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令和7年度 働き方・休み方改革推進に係る広報事業 働き方・休み方改革シンポジウム

注目の記事人事制度[ PR ]掲載日:2026/01/07

労働人口の減少が加速する中、「働き方改革」は法令順守にとどまらず、多様な人材の確保と活躍を実現するための経営戦略そのものである。一方で、コロナ禍を機に普及したテレワークの最適解について悩む企業が増えるなど、新たな課題も浮き彫りになっている。
2025年10月28日に開催された「働き方・休み方改革シンポジウム」では、有識者の基調講演、企業事例の紹介などを通じて、労働市場の変化を背景としたダイバーシティ経営の重要性や、人手不足時代の中小企業の働き方改革について議論が交わされた。当日の様子を、レポートでお伝えする。

「令和7年度 働き方・休み方改革シンポジウム」アーカイブ動画はこちら

開会挨拶

開会にあたり、厚生労働省大臣官房参事官の山口了子氏が挨拶。山口氏は、人手不足やテレワークのあり方といった喫緊の課題に対し、本シンポジウムがヒントとなればと期待を述べた。

〈 基調講演 〉
多様な人材の確保と活躍に貢献する働き方改革を:管理職の職場マネジメントが鍵

東京大学 名誉教授 佐藤 博樹 氏

2019年の働き方改革関連法施行から約6年半が経過し、年次有給休暇の取得率は2019年の56.3%から2023年の65.3%へと過去最高を記録した。一方で、人手不足や新型コロナウイルス感染症を契機としたテレワークのあり方など、新たな課題も顕在化している。

基調講演に登壇した佐藤氏は、企業には多様な人材が活躍できる労働環境の実現が求められていると語った。

佐藤氏は「これまで企業が望ましいと考えてきた人物像に当てはまらない人でも、自社にとって必要な経験、能力、ポテンシャルがあれば、その人が活躍できるように職場を見直すことが大切です」と強調し、これが「ダイバーシティ経営」の本質であると語った。

さらに佐藤氏は、ダイバーシティ経営の実現を阻む最大の壁は「フルタイム勤務かつ残業前提」の働き方だと指摘。旧来の働き方が引き起こす職場の問題を、子育てと介護の側面から解説した。

「フルタイム勤務で残業が当たり前の環境では、仕事が終わらなければ残業して対応すれば良いという『安易な残業依存体質』が生まれます。一方、短時間勤務で16時に退社しなければならない社員は、朝から16時までに仕事を終えるために段取りを考え、時間の使い方を工夫します。時間に制約がある方が、時間の使い方が改善されるのです。

また、40代半ばを過ぎると介護に直面することも増えてきます。『親が急に入院した』『ケアマネジャーとの面談で短時間抜ける』などの事態が、40代以降の中堅・管理職社員に発生するのです。残業を削減するだけではなく、特定の人に依存する仕事の進め方を変え、相互にカバーができる体制にすることが重要です」

佐藤氏によると、働き方改革には、「狭義」と「広義」の2種類があるという。狭義の働き方改革とは、長時間労働の解消を目的としたものであり、本当に目指すべきは、広義の働き方改革である「仕事のOS(オペレーションシステム)の改革」だ。

「2つの働き方改革」と題したスライド。長時間労働解消を目指す「狭義」と、生産性向上を目指す「広義」の改革を比較し、目的・手法・課題を表で整理。

「『仕事のOS』を変える上で最大の鍵を握るのが、管理職によるマネジメントです。 従来の管理職は、部下に仕事を割り振り、『時間はいくら使ってもいいから、納期までに仕上げてほしい』というマネジメントが許されました。しかし、今後は育児や介護などで、部下が仕事に使える時間は有限である前提を認識する必要があります。

管理職にとって大事なのは、部下の時間が限られている中で、どうアウトプットの質を高めるかです。そのためには、無駄な仕事の削減、優先順位付け、過剰品質の解消が不可欠であり、部下の能力開発を支援するマネジメントが求められます」

