インターンの有給休暇運用について
インターン生の有給休暇について、運用方法を検討しておりますが、下記不明点がありアドバイスいただけますと幸いです。
■ 現在のインターン勤務形態
・完全自由シフト制 (曜日固定なし・会社側が勤務日を指定しない)
・学生が任意でシフトを登録/削除できる
・当日のキャンセルや追加も比較的自由(欠勤の場合は出勤率に影響しない)
・学業・試験・就活・旅行などで週1や1週間の休みも調整可能
・業務上、週2日は入っていただけると助かるという“稼働目安”はあるが、勤務義務として定めているものではなく、協力ベースで学業や就活状況に応じて柔軟に調整できる
という働き方となっております。
■ 相談したい論点
① 自由シフト制の場合、労働義務日は存在しない認識で正しいか。
会社が勤務日を指定していないため、学生が登録したシフトは“本人の希望日”であり、法律上の労働義務日には該当しないと理解してよいか
② 付与はするが、使用できる日が実質発生しない運用は法的に問題ないか
自由シフト制のため、会社側が勤務日を指定しておらず、
学生が登録したシフトは“任意の希望日”であり、労働義務日には該当しないという理解です。また当社では、登録したシフトを当日欠勤しても欠勤扱いとせず、出勤率にも影響させない運用をしているいます。
そのため、付与はするが、実際に有給を使用できる日は発生しないという運用は、登録制アルバイト等と同様に妥当であるという理解でよいか確認したいです。
③有給を実際に使える制度にしたい場合
もし有給を使用できる仕組みを作りたい場合は、
契約上の勤務義務日を設定(週2の固定曜日など)この日に限り有給取得可という設計が必要になるか、
または他に適切な制度設計があるかご意見を伺いたいです。
有給の付与自体は法定通り行うのですが、有給休暇の趣旨である労働義務日の労務免除を前提とすると
当社のような完全自由シフト制の場合、そもそも会社が勤務日を指定していないため、「出勤予定のない日でも有給を使いたい」という申請が起こりうる点に違和感があります。
制度の趣旨との整合性をどのように保つべきか、
上記①〜③の理解が法的に正しいかを確認したく、
ご相談させていただきたいです。
投稿日:2025/11/20 19:52 ID:QA-0160967
- Kakaoさん
- 東京都/HRビジネス(企業規模 6~10人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、1につきましては、本人がシフトを自由に決められるとしましても、決められた日の勤務を会社が認めた時点で労働義務の有る日という事になります。つまり、事前に労働義務の有る日が特定されていないだけであり、労働義務のある日が全く存在しないわけではないものといえます。
2につきましては、当事案または登録制アルバイトの場合であっても、年次有給休暇の取得が不可能とはいえません。つまり、会社が勤務を認めた日(=労働義務の有る日)にたまたま急病等で出勤不可となれば年休の取得は可能です。また、本人が事前に多めにシフト希望日を申請され、その後当該希望日に年休取得をされるといった方法も可能といえます。
3につきましては、上記でも触れました通り年休の取得は現行の勤務体制でも可能ですので、事前に労働義務の有る日を指定される必要性まではないものといえます。
投稿日:2025/11/20 21:28 ID:QA-0160974
相談者より
ご回答いただき、ありがとうございます。参考にさせていただきます。
投稿日:2025/11/26 12:36 ID:QA-0161167大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論(要点)
(1) 自由シフト制では「労働義務日」は原則発生しない
→ 学生が希望として登録しただけでは労働義務日ではない(会社承認型であっても同じ)
(2) よって、付与はするが「実際に有給を使える日がない」運用は法的に問題なし
→ 登録制バイトと同様の行政実務
→ “欠勤扱いにしない”運用であればなお明確
(3) インターンにも“実際に使える有給”を保障したい場合
→ 契約・シフト制度を「労働義務日が発生する仕組み」へ変更する必要あり
(例:週2日固定曜日勤務/会社によるシフト確定通知)
以下、論点(1)〜(3)について詳細に解説します。
(1)自由シフト制では「労働義務日は存在しない」の理解で正しいか
【結論:正しい】
これは労基法上の年休制度の根幹に関わる部分です。
・年休(有給休暇)の前提
年休とは
“労働義務のある日”の労務提供を免除する制度
(労基法39条)
よって、
労働義務日自体が存在しない働き方
→ 年休を使う前提がそもそもない
という整理になります。
・自由シフト制インターンの実態
先生より提示いただいた形態は典型的な「登録制バイト型」です:
曜日固定なし
会社が出勤日を指定しない
学生の希望に委ねる
当日キャンセルも自由
休んでも欠勤扱いにしない
→ =労務提供義務なし
国の実務でも、
“会社が労働日を指定しない限り、その日は労働義務日とならない”
と整理されています。
したがって、御社のインターンの「学生が登録したシフト」は
→“本人の希望日”にすぎず労働義務日ではない
という理解で完全に正しいです。
(2)付与はするが、実際の取得機会がない」運用は適法か?
