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【ヨミ】インターンシップ インターンシップ

少子化の影響を受け、採用市場では若年層の人材獲得が困難な状況が続いています。早期離職率の問題も顕在化するなか、ミスマッチを防ぐため、企業・学生の双方で入社前の活動が重要なポイントとなっています。こうした問題を解決する一つの手段となるのが「インターンシップ」です。ここでは、実施企業が増えている背景や実施するメリット、留意すべき点について解説します。

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1.インターンシップとは

インターンシップの概要

インターンシップとは、学生が一定期間、企業の就業体験を行うことです。文部科学省・厚生労働省・経済産業省の「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」では、『学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと』と定義されています。就職活動が本格化する前に職場の雰囲気や実務への理解を深めることで、就業意欲を高めるとともに、入社後のミスマッチを防ぐ効果が期待されています。

リクルートキャリア・就職みらい研究所の「就職白書2018」によると、新卒採用を行っている企業のうち、2017年度にインターンシップを実施した企業は68.1%で、前年の59.4%から8.7ポイント上昇しています。

学生のほうを見ると、2018年卒学生のうち、インターンシップ参加者は55.2%。前年比で11.5ポイント増加しました。さらに見ていくと、インターンシップに参加した企業に入社予定の学生は22.3%、同業種の企業に入社予定の学生は29.1%と、半数以上が同業種への入社を決めています。

このことから、インターンシップは学生にとって企業や業界への理解を促進する場として活用されているのと同時に、企業にとっては新卒採用の有効な方法となっていることが分かります。

インターンシップが注目を集める社会的背景

教育制度におけるインターンシップは、アメリカが始まりとされています。日本では、1997年に政府がインターンシップのガイドラインを公表し、広く認知されるようになりました。

近年は、インターンシップを実施する企業が増加傾向にあります。その理由として、二つのことが挙げられます。一つは、新卒採用の早期化が進んでいることです。経団連では例年、広報活動解禁時期と選考解禁時期を定め、指針として公表しています。これは、就職活動により学業に影響を及ぼさないことへの配慮と選考の公平性を担保するためです。

しかし現実には、外資系企業や経団連に所属していない企業などを中心に、早期採用が進んでいるのが実情です。そのため、各企業はより早い段階で人材と接触できる場、または自社をアピールできる機会を求めるようになりました。こうしたニーズに合致しているのが、インターンシップというわけです。

有効求人倍率の上昇が続き、新卒採用における競争が激化している現在、採用選考は企業が学生を選ぶ場であり、学生から選ばれる場でもあるといえます。こうした売り手市場のなか、早期に自社への理解を促す場を持つことで、差別化を図る動きが活発化しています。

二つ目の理由は、早期離職率を抑えるためです。入社から3年以内に退職する、いわゆる第二新卒は例年一定数以上存在します。この原因の一つとなっているのが、入社前のイメージとのギャップです。早期離職のリスクを抑えるうえでも、インターンシップへの注目が集まっています。

2.インターンシップを導入するメリット

優秀な人材を発掘する機会を得られる

広報活動の解禁時期に従って動いた場合、学生はどうしても企業や業界への理解を深めるための時間が制限されます。インターンシップを導入することで、早期に複数の学生との接点を持ち、仕事内容や企業の魅力を伝えることができます。

また、職場体験やプログラムを通して、採用選考の場では見えにくい能力が分かることもあります。優秀人材を発掘できる、という点は大きなメリットです。自社が求める人材と早期に出会えることで、その後も接点を持ち続けるなど、企業はより戦略的に採用活動を展開できるようになります。

企業のイメージアップにつながる

インターンシップの実施により、企業側には、学生や学校に対して知名度を高める効果も期待できます。とくに、エンドユーザーと直接的な関わりのない業種では、会社の名前を知られていないことが多くあります。インターンシップは知名度によらず検討されることが多いため、企業を知ってもらい、イメージアップを図る機会にもなります。