多様な人材が活躍できる組織を目指すなら、管理職には覚悟が求められる。働き方にかかわらず、時間あたりの成果で部下の働きを評価するような視点の転換が、これからの組織運営には不可欠であると締めくくった。

〈 事例発表&パネルディスカッション 〉
セッション① 人手不足時代に立ち向かう中小企業の働き方改革

1. テーマ解説

早稲田大学 商学学術院 教授 小倉 一哉 氏

セッション①の開始にあたり、小倉氏がテーマについて解説した。

「中小企業は人手不足で働き方改革の推進は難しい、と考えている方は多いでしょう。しかし、中小企業だからこそ、働き方改革によって人材の質を上げ、人手確保につなげることが求められるでしょう。今回は、中小企業の中でも、働き方改革の事例が少ない製造業と建設業の2社が事例を発表します。『できない』と思考停止するのではなく、『どう工夫したらできるか』という視点で聞いてください」

2. 事例発表 - 1:人手不足時代に立ち向かう!現場目線での働き方改革

株式会社浅野製版所 事業開発部 部長 新佐 絵吏 氏

1937年に創業し、社員数35名で広告製版業を営む株式会社浅野製版所。同社は20年前、極めて多忙な状況にあった。登壇した新佐氏は当時の状態を振り返る。

「制作担当者は前日から続く仕事を翌朝6時まで対応して仮眠をとった後、そのまま9時には始業を迎えたり、営業担当者は深夜の電話対応にも対応しなければならなかったりと、社員は常に緊張を強いられ、人間らしい生活とはほど遠い環境でした」

2014年に実施した全社員面談では、「一生懸命仕事をするのがバカみたい」という辛辣(しんらつ)な言葉が並んだ。当時は社員が、会社にも経営者にも期待していなかったと新佐氏は語る。

危機感を抱いた同社は、2015年に「しっかり休んで、しっかり働く」をキャッチコピーに掲げて、年間休日の増加、年次有給休暇取得の促進、残業時間の徹底管理などの施策を開始した。しかし、ここで大きな誤算が生じた。

「大手と同じ取り組みをすれば社員も喜んでくれるだろうと導入したワークライフバランス制度でしたが、結果としてさらに会社がピンチに陥ってしまったのです」

仕事の中身を見直さず、残業時間だけを徹底的に管理したことにより、効率よく仕事ができる人に業務が集中して社員の不満が噴出。また、勤務日数が減ったことで業務負担が大きくなり、退職者の増加に歯止めをかけることができなかった。新佐氏はこの失敗の原因を、次のように分析する。

「当時は制度を推進できる土壌作りができていませんでした。ワークライフバランスを推進するための種は、肥沃(ひよく)な土壌がなければ育ちません。会社が目指す組織のあり方と社員の就業状況が矛盾していたため、何をやっても浸透しなかったのです」

失敗を経て、同社は2015年以降、これまで100以上の施策を実施してきた。その中でも効果があったのは、「すぐに相談できる風土」「組織全体の業務の見直し」「柔軟な働き方と休暇を取りやすい職場環境」の3つである。

1つ目の「すぐに相談できる風土」づくりでは、全社員と面談を行い、管理職同士が連携して組織課題に対応する仕組みを整えた。2つ目の「組織全体の業務の見直し」では、仕事を手放せない社員への対応から着手し、対象者に、1日、1週間、1ヵ月、1年で何をしているかを細かく聞き取り、本人でなければできない業務とそうでない業務を整理した。

最近では、取組をさらに加速させるためにAI推進チームを立ち上げ、会議議事録のほか、アイデア出しや顧客提案、評価など、あらゆる場面で活用できるように取組を始めている。

他にも、会社を長時間稼働させつつ社員の過重労働を防ぐため、稼働時間と業務を調整し、7種類の出勤時間を設定して出社人数を抑制。現在は稼働時間をさらに減らして業務を回すことができている。

