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SmartHRとマネーフォワードの人事労務担当者が語る 孤独感を乗り越えて「攻めの人事労務」になる方法

注目の記事労務・賃金[ PR ]掲載日:2023/04/19

多くの日本企業が人的資本経営の実践を目指す今、その基盤を支える人事労務部門への期待は以前にも増して高まっています。人事労務担当が縁の下の力持ちとして業務をこなすだけではなく、組織を活性化させる役割を担うためには、何が必要なのでしょうか。人事労務向けクラウドサービスである「SmartHR」と「マネーフォワード クラウド」のHRソリューションを提供する2社の社内労務担当者が、これからの人事労務のあり方やキャリア形成について語り合いました。

Profile
真田 美寛さん
真田 美寛さん
株式会社SmartHR人事グループ 社内労務ユニット チーフ
兼松 大樹さん
兼松 大樹さん
株式会社マネーフォワード People Forward本部 人事労務部 部長

人事領域で複数企業を経験し、現在のポジションへ

お二方はどのようにして人事労務のキャリアを歩んでこられたのでしょうか。

真田:私は現在のSmartHRが5社目で、人事労務を担当するのは3社目です。キャリアのスタートは人事シェアードサービスを提供する会社で、大手企業グループの人事労務全般、システムリプレイスなどを請け負っていました。

ただ、シェアードサービスという立場で外部から関わっていると、企業の人事戦略に入り込む際に限界があります。そこで、企業人事としてのキャリアを追求していくために複数の企業を経験しました。従業員数700名規模のIT企業に在籍した際は労務や安全衛生管理などを経験。そこからさらにキャリアの領域を広げていきたいと考え、当時人事労務のプレイングマネジャーを募集していたSmartHRに入社しました。現在は給与や社会保険関連などの労務全般に加え、障がい者雇用などの業務も担当しています。

兼松:私はマネーフォワードが3社目です。最初は社会保険労務士事務所に入社し、顧問先を担当して人事労務関連のコンサルティングに従事していました。しかし、新卒で入社したばかりの若手の立場では、顧問先企業の課題をつかみきることがなかなかできませんでした。そこで一般企業へ転職し、ビジネスの知見を深めたいと考えたんです。

人事に携わっている何人かの人に話を聞くと、「従業員数が100人規模の会社にいた時代が、全員の顔と名前が一致して一番楽しかった」という話が多かったため、私も100人規模の企業を選んで転職しました。そこから約3年間、150人規模へと成長する過程を経験し、次の成長のフィールドを探してマネーフォワードに出会いました。当時のマネーフォワードは設立7年目のタイミングで、人事制度の見直しに向けて大きな裁量を与えてもらいました。現在は人事労務に特化して、社内体制の整備を担っています。

真田:兼松さんのキャリアの入り口は一般企業ではなかったんですね。なぜ最初に社会保険労務士事務所を選んだのですか。

兼松:学生時代はマーケティングを学んでいたので、商品開発や事業開発に携わりたいと考えていたんです。しかし入社後の早い段階からそうしたポジションに就ける企業は少なく、「まずは営業から」というケースがほとんどであるという事実を知りました。今でこそ必要性は分かりますが、何も分かっていない学生の私は悩みました。

当時、フリーランスという働き方を目にする機会も増えていましたが、チームで仕事をすること自体は消えないと考えました。組織に注目したときに人事領域への興味が膨らみ、社会保険労務士という資格にも出会いました。その後、ご縁あって社会保険労務士事務所への入所を決めました。

なぜ人事労務担当は孤独に陥りやすいのか

複数の企業での経験を踏まえ、人事労務という役割に対して感じている課題があればお聞かせください。

真田:私はさまざまな規模の企業に身を置いてきました。どんな企業でも、成長して組織が拡大していくにつれて人事部門は細分化されていきます。そうした中で「人事労務担当は孤独だ」とこぼす人が多いように感じています。明確な業務範囲を持つ職種であるがゆえに、他部署はもとより人事部門内でも誰かと連携する機会が少なく、孤独になりやすいのかもしれません。

兼松:私も孤独感を覚えている人事労務担当の話はよく聞きます。企業規模によっては人事労務を一人で担っているケースもありますよね。また、従業員の個人情報など人事労務しか見ることができないデータを抱えていることも多い。構造的に考えても、孤独に陥りやすいポジションなのだと思います。

お二方も孤独感を覚えたことがあるのでしょうか。

真田:私はあります。以前に勤めていた企業では、従業員数700人に対して労務メンバーは6人という体制でした。同じポジションの同僚はいたものの、日々の業務コミュニケーションはほとんどが労務担当者6人の中で完結してしまいます。本来ならばもっと部署外に出ていくべきなのかもしれませんが、日々の業務に追われているとなかなかアクティブに動けない。結果的に孤独感が増していくのを感じていました。