【結論:適法(全く問題なし)】
理由は以下のとおり。
・シフト自由登録制では、年休が使えないのは制度の当然の帰結
自由シフト制=労働義務日がない
→ 年休も使えない
→ しかし付与義務はある(労基法39条)
この「付与はするが消化できない」構造は、
登録制アルバイト・イベントスタッフ・単発労働者に一般的に生じる現象であり、法律上全く問題ありません。
(厚労省Q&Aにも同趣旨の整理があります)
・御社では“欠勤扱いにしていない”点がむしろ安全
御社では
登録したシフトを休んでも欠勤扱いにしない
出勤率に影響させない
となっており、
労働義務日ではないことが明確化されているため、なおさら年休使用の必要性はありません。
(3) 「インターンにも実際に年休を使わせたい」場合の制度設計案
これを実現するには、
“労働義務日がいつ発生するか”を制度として確定させる
必要があります。
会社側の選択肢は主に2つです。
案1:週◯日・固定曜日勤務を雇用契約書に明記
例)
「毎週 火・金 を労働義務日とする」
→ この日について年休を使用できる
※ 長期インターンの多くはこの方式
(学業に合わせて曜日固定)
案2:会社が「確定シフト」を通知する仕組みにする
例)
(1)が希望シフトを提出
(2)社が承認し、確定通知を出す
→ 承認された日が“労働義務日”となる
→ その日について年休申請が可能
※飲食バイト等の「希望提出/店側が確定」方式がこれ
この場合
当日ドタキャン
→ 欠勤(労働義務日の不履行)となる
※御社は現状これをしないため、労働義務化していない
案3:ポイント制・稼働単位制(特殊)
米国シリコンバレーなどの制度に見られる方式で、
「月◯ポイント分の稼働義務」とし、
年休はこのポイント免除とする方法もあります。
しかし日本の労基法では
「労働義務日単位での免除」を前提としているため
あまり推奨されません。
(4)出勤予定のない日にも「年休使わせてほしい」という申請は却下して良いか
【結論:当然、却下で良い】
年休は
“労働義務のある日の労務免除”
でしか成立しません。
したがって、
出勤予定のない日
登録していない日(土日のような完全休日)
会社が勤務を命じていない日
については、
年休申請は成立しない=却下して問題なし
です。
(5)最終結論
論点結論
(1)シフトでは労働義務日はあるかない(学生希望日は労働義務日ではない)
(2)付与はするが使えない運用は合法か合法(登録制アルバイトと同じ)
(3)使える制度にするには?労働義務日が発生する仕組みに変更が必要(曜日固定・確定シフト)出勤予定がない日の申請年休として認められない。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/11/20 21:33 ID:QA-0160975
相談者より
ご回答いただき、ありがとうございます。参考にさせていただきます。
投稿日:2025/11/26 12:36 ID:QA-0161168大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
労働義務日
以下、回答いたします。
【御相談1】
自由シフト制の場合、労働義務日は存在しない認識で正しいか。
会社が勤務日を指定していないため、学生が登録したシフトは“本人の希望日”であり、法律上の労働義務日には該当しないと理解してよいか。
【回答】
労働義務日が存在することについて、次のような整理が考えられます。
(1)会社の(包括的な)指揮命令に基づき、学生が「勤務希望日」を「登録という方法」で指定。
(2)当該指定(登録)をもって、会社は指定(登録)のあった日を勤務日とすることに同意。
(3)勤務日(労働義務日)が決定。
【御相談2】
付与はするが、使用できる日が実質発生しない運用は法的に問題ないか。
自由シフト制のため、会社側が勤務日を指定しておらず、学生が登録したシフトは“任意の希望日”であり、労働義務日には該当しないという理解です。また当社では、登録したシフトを当日欠勤しても欠勤扱いとせず、出勤率にも影響させない運用をしています。
【回答】
労働者でありながら、実質的に有給休暇を取得できないことは、労働基準法上問題であると認識されます。次のような整理が考えられます。
(1)有給休暇に関しては、学生が有給を取得する旨を会社に連絡。この連絡をもって、次の一連の行為があったとみなす。【御相談1を御参照】
1)学生が「勤務希望日」を「有給取得の連絡という方法」で指定。
2)会社は連絡のあった日を勤務日とすることに同意。
3)勤務日(労働義務日)が決定。
4)当該勤務日について、時季指定権を行使。
(2)出勤率に関しては、以下により、「欠勤」という事象は発生せず、出勤率に影響が生じることもない。
1)【御相談1】(3)の勤務日(労働義務日)に関して、学生は「勤務日」を「非勤務日」にしたい旨を「削除という方法」で連絡。