株式会社浅野製版所の業務見直し資料。始業時間を7時から14時までずらすシフト制を図解し、長時間稼働と社員の過重労働防止の両立を説明している。

3つ目の「柔軟な働き方と休暇を取りやすい職場環境」の取組では、子育て中の男性社員を複数名同時に管理職に登用して、権限委譲を行った。家庭と仕事の両立をしている社員が管理職になることで、限られた時間で仕事をする風土が醸成され、スタッフの「お付き合い残業」も激減。

さらに、2018年からは子育て中の女性社員を積極的に中途採用し、2024年には、女性管理職比率は62%に達している。
新佐氏は「労働人口の減少により、会社の仕事に100%注力できる社員はどんどん減っていきます。まずは組織の土台作りを行った上で、形骸化しない制度を作っていくことが事業継続につながるのではないでしょうか」と発表を締めくくった。

2. 事例発表 - 2:働き方・休み方改革シンポジウム 事例発表

富士水質管理株式会社 専務取締役 白山 達也 氏

続いて、富士水質管理株式会社の白山氏が登壇。同社は社員数76名で、ビルやマンションの給排水設備メンテナンスを手掛ける、創業50年の老舗企業である。白山氏は15年間IT業界で働いた後、同社に入社した。IT業界から建設業界への転身にはカルチャーショックがあったが、それが改革の推進力となったという。

冒頭で白山氏は、建設業が「3K(きつい、きたない、こわい)」というネガティブなイメージを持たれ、人手不足が深刻である実態を説明。さらに、「好きな時間に働けない」「フルリモート勤務ができない」などの制約があると述べた。

「建設業で、人が採れないこと以上に問題なのは、人が定着しないことです。しかし、人手不足対策に取り組んでいる企業は少ない。データを見ると、教育や研修などの未来への投資が行われず、稼いだ金の多くは接待交際費に消えています」

この業界の常識を覆すため、同社は3つの領域に変革を起こした。

「どこらへんが未来の働き方なのか?」と題し、時間場所・年齢性別に縛られないこと、未来への投資の3点を青い四角で示した富士水質管理のスライド。

1つ目は、「時間・場所に縛られない働き方」である。スマホやクラウド勤怠管理ツールに加え、業界特有のアナログ業務のデジタル化に着手。それまでホワイトボードや口頭で行っていた年間3万件の現場対応、6,000社の顧客管理を、独自開発のツールで一元管理できるようにした。

「デジタル化は簡単ではありません。それでも、いったん軌道に乗れば業務効率化の恩恵は大きく、トライする価値があります。また、最大のメリットはデータが蓄積されることです。今後、AIが発達することで、データを分析することも容易になり、経験や勘に頼る働き方から脱却できるでしょう。

他にも、ベテランが現場に行かなくても遠隔で指示を出せるICTツールを活用し、業務の効率化を進めています」

2つ目は、「未来に投資する」(機器高度化に向けたリスキリング)である。使わなくなった会議室に中古機器を設置し、社内に研修センターを設立。失敗を恐れる若手社員がいくらでも失敗できる環境を提供している。これまでの「俺の背中を見て学べ」という風土から脱却し、体系的な育成が可能になった。

3つ目は、「年齢性別に縛られない」施策の推進である。同社の技術社員のうち10%が女性であり、業界平均の2.4%を大きく上回る。白山氏は、業界全体に「女性に任せるのは申し訳ない」という無意識の思い込み(アンコンシャスバイアス)があり、女性の採用が進まない実態を指摘した。

さらに白山氏は、現場の仕事は本当に男性にしかできないのかと考え、社内調査を実施した。その結果、防犯上のリスクがある施設はなく、転倒・転落のリスクがある現場は男性にとっても同様に危険であり、「女性だから危ないという現場はデータ上は存在しなかった」と、先入観を打破する必要性を強調した。