株式会社マネーフォワード 兼松 大樹さん

兼松:難しい立場ですよね。目の前の手続きや給与計算にしっかり取り組もうとすればするほど、デスクワークに終始してしまう。

他には、現場と会社の方針にギャップがあることや、企業の実情と法律の間で板挟みになったりすることで孤独を感じやすいかもしれません。人事労務の場合は情報を共有できる対象が限られることも多く、なかなか相談相手がいません。小規模な企業で人事労務が自分しかいない、かつ外部顧問の社会保険労務士もいない状態だと、法改正に関する情報も一人でキャッチしていかなければならない。担当領域が労務のみではないことも多いため、ネットで簡単に調べるだけではなかなか理解できず……。そうしたプレッシャーが積み重なっている人事労務担当者も多いのではないでしょうか。

真田:そういうケースでは、上長である人事部長が自分よりも労務に詳しくないこともあります。だからなかなか相談できない。また、人事労務の仕事は事業の売り上げに直結するわけではないので、経営からも興味を持たれづらいかもしれません。

評価の面ではいかがでしょうか。たとえば同じ人事でも、採用担当は明確なKPIを設定して実績を示せますが、労務の場合は難しいように思います。

真田:そうですね。人事労務は「縁の下の力持ち」に見られがちです。給与計算などの仕事は完璧に遂行されているのが当たり前で、それだけではプラス評価にならない企業が多いのではないでしょうか。一方でミスがあればマイナス評価になる。プラスの評価を得ようと思えば、何かしらの攻めの要素が必要です。

この点に関して言えば、私はSmartHRという会社にとても感謝しています。入社後、初めて上司との目標設定面談に臨んだとき、私は過去の経験から「プラスアルファの要素がなければ評価されないだろう」と思い込んでいたんです。しかし上司は「定常業務がしっかりと遂行されている時点でプラス評価だ」と明確に示してくれました。この基準があることは大きな安心感につながっていますし、だからこそプラスアルファの部分に挑戦したいという意欲にもつながっています。人事労務担当をマネジメントする立場の方は、こうした点も意識するとよいと思います。

これからの人事労務に求められるのは「予防する仕事」

2022年以降は人的資本経営の取り組みが注目されており、人事労務への期待値も高まっていくと考えられます。人事労務担当が「プラスアルファの仕事」を意識するならば、どんなことに力を入れていくべきでしょうか。

兼松:人事労務の仕事内容の根本は変わらないと思いますが、情報管理などの守りの部分は多くの企業で紙ベースを脱却しつつあり、次は「どこまで自動化できるか」といった、より高いレベルを求められるようになるのではないでしょうか。

一方で攻めの部分で言えば、これからは予防に寄与する人事労務、つまり、社内の人間関係に起因するトラブルなど、従業員のエンゲージメントを低下させかねない事象を未然に防ぐための仕事が求められると思います。

企業規模が小さいうちは互いの顔がしっかり見えているので、あまりトラブルは起きないかもしれません。しかし規模が大きくなればなるほどトラブルの可能性は高まります。

株式会社SmartHR 真田 美寛さん

真田:個々の従業員の考えが見えにくくなっているときは、適切なタイミングでサーベイを行うなどして、現状を把握することも大切ですね。不安や不満を自己申告できる人はどんどん来てくれるかもしれませんが、うまく自己申告できない人も大勢いますから。

兼松:そうですね。その際には、何をどんな指標で見ていくのかも大事だと思います。入社後すぐや、数年経過したときに、100パーセントの力を発揮できていない人がいる可能性があります。その問題を解決するためには、従業員の心身の健康領域にも踏み込んでいく必要があるかもしれません。健康な状態ではないと、相手への感謝の気持ちも少なくなると考えています。

真田:ただし、サーベイだけに頼っていると、個別の状況が見えないままになってしまう可能性もあります。「森を見る」ことと「木を見る」こと、その両方が必要でしょう。サーベイを通じて森を見ると同時に、1on1などのコミュニケーションを重視して木を見ることも大切。会社内に本音で話せる場所があれば、うまく自己申告できない人の思いもくみ取りやすくなるのではないでしょうか。

1対1のコミュニケーションに限界がある場合、木を見にいくための有効な方法はありますか。

兼松:どの会社でも、情報のある勤怠情報の中に何かしらのサインが潜んでいることがあると思います。単純に過重労働が発生していないかを見ることは重要ですし、たとえば最近急に仕事の開始時間が遅くなっている人は、生活リズムが崩れている可能性があります。重要なのは、定期的にとっている数値に変化があるかどうかを見ることです。