入社前後のイメージギャップを防ぐ

採用選考は、企業にとって時間・労力・費用をともなうものです。企業では、できるだけ効率よく優れた人材を獲得し、長く企業に貢献してもらいたいと考えています。しかし、例年一定数以上が入社から3年以内に早期離職してしまう現状があります。この原因として挙げられているのが、入社前後のイメージギャップです。

インターンシップは、事前に企業の雰囲気や実際に働くイメージをつかんでもらううえで有効な方法です。また、お互いの考え方や特徴を理解し合うきっかけとなります。インターンシップを通じて、お互いのミスマッチを防げることは大きなメリットです。

3.インターンシップの種類

インターンシップは期間の長さによって、大きく長期・短期に分かれます。それぞれの特徴やメリット・デメリットを見ていきましょう。

短期インターンシップ

短期インターンシップは、主に大学3年の夏休み・冬休み、大学4年になる前の春休みといった時期を利用して参加する学生が多い傾向にあります。期間は、一日から長くとも3週間程度です。

企業ごとにさまざまな企画内容で実施されますが、大きくはセミナー・見学型、問題解決型(ワークショップ・プロジェクト型)に分けられます。

(1)セミナー・見学型

セミナー・見学型は、一日から数日間で実施します。企業説明会を始め、社内見学、職場体験が中心となります。社員と交流する時間を設けるなど、短期間でも社内の雰囲気やイメージをつかんでもらえる工夫をします。

(2)問題解決型(ワークショップ・プロジェクト型)

問題解決型(ワークショップ・プロジェクト型)は、数日から2週間前後の期間で実施されることが多くなっています。複数の学生でグループをつくり、課題やプロジェクトに取り組みます。グループ内でワークやディスカッションをした内容を、社員にプレゼンしてもらうこともあります。

短期インターンシップのメリット・デメリット

(1)企業側のメリット

短期間に多くの学生を集めて開催できるため、社内のリソースや日程を調整しやすく、実施が比較的容易というメリットがあります。人事担当のほか、現場の社員も一度に多くの学生と接することができるので、ポテンシャル・性格・印象などを知る良い機会になります。

ディスカッションをするプログラムでは、学生とのコミュニケーションを通じて相互理解を深められるというメリットもあります。

(2)企業側のデメリット

短期間での実施となるため、企業側からの一方的な情報発信となりがちで、コミュニケーションが浅くなってしまう点がデメリットとして挙げられます。また、タイムスケジュールを綿密に組む必要があり、企画立案や関連部署との調整など、事前の準備に手間がかかります。

短期インターンは応募者数が多くなることも想定されるため、人数を制限する場合は選定基準の設定、選定業務を行うといったことも必要です。

(3)学生側のメリット

社員や他の学生との交流の場を得ることで、就職活動の視野が広がります。入社する前に社内の雰囲気や業務内容を大まかにつかめるため、入社後の働き方をイメージしやすくなります。

また、短期インターンでは、複数の業界・職種に参加しやすい点もメリットとして挙げられます。就職活動に入る前に、自分にとっての向き・不向きを知ることができるので、ミスマッチを避けられるというメリットがあります。

(4)学生側のデメリット

セミナー・見学型では、企業理解は進むものの、自己アピールする場とはなりにくい点がデメリットに挙げられます。気軽に参加できる一方で、お互いを知る機会を期待するのは難しいといえるでしょう。

プログラムによっては、実際の業務内容とは異なるテーマが設定されていることもあります。ワークショップを通じてポテンシャルをアピールできるというメリットもありますが、実際の仕事内容は分からないままになってしまう点がデメリットといえます。

長期インターンシップ

長期インターンシップは、1ヵ月から半年程度が多くなっていますが、とくに期限を設けず行われる場合もあります。

短期インターンシップでは企業を知ってもらうことが主な目的であるのに対し、長期インターンシップは実践を通じて業務内容の理解を深め、入社後の即戦力を育てる目的で実施されることが多くなっています。そのため、採用後すぐに戦力化を図りたい中小企業やベンチャー企業で実施されることが多い傾向にあります。