このマインドセットの変革はシニア社員にも向けられている。同社では毎月「社内表彰式」を実施。売り上げなどの定量的な評価基準だけでなく、定性的な貢献にもスポットライトが当たるよう設計しており、「毎月客観的に褒められると、自然と皆が強みや自信をつけていく」と、多様な人材が自信を持って定着する仕組みを語った。

これらの改革の結果、同社は労働時間を減らしながら過去最高の業績を更新し続けている。 白山氏は、「成果が出やすくて理不尽がない職場」が「働きやすい職場」であり、それを実現することが働き方改革だと語った。

最後に白山氏は、「潤沢な資金がなくても、やれることはたくさんあります。自治体の補助金や無料セミナーもあります。まずは何か一つ試してみることが大事ではないでしょうか」と、スモールスタートの重要性を訴えて発表を締めくくった。

3. パネルディスカッション

  • 早稲田大学 商学学術院 教授 小倉 一哉 氏
  • 株式会社浅野製版所 事業開発部 部長 新佐 絵吏 氏
  • 富士水質管理株式会社 専務取締役 白山 達也 氏

ディスカッションでは、ファシリテーターの小倉氏が、会場から寄せられた質問を交え、中小企業の改革の実情を深掘りしていった。

パネルディスカッションの様子

小倉:浅野製版所さんでは、属人化を防ぐための引き継ぎをどうしていますか。

新佐:「A社の担当はBさん」と、担当を固定するのをやめました。代わりに、顧客からの指示や対応履歴をすべて記録に残し、その記録を見れば誰でも対応できるように、徹底した記録と情報共有を行っています。

小倉:富士水質管理さんでは、間接部門の定性的な評価をどのように行っていますか。

白山:現在は無料のアンケートフォームを使い、「多く投票された人」を評価しています。「オフィスをきれいにしてくれた」「業務を教えてくれた」といった感謝の声を集計し、評価に反映しています。

小倉:視聴者からの質問です。仕事を抱え込んだり、改革に抵抗したりするベテラン社員をどう説得しましたか。

新佐:1対1の全社員面談で、じっくりと話を聞くことから始めました。社員の発言に共感した上で、「1人で頑張る必要はないので、一緒にやっていきましょう」と伝え、少しずつ相互理解を深めていきました。

白山:ベテラン社員を研修センターの講師に任命し、ノウハウを可視化することから始めました。表彰制度と連動させて、ノウハウを共有した人が評価される設計にしています。また、社員旅行などで関係性の質を上げ、何でも言い合える風土を作っています。

小倉:視聴者からの質問です。改革を推進した「チーム体制」について教えて下さい。

新佐:私1人でスタートしました。当初は「なぜこんなことをしているのか」という反発もありましたが、10年かけて「社員のためになる」という輪が広がり、協力者が増えていって今に至ります。

白山:60歳を超えるIT担当役員と、外部のITアドバイザーが二人三脚で進めました。私は後から加わったのですが、IT業界から来た門外漢だったのが逆に良かったのかもしれません。先入観なくいろいろと発言することで、うまく進んだ側面もあったと思います。

小倉:社員からの反発や苦言には、どう対応したのでしょうか。

新佐:「不平不満は大歓迎」のスタンスを取っています。不満は改善の余地があることの表れです。要望に応えられない場合は、その理由を説明し、「将来実現できるように検討する」と伝えるようにしています。

白山:現場を回る草の根活動は行いましたが、仕事が楽になり早く帰れるようになったので、反発はほとんどありませんでした。また、上場していないオーナー企業なので、スピード感を持って進められる強みを生かし、既成事実を作って定着させました。

小倉:リソースのない中小企業が改革をスタートする際は、何から始めるべきでしょうか。

新佐:不平不満を持っている社員ほど、会社を改善するためのヒントを持っています。会社の環境が変わることで、能力が顕在化する社員もたくさん見てきました。社員の可能性を取りこぼさないよう、彼らの声に耳を傾けることがスタートだと思います。