真田:SmartHRではコミュニケーションツールとしてSlackを使っているのですが、誰かに助けを求めているという分かりやすい状況ではなくても、「ヘルプの一歩手前の投稿」をしている人を見つけたら上長が報告してくれます。現場と人事労務の連携によって変化に気づけることもあるんです。リアル空間で一緒に働いているときには、ちょっとした表情の変化などで気づけることもありますが、それに近いかもしれません。

「最も身近な人事労務担当」としてサービスの進化に関わる

人事労務担当が新たな仕事に取り組んでいくためには、現状の目の前のタスクをいかに効率化できるかが重要だと思います。SmartHRとマネーフォワードはこの領域で人事労務向けクラウドサービスを展開していますが、お互いのサービスやプロダクトにはどのような印象をお持ちですか。

兼松:マネーフォワードでは、私が入社したタイミングですでにSmartHRを導入していました。入社後はちょうど年末調整のタイミングだったため、それまで紙ベースで進めていた業務を電子へ切り替えたところ、従業員の負担も業務効率も格段に高まりました。SmartHRは人事労務担当が苦労する部分をしっかりと理解してくれていると感じます。雇用管理の書類一つとっても、担当者が大変だと感じていることをくみ取り、しっかりと機能面で対応してくれていますよね。

真田:ありがとうございます。私は「マネーフォワード クラウド」のHRソリューションを見ていて、率直に「UIがとてもいいな」と感じています。そして改善のスピードがすさまじい。ユーザーの要望に応えて改善していくスピードはクラウドサービスならではだと思いますし、私たちも見習いたいと考えています。人事労務担当は法改正などの情報を逐一チェックしなければいけませんが、自分たちだけではなかなか追いきれないこともあります。そんなときにシステムとして先を行き、どんどんノウハウを届けてくれる存在はありがたいですね。

株式会社SmartHR 真田 美寛さん、株式会社マネーフォワード 兼松 大樹さん

お二方は社内労務担当者として自社プロダクトとどのように関わっているのでしょうか。

兼松:当社では、「マネーフォワード クラウド」のHRソリューションを勤怠や給与、マイナンパー・年末調整などの業務に活用しています。そのため開発部門からは「最も身近な人事労務担当」としてインタビューやミーティングを依頼されることが多いですね。開発側とのやり取りの中では一つひとつの業務フローの目的などを深く質問されることもあり、労務側としても業務の棚卸しにつながっています。

真田:私たちも同様ですね。SmartHRを活用しており、人事労務担当としての意見を求められることが多いです。私たちからも開発部門へどんどんフィードバックしており、開発中のデモンストレーションに参加して、実際に新機能を触りながら意見を交わすこともあります。導入したお客さまからは「SmartHRの人事労務ではどのように活用しているんですか」と質問されることもあるので、まずは私たち自身が模範的なユーザーでいたいと考えています。

導入側の視点でお聞きします。システムを新たに取り入れる場合には一定の労力が必要となり、現場から反対されることもあるかもしれません。そうした状況を乗り越えていくためには何が必要でしょうか。

兼松:未来の話を現場へ語りかけていくことが必要だと思っています。これまでのやり方を続けていくことに比べて、新たにシステムを導入することで何が、どんなふうに変わっていくのか。実現したい未来の視点で、具体的なイメージを共有していくことが大切です。

真田:現状の工数にどれだけのロスがあるのかを示し、その解決策としてシステム導入を提案するということですね。その際は企業としての組織戦略を踏まえ、具体的なマイルストーンを設定していくことも大切だと思います。これは人事労務担当だからこそできる仕事ではないでしょうか。

お二方は今後、人事労務向けクラウドサービスをどのように進化させていきたいと考えていますか。

真田:今後も人事労務担当者の悩みや苦労を肌で理解し、定常的なオペレーションをできる限り効率化できるサービスとして進化させていきたいですね。それが人事労務の攻めの時間を生み出すことにつながっていくはずですから。クラウドサービスなどのシステムは、あくまでも「本来やるべきことに向き合うためのツール」です。決して人事労務の仕事がAIに奪われるわけではありません。

兼松:おっしゃる通りです。こうしたサービスが誕生するまで、人事労務の仕事はボリュームが増えていく一方で、ひたすらタスクをこなし続けるしかありませんでした。これまで抱えてきたタスクを劇的に効率化できれば、人事労務担当が担うべき領域は必然的に広がっていくはずです。ゆくゆくは、人事労務担当のキャリア形成を支援することにも貢献していきたいと考えています。

株式会社SmartHR 真田 美寛さん、株式会社マネーフォワード 兼松 大樹さん
サービス紹介

マネーフォワード クラウドは、 「人事管理」「給与計算」「勤怠管理」「年末調整業務」「社会保険手続き」「マイナンバー管理」など、人事・労務業務をシステム上で入力・管理・提出ができるサービスを提供することで、労務管理業務のミスを無くし効率化を支援します。

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