長期インターンシップでは、社員の補佐的な業務に携わりながら、職場の雰囲気や先輩社員の仕事の進め方を見て、企業で働く実際を学んでもらいます。学生の能力・スキルによっては、社員と同等の仕事に従事してもらうこともあります。

長期インターンシップのメリット・デメリット

(1)企業側のメリット

長期間にわたって学生と接することで、能力・スキル・行動特性を具体的に把握できるというメリットがあります。また、企業の考えや風土をしっかり理解してもらえるため、入社後のミスマッチが少なく、即戦力として活躍してもらえる可能性が高まります。

優秀人材と早期から接点を持てるメリットがあるほか、若手社員を教育担当にすることで既存の社員の育成にも役立ちます。社内の活性化につながる点もメリットになるでしょう。

(2)企業側のデメリット

一方で、長期間にわたって教育し実務経験を積んでもらっても、他の企業に入社する可能性は当然あります。時間や社員の労力を割いても、必ずしも人材獲得につながるわけではないという点がデメリットとして挙げられます。

また、実際の業務にあたる過程で、社内の機密事項に触れる可能性があります。セキュリティー面での不安要素を排除するため、事前に任せる業務範囲の判断をしておく必要があります。

(3)学生側のメリット

長期間の実務経験を通して企業への理解が進み、社員とのコミュニケーションも深まります。場合によっては経営層と接する機会もあり、事業運営の視点を知ることができるなど自己成長につながります。企業の理念や方向性をつかんだうえで入社を決めることができるため、入社後のミスマッチが起こりにくい点も大きなメリットです。

(4)学生側のデメリット

責任感を持って実務に携われる反面、労働時間が増え、学業に支障をきたすことが懸念されます。仕事に集中してしまい、学業がおろそかにならないよう注意する必要があります。

4.インターンシップを実施する際の注意点

インターンシップの目的から逸脱しないこと

企業がインターンシップを実施する背景には、優秀な人材を獲得したいという期待があります。しかし、採用強化に特化しすぎてしまうと、インターンシップ本来の目的を見失ってしまうことがあります。

たとえば、学生の人気を得るためのプログラムに終始し、職場体験の意味合いが薄くなるケースです。また、行き過ぎた囲い込み活動によって、学生の信頼を失うといった点が懸念事項として挙げられます。

インターンシップを実施する際は、目的を明確にするとともに、学生にとってのメリットも意識し、自由な就職活動を妨げない配慮が必要です。

インターンシップの賃金

インターンシップの目的は、在学中に就業体験をすることとされています。そのため、報酬を支払う必要はないと認識されている場合がありますが、内容によっては賃金を支払う義務が生じます。

賃金が発生するのは、インターン生に対し、指揮命令のもと実務を行わせ企業が利益を得ている場合です。このケースでは労働基準法第9条が適用され、最低賃金を守ったうえで一般労働者と同じ扱いをする必要があります。

主に長期インターンの場合、これに該当するケースが多くなります。時給・日給など報酬体系は企業によって異なりますが、無償で働かせた場合には違法となるため注意が必要です。

また、インターンシップは報酬を得ることを目的としたアルバイトとは位置づけが異なります。これを混同しないよう、社員および学生にしっかり認識してもらう必要があります。

5.インターンシップの充実度は志望度に影響

採用選考へのエントリー段階では、学生に認知されている業界や有名企業が有利な状況をつくりやすいのが実状です。インターンシップは、知名度が低い企業でも多くの学生に自社をアピールする機会を得られるため、選考の母集団形成に大きく貢献するといえます。

若年層の早期離職が問題視されるなか、インターンシップへの期待は企業・学生ともに高まっています。しかし、一方ではインターンシップの充実度が企業の印象を左右するほどの影響力を持ち始めていることに注意する必要があります。

学生がインターンシップに参加している平均社数は2017年度で3.3社となっており、年々増加傾向にあります(リクルートキャリア・就職みらい研究所の「就職白書2018」より)。学生は複数の企業のインターンシップ体験を比較しているため、プログラムの満足度が志望度に大きく影響することが考えられます。

インターンシップの実施にあたっては、こうした影響を十分に考慮したうえで企画・運営することが重要です。

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