白山:「危機感」が重要だと感じます。危機感を持った人が、スモールスタートすること。特に、権限を持っているリーダーが率先して進めることが大切ではないでしょうか。

〈 事例発表&パネルディスカッション 〉
セッション② 出社とテレワークの組み合わせ ~働きやすさと成果の追求~

1. テーマ解説

法政大学 キャリアデザイン学部 教授 坂爪 洋美 氏

セッション②は、法政大学の坂爪洋美氏がファシリテーターを務めた。

坂爪氏は冒頭、「リモートワークと出社の黄金比に、唯一絶対の解はありません」と語った。重要なのは、そのバランスを考えるプロセスや、出てきた課題をどう解くかであるという。

「バランスをどう設定するかだけではなく、より広い視点を持ってどう考えるかが非常に大事です」とし、業種も企業規模も異なる2社の事例がヒントになるはずだとセッションを開始した。

2. 事例発表 - 1:働きやすい職場環境の実現に向けて テレワークとオフィスワークの最適化の探求

株式会社ICJ 執行役員 宮司 和幸 氏

株式会社ICJは、株主総会の際に上場会社と機関投資家間のやりとりを電子化する「議決権電子行使プラットフォーム」を運営する企業である。従業員数68名と少数ながら、東証プライム上場企業の96%が当該プラットフォームに参加するといった社会インフラを担っている。執行役員の宮司氏が、同社の働き方改革の取組を紹介した。

同社の転機は2020年頃。2015年以降コーポレートガバナンス・コードの拡充に伴い自社のプラットフォームに参加する企業が増え、2020年頃からさらにその傾向が強まった。業務拡大に対応するため、社員数の確保が急務となった。しかし、コロナ禍や売り手市場、同社の知名度の低さから、採用は困難を極めた。 そこで同社は、社員の困りごとを解決して働きやすい環境を整備し、それを会社の魅力として求職者にアピールする戦略をとった。

同社はすでにテレワークを導入していたが、コロナ禍で拡充し、完全テレワークが可能になった。これが社員が働くにあたって物理的な制約を取り除くベースとなり、3つの取組を推進していった。

1つ目の取組は、「勤務場所・時間の緩和」である。「テレワークの勤務場所」を自宅だけでなく「親族の家」にも拡大。オフィスに出社することを全く前提としない「遠隔地勤務制度」も導入した。 この結果、関西圏の居住者を採用したり、里帰り出産に伴い配偶者の実家からテレワークをしたりするなどの柔軟な働き方が実現した。

2つ目は、「社内コミュニケーションの活性化」である。テレワークと新入社員の増加により、「社員同士がお互いを知らない」「部署を超えて話しづらい」という課題が散見されるようになった。 対策として、月例の全体会に「誕生月の社員の自己紹介・近況報告」枠を追加。社内ポータルにサークル活動をはじめとする業務外活動の掲示板も開設するなど、意図的に接点を創出。誕生月の社員を集めるランチ会、カヌーの集いといった、ユニークなイベントも実施している。

3つ目は、「社員の声を定期的に収集」することである。年1回、全社員を対象にした無記名アンケートを行い、取組の満足度を調査。記名式の「適性申告書(キャリアシート)」も設けている。さらに、全社員対象の「対話集会」も不定期で開催している。

ICJのテレワークに関する2021年社内アンケート結果。在宅勤務の満足度、メリット、問題点、今後の希望勤務形態を示す4つの棒グラフを掲載。

「社員がテレワークを強く支持する一方、経営陣には『新規事業のアイデアを出すには、出社してもっとコミュニケーションを拡充させた方がよいのでは』といった懸念や、社員の状況が見えづらいことへの不安もありました。

こうした双方の意見を踏まえて、現在はテレワークを主とした勤務体制を敷きつつ、月1回はオフィスに出勤することとしました。さらに、コミュニケーション強化のため、追加で月1回のオフィス出勤を推奨しています。

