含めて、再度部内で話し合いたいと思っていますが、いかがでしょうか。
繰り返しになる部分も多く、大変恐縮ですがご確認いただけますと幸いです。
お忙しいところ申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。

投稿日:2010/10/27 01:57 ID:QA-0041506大変参考になった

回答が参考になった 0

プロフェッショナルからの回答

服部 康一
服部 康一
服部賃金労務サポートオフィス代表

再度お答えいたします

こちらこそご返事頂き有難うございます。

文面を拝見いたしましたが、特に新たな内容は無いものとお見受けいたしましたので、基本的に前回の回答に変わりはございません。

ただ「業務命令で出張地に滞在している以上、労務提供の有無を要件とし、日当の定義を「業務実施における不備不足の補填」に限定することは現時点では困難かと思っています」との事ですが、日当の定義を会社独自の考えに基き行う事は自由ですので、限定すること自体が困難とは考えられません。前回申し上げました通り不利益変更になる点を注意されれば、最大の問題点である日当の支給条件を明確にする為にもむしろ変更の線で検討されるべきと考えます。

但し、実際にどう対応されるかは会社方針によって決めるべき事柄ですので、社内で十分検討された上で結論を出して頂ければ幸いです。

投稿日:2010/10/27 10:08 ID:QA-0023548

相談者より

ご回答、ありがとうございました。

日当に限らず曖昧な規程・運用は他にも存在します。
見直しをしていきたいと思います。

また他に疑問点がでてきましたら相談させていただきたいと思います。
ありがとうございました。

投稿日:2010/10/27 10:44 ID:QA-0041509参考になった

回答が参考になった 0

プロフェッショナルからの回答

川勝 民雄
川勝 民雄
川勝研究所 代表者

「出張中の労働性」と「日当」に就いて共通の理解が必要 P1

.
■ 出張の為の事前移動、出張中の移動および休日などの定義、日当支給の是非など、いろいろな問題が、輻輳しつつ、同時に議論されると、紛糾し、皆が納得できる共通の結論を得るのは難しいものです。過去の Q&A も、個々の事例としては、それぞれ正しいと思いますが、横の関係が同時テーマとされていなかっただけに、スッキリ感が薄いのではないでしょうか。回答者なりに整理してみたいと思います

出張に関連する労働時間の解釈

① 出張中の労働時間
これには異論が少ないでしょう。出張は,事業場外で業務に従事するものですから,使用者がその実際の労働時間を確認することはむずかしい場合が通常なので、労基法は,所定労働時間労働したものとみなすと規定しています(第38条の2第1項)。

② 出張時の移動時間
出張先との往復時間が労働時間に該当するかどうかについては,複数解釈があります。裁判例には、「出張の際の往復に要する時間は、労働者が日常出勤に費やす時間と同一性質であると考えられるから、労働時間に算入されず、・・時間外労働の問題は起こり得ないと解するのが相当である」とするものがあります。特に具体的な業務を命じられておらず,労働者が自由に活動できる状態にあれば,労働時間とはならないと解するのが相当でしょう。但し,移動自体が出張目的 ( 特定物の運送、特定病人の搬送など ) の場合は、労働時間に含まれると考えるべきでしょう。

③ 出張中の休日
出張中に休日がある場合,その当日に用務を処理すべきことを明示的にも黙示的にも指示していない場合は,その当日は休日として取り扱われます。休日が、自由に使えるのであれば、労働時間にはならないという訳ですが、その日に得意先の接待をしたのならば、これは労働時間になります。現実には、出張の場合は、自宅にいる場合に比べ、常時、自由度が少なく、拘束されているに等しいとも言える訳ですが、それが労働時間かどうかの判断は難しいのが普通です

投稿日:2010/10/27 10:42 ID:QA-0023554

相談者より

 

投稿日:2010/10/27 10:42 ID:QA-0041511大変参考になった

回答が参考になった 0

プロフェッショナルからの回答

川勝 民雄
川勝 民雄
川勝研究所 代表者

「出張中の労働性」と「日当」に就いて共通の理解が必要 P2

.
■ 出張日当の本質

① 出張に要する運賃、宿泊料、通信費などと並んで、支給される日当は、課税給与ではなく、損金計上される営業費用です。通常、定額であること、領収書などの証票書類の提出を求められないことから、○○手当などの給与と誤解されている向きもあり、議論を難しくしている場合があります。