2)会社は、この連絡(削除)をもって、「非勤務日」とすることに同意。
【御相談3】
有給を実際に使える制度にしたい場合
もし有給を使用できる仕組みを作りたい場合は、契約上の勤務義務日を設定(週2の固定曜日など)この日に限り有給取得可という設計が必要になるか、または他に適切な制度設計があるかご意見を伺いたいです。
【回答】
上記の【回答内容】に則りインター生と同意することによって、現状においても、インターン生の利益を損なうことなく、インターン生が有給を実際に取得することはできるものと認識されます。
投稿日:2025/11/20 21:38 ID:QA-0160978
相談者より
ご回答いただき、ありがとうございます。参考にさせていただきます。
投稿日:2025/11/26 12:36 ID:QA-0161169大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
まず、インターンシップのほとんどは無給となっていますが、
そもそも有給なのでしょうか。
有給なのであっても、完全自由シフト制であれば、
労働者性がなく、労基法上の有休は適用されないということになります。
会社独自の有休制度とするのであれば、
何のために有休制度をつくるのか目的が重要ですし、
事前にシフトを提出してもらう必要があります。
投稿日:2025/11/21 06:16 ID:QA-0160989
相談者より
ご回答いただき、ありがとうございます。参考にさせていただきます。
当社の場合は、有給インターンです。
投稿日:2025/11/26 12:37 ID:QA-0161171大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
1について・・・
本人の希望労働日を、会社が労働義務日に設定していると考えられます。
よって本件においても、法令上の労働義務日に該当します。
2について・・・
本人の希望日労働日を、会社が労働義務日に設定している運用であれば、
有給消化日を本人が決め、その日に対して有給休暇を与えるのが適当です。
労働義務日の設定方法に対する一貫性が求められると言えるでしょう。
3について・・・
契約上の勤務義務日を設定(週2の固定曜日など)するのも有力な選択肢です。
現状のままの場合は、本人の有給休暇取得希望日を会社側で受理することが
適当と思われる為、会社として許容できるか否かが論点になるかと存じます。
なお、本質的なところとしては、学生インターン生を労働者として扱うか否か
の問題もございます。場合によってはインターンシップの内容を労働としてでは
なく、教育・体験の場として設計・実施することも選択肢にございます。
投稿日:2025/11/21 09:22 ID:QA-0160999
相談者より
ご回答いただき、ありがとうございます。参考にさせていただきます。
投稿日:2025/11/26 12:37 ID:QA-0161172大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
①完全自由シフト制であっても、本人が登録したシフト日は労働義務がある日ということになります。
②付与はするが、使用できる日が実質発生しないということは、付与はしないと言っているようなものです。
原則論でいえば、有給休暇は労働義務のある日にしか取得することはできませんが、限られたシフト日には実際に勤務してもらい、本人が登録していないシフト外の日を便宜有給休暇として処理してあげることでも構いません。(実際にこのような運用をしている企業はあります)
労働者の有利に考えてあげればそれで問題はありません。
③御社の場合、事前に労働義務の有る日を指定される必要はございません。
完全自由シフト制を敷いているにもかかわらず、有休を使用できる仕組みを作りたいと思慮するのであれば、②と重複はしますが、「出勤予定のない日でも有給を使いたい」という申請がでた場合、それを認めてあげればよろしいでしょう。
厳密にいえば、趣旨との整合性はつきませんが、インターン生の有利に考えてあげればそれで何も問題はないのであって、一つの便法と考えればよく、あまり難しく考える必要はございません。
柔軟に対応してあげればよろしいでしょう。
投稿日:2025/11/22 10:35 ID:QA-0161055
相談者より
ご回答いただき、ありがとうございます。参考にさせていただきます。
投稿日:2025/11/26 12:37 ID:QA-0161173大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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