このように、社員の要望と会社側の対応のバランスを常に探っており、今後は働きやすさの次の段階として、働きがいを感じてもらえる職場を目指していきます」

2. 事例発表 - 2:損保ジャパンの働き方「模索」の歩み
~柔軟な働き方と価値創造の両立を目指して~

損害保険ジャパン株式会社 人事部 企画グループ・リーダー 木村 一真 氏

損害損保ジャパンは、社員数約2万名を擁する大手損害保険会社である。このうち女性の割合は63%と過半数を占める。

木村氏は働き方改革の推進に関して「正直に申し上げて、現在進行形で模索しています」と語り、大企業が直面するテレワークのジレンマと、その解決に向けた歩みを共有した。

同社の改革は、「ゼロベースの仕事の棚卸し」から始まった。「やめる」「変える」「創る」をスローガンに、前例踏襲に陥っていないかを職場単位で見直した。「前例踏襲さん」「検討大好きさん」「横並びさん」といったユニークなペルソナを使い、業務の見直しを促したという。
 
さらに、コロナ禍を機にテレワークが一般化し、260あった社内文書の捺印を全て廃止。現在は、郵便物処理のアウトソーシングを進め、郵便物の受領のためだけに出社することもなくす取組を進めている。

テレワークはワーク・ライフ・バランスの向上や健康増進に寄与したが、一方で新たな複数の課題に直面したという。

1つ目は社員間の「不平等」である。業務内容によってテレワークができない社員や、出社するメンバーがオフィスの電話番などの負担を強いられることへの不満が生じた。

2つ目は「目的のズレ」だ。テレワークを導入した目的は生産性向上と効率化だが、社員からは「育児・介護とプライベートの両立のために使いたい」と望む声が上がった。また、テレワークは個人の最適解にはなるが、チーム全体の生産性を下げているのではないか、という問題提起もあった。

「当初はこれらの課題への対応を現場のマネジメントに委ねていました。その結果、テレワークを個人の権利や福利厚生の一貫と捉える風潮が生まれ始めてしまいました。 そこで、グループ全体で『SOMPOの働き方・働く場所の原則』をあらためて策定し、それに基づき、出社とリモートワークの意義を明確に定義しました」

出社とリモートワークの意義

  • 出社:コミュニケーションの質と量、人材育成、組織力強化
  • リモートワーク:時間創出による効率化、さらなる生産性向上
SOMPOの働き方指針スライド。出社とリモートワークの利点を比較し、組織の価値最大化と社員の成長・働きがいの両立を目指す方針を図解している。

ここでの大きなポイントは、出社とリモートワークの比率を全社一律に設定しなかったことだ。社員一人ひとりにリモートワークと出社の意義をあらためて考えて行動することを促し、職場単位でのコミュニケーションを推奨している。

「当社で働く上での絶対の価値基準として、お客さまに適切なサービスを提供するためには何が最適か、という観点があります。個人の都合ではなく、『お客さまの立場で考え、何が最適か』を『北極星』として、模索を続けていきます」

3. パネルディスカッション:実践から学ぶ最適解の見つけ方

  • 法政大学 キャリアデザイン学部 教授 坂爪 洋美 氏
  • 株式会社ICJ 執行役員 宮司 和幸 氏
  • 損害保険ジャパン株式会社 人事部 企画グループ・リーダー 木村 一真 氏

パネルディスカッションでは、坂爪氏のファシリテーションで、両社の取組についてのさらに深い議論が行われた。

パネルディスカッションの様子

坂爪:在宅勤務できちんと働いているかどうかを、どのように確認していますか。また、在宅勤務時の評価はどのように行っていますか。

木村:解決策は「アウトプットをしっかりと見る」ことだと思います。テレワークは生産性向上を実現するためのものなので、アウトプットの水準が出社時より低くても良いというものではありません。

宮司:パソコンのカレンダー機能で、業務開始・終了予定、昼休み、作業内容を日々共有してもらっています。上司はそれを見ながらアウトプットを確認できるため、評価において在宅か出社かは全く関係しません。

