労働条件通知書「適用日」 36協定有効期間・入社日どちらを記載
お世話になっております。
弊社では、1年単位の変形労働時間制を採用しております。
この場合、労働条件通知書の「始業・終業時刻」欄にある「適用日」には、以下のどちらを記載すべきでしょうか。
①労働基準監督署に提出した変形労働時間制に関する協定届に記載した「協定の有効期間」
②各社員の入社日
現在は入社日を記載しておりますが、どちらの考え方が正しいのか判断に迷っております。
すでに同様の質問がございましたら恐縮ですが、ご教示いただけますと幸いです。
投稿日:2025/10/20 08:54 ID:QA-0159665
- koba.さん
- 熊本県/販売・小売(企業規模 31~50人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
前提確認
貴社では「1年単位の変形労働時間制」を採用。
労基署へ「1年単位の変形労働時間制に関する協定届(様式第4号の2)」を届出済み。
労働条件通知書(様式第5号など)には「始業・終業時刻等」欄があり、「適用日」欄がある。
1. 「労働条件通知書」の法的位置づけ
労働条件通知書(労基法第15条)は、個々の労働契約の締結時点での条件を明示する書面です。
したがって、その内容はあくまで 「その労働者に適用される労働条件を、いつから適用するか」 を示すものです。
厚生労働省「労働条件通知書記載要領」より
「始業・終業時刻等の『適用日』は、当該労働者に対して当該労働条件を適用する日を記載すること。」
このため、労働条件通知書の「適用日」は、
その社員個人に対して労働条件が発効する日=入社日
を記載するのが原則・正解です。
2. 変形労働時間制の協定期間との関係
1年単位の変形労働時間制の協定有効期間(例:2024年4月1日~2025年3月31日)は、「会社と労働者代表との間で結ばれた制度の有効期間」を示すもので、
これは会社全体の制度運用期間であって、個々の労働者の契約日とは直接結びつきません。
そのため、労働条件通知書の「適用日」に「協定の有効期間開始日」を書くのは誤りです。(※制度が更新されるたびに、個々人の通知書を更新する必要はありません)
3. 実務運用上の正しい記載例
ケース→適用日の記載→備考
新規入社社員→入社日(契約開始日)→「令和7年11月1日から適用」など
既存社員で労働条件変更(異動・時短など)→変更日→変更通知として扱う
制度改定(協定更新・就業規則改定)→改定日を別途明示→労働条件通知書全員再発行は不要(就業規則で対応)
4. 参考:厚労省の実務指針・通達
厚生労働省 労働基準局監督課「労働条件通知書の記載例」
→ 「適用日」欄は、労働契約の効力発生日(入社日等)を記載すること。
「変形労働時間制協定届」は労使協定の制度運用開始日であり、
個々人の労働契約書上の適用日とは区別される。
5. まとめ
項目→記載すべき内容→理由
労働条件通知書「適用日」→各社員の入社日(または労働条件変更日)→労基法第15条に基づく「個別契約の効力発生日」であるため
36協定・変形労働制の有効期間→協定書・届出書に記載(会社制度として管理)→個々人の通知書に転記する必要なし
6.補足アドバイス
就業規則や変形労働時間制協定に「本制度は全社員に適用する」と明記しておけば、
労働条件通知書では「制度の概要(例:1年単位の変形労働時間制を採用)」を記載するにとどめ、 「協定期間」をわざわざ個々に書く必要はありません。
労基署調査でも、「適用日=入社日」としている企業が圧倒的多数です。
7.結論
労働条件通知書の「適用日」欄には、「労働契約の効力が発生する日(=入社日)」を記載するのが正解です。36協定や変形労働時間制協定の「有効期間」は記載不要です。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/10/20 09:38 ID:QA-0159671
相談者より
ご丁寧にご回答いただき、誠にありがとうございます。
まだ総務の業務に不慣れで分からないことも多いのですが、今回のご説明がとても詳細で分かりやすく、大変勉強になりました。
教えていただいた内容を今後の実務に活かしてまいります。
投稿日:2025/10/20 12:09 ID:QA-0159685大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
労働条件として、いつから、1年単位の変形労働時間制の適用を行うのか?
と解せますので、入社日より1年単位の変形労働時間制を適用させるのであれば、
適用日は、入社日(ご記載の2)が正確となります。
投稿日:2025/10/20 11:44 ID:QA-0159682
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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