② 出張日当は、実務的煩雑さを避けるため 「 領収書不要の 《 定額支給 》 」 とされている場合が殆どですが、その本質は実費支弁でです ( 実費弁償的な日当は、労働対価ではないので、労働保険料等の算定基礎には算入しません )。

③ 出張日当の中身は、出張に伴い発生する小口の諸雑費とされているが、その殆どは、出張しなくても個人が支出するもの ( 例えば、昼食代、新聞、週刊誌 ) なので、本来、支給不要という議論も根強く存在しています。支給する場合でも、妥当性を欠くような多額な日当は、当然、給与所得として課税対象になります。

■ 結論

① 冒頭でご引用の、「法的に必ず支給しなければならないものではなく、会社が任意に設定できる」というのは正しいのですが、それ設定内容は、上記の出張日当の本質に沿ったものでなくてはなりません。国税庁は、抽象的ですが、非課税の基準として、次のように通達しています。

▼ 支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人のすべてを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
▼ 支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。

② 日当支給の制度化に際しては、次の2点を抑えた上で設定、周知を図ることが必要だと考えます。

▼ 《 「 日当 」 の具体的項目を定義した上で、社員階層間のバランス、及び同業他社の状況を勘案して日当額を決めること 》
▼ 《 移動日が休日か否かに関わらず、日当 ( 看做し実 費) が発生するか否かによって、支給の是非を決めること 》

投稿日:2010/10/27 10:44 ID:QA-0023555

相談者より

川勝さま

ご回答いただきましてありがとうございます。
出張について、非常に詳しくご教示いただき大変助かります。
日当につきましてはまずは具体的な項目を検討したい思います。
休日が対象か否かはそれによって検討したいと思います。

なお、追加の質問となってしまい大変恐縮ですが、
◆1.国内出張と海外出張の場合では違い等何か注意する点はありますか?
◆2.また、長期出張(30日以上)の場合、日当として単身赴任者に支給されている別居手当(給与)相当額を日当分として支給することを検討しているのですが、この場合はやはり給与として課税するのが正しいでしょうか。だとすれば、日々支給する日当(通達の内容程度のもの)であれば給与としないのに、月単位で定額を支給すると課税給与となる理由としてどのように説明するのがよいでしょうか?

ご教示いただけるようですと幸いです。
恐縮ですがよろしくお願いいたします。

投稿日:2010/10/28 12:51 ID:QA-0041512大変参考になった

回答が参考になった 0

プロフェッショナルからの回答

川勝 民雄
川勝 民雄
川勝研究所 代表者

追加のご質問

.
■ 非課税となる出張費用に就いて、税法は、「 勤務する場所を離れて職務を遂行するために行う旅行 」 ( これが、多分、唯一の法的コメント ? )としています。当然、この 「 旅行 」 なるものには、国内出張、海外出張とも含まれます。海外出張旅費規程の作成に際しては、出張先の 「 通貨種別 」、「 物価水準 」 の2点が最も、手間のかかるポイントです。

■ 非課税の日当には、日単位の看做し実費の概念が欠かせません。28日の月も、31日の月も、月単位の定額支給となれば、税務当局は、課税給与と判断する 《 可能性 》 があります。つまり、営業費用ではなく、労務対価 ( 労務提供に対する経済的利益 = 給与 ) と看做されるという解釈です。支給は月単位でも、算定はあくまで、「 日額X日数 」 方式が必要だと思います。税理士さんの意見も聞いて下さい。

■ 因みに、日当は、《 Out of pocket expense = 右から左へ = ポケットに何も残らない = 経済的利益はゼロ = 非課税 》という構図になっています。これに対し、「月単位で定額を支給すると課税給与」ということは、ポケットに残るものと判断されるということです。

投稿日:2010/10/28 14:16 ID:QA-0023596

相談者より

川勝様

ご回答ありがとうございます。
大変わかりやすく理解できました。
ありがとうございました。

投稿日:2010/10/28 14:42 ID:QA-0041529大変参考になった

回答が参考になった 0

回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。



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