坂爪:在宅勤務によるコミュニケーション不足にはどう対処していますか。

宮司:カレンダーで相手の予定が分かるので、チャットや電話で気軽に相談できます。当社は社長にも直接チャットできるなど、非常にフラットな雰囲気だと思います。また、少なくとも週1回、多い部署では毎日オンラインでミーティングを行い、困りごとを言える場を設けています。

木村:チャットでの相談は当社でも活発です。また、当社では出社を「人材育成」や「組織力強化」のために必要なものと位置づけています。育成面で不安がある場合は出社に切り替えるなど、柔軟に対応しています。

坂爪:視聴者の方から損保ジャパンさんに質問です。出社とテレワークの不公平感を、どう解消していますか。手当などは講じていますか。

木村:まさに社内で何度も議論になりましたが、現時点では出社に対して特別な手当は設けていません。当社の価値基準は「お客さまの立場で考え、何が最適か」であり、適切なサービスを提供するために必要であれば、手当がなくとも出社すべきだと考えています。

坂爪:視聴者の方からICJさんに質問です。全体会やイベントに「行きたくない」という社員はいませんか。

宮司:行きたくない社員も、行きたくても行けない社員もいると思います。オンラインの全体会や、研修の一環としてのランチ会は全員出席としていますが、それ以外の懇親会などは任意です。社員の反応を見ながら、廃止も継続も柔軟に対応しています。

坂爪:運動不足やメンタル面での不調など、テレワークに伴う健康面でのフォローはされていますか。

木村:フィジカル面では健康アプリを使った歩数対抗戦などを実施していますが、課題はむしろメンタル面にあると認識しています。そこで、管理職向けに「リモートワーク時のマネジメント研修」を実施しています。特に、メンバーのオーバーワークは見えづらいため、上長が気を付けるべき点をインプットしています。

宮司:「健康管理表」のExcelシートを導入しています。社員は毎日、体調に問題がなければ「〇」、問題があれば「頭痛」「風邪」「子供がインフルエンザ」などと書き込みます。上司は部内の状況、人事は全社の状況を一覧で把握できるので、これを基に個別に声をかける体制を整えています。

坂爪:今後、自社の働き方改革をどのように進めていきますか。

宮司:本日ご紹介したのは、あくまでも途中経過です。会社の状況、社員の状況が変われば、仕組みも変わると考えています。社員アンケートや対話集会といったアンテナを張り続け、常に最適解を目指していきます。

木村:当社も今が正解だとは思っていません。繰り返しになりますが、われわれの「北極星」は、「お客さまの立場で考え、何が最適か」という価値基準です。これを基軸に、リモートワークと出社のバランスを考え続けていきます。

〈 総括 〉未来を切り拓く働き方改革の本質

東京大学 名誉教授 佐藤 博樹 氏

最後に、佐藤氏が本シンポジウムを総括した。

「中小企業にもできることがあります。できないと決めつけるのではなく、外部のサポート資源なども活用しつつ、できるところから少しずつやってみることが大事です。また、これからの時代、テレワークができるような業務内容であれば、出社とテレワークが選択できるような働き方を提供することが、人材確保の面からも重要になるでしょう。ハイブリッドワークにおいては、管理職のマネジメントが鍵になります」

佐藤氏は、ハイブリッドワークはまだ過渡期であり、進め方について模索中であることを強調。「先進事例を参考にしながら、これからのハイブリッドワークとマネジメントのあり方についても、皆さんと一緒に新しい取組を考えていきたい」と締めくくった。

※上記は本シンポジウムの内容の抜粋です。本シンポジウムの全容は、アーカイブ動画で視聴していただけます。ぜひ下記のリンクからアクセスしてご覧ください。また、働き方・休み方の見直しや改善に役立つ情報、企業事例が満載の「働き方・休み方改善ポータルサイト」も、ぜひご覧ください。

「令和7年度 働き方・休み方改革シンポジウム」アーカイブ動画はこちら

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