給与の過払い精算について
いつもお世話になっております。
契約社員の契約変更(減額)に伴う給与額変更対応が漏れてしまい、過払いが発生してしまいました。
金額がそこそこ大きく、ご本人様からは次の賞与での一括精算のご希望を受けています。
今後、以下のような処理になるため、最終的には本来(正しい処理をした場合)の支払額や負担額(税金)と同額になる(ご本人様の余計な追加負担は発生しない)と考えているのですが、考え漏れや認識の誤り等はありますでしょうか。
1.社会保険は、本来の契約変更月での月額変更手続きを行う。
2.所得税は、今年度内で精算が完了すれば、最終的には年末調整で正しく年税額の精算することになる。
もし「賞与ではなく、給与で精算すべき(給与で精算しないと本人負担が本来よりも大きくなるものがある)」や「この分は、上記手続きをとっても本来よりもご本人の負担が多くなってしまう」など懸念点、ご本人様への説明ポイント等がありましたらアドバイスをいただきたくよろしくお願いいたします。
投稿日:2025/09/09 20:49 ID:QA-0158002
- ぶるさん
- 東京都/その他業種(企業規模 6~10人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
過払い精算についてのご認識は大筋で正しいですが、実務上いくつか注意点がありますので整理の上、ご説明申し上げます。
1.社会保険の取扱い
ご認識の通り、「契約変更月に遡って月額変更」を行えば、本来の標準報酬月額に是正できます。
重要なのは、社会保険料は実際の支払給与ではなく「標準報酬月額」で決まる点です。
→ 過払い給与があったとしても、標準報酬を訂正すれば、将来的にご本人の負担増は残りません。
注意点
月額変更届の対象月・提出期限を確認(契約変更が大きな減額の場合、2等級以上の差があれば必須)。
健保組合や協会けんぽから過誤納還付手続きが必要になる場合があります。
2.所得税の取扱い
過払い分を「賞与で一括返還」しても、年末調整で最終的には是正されるので、原則的にはご本人に余計な税負担は残りません。
ただし、返還の方法により源泉所得税の取扱いが異なります。
パターンごとの整理
給与で返還する場合
過払い分を給与から控除 → 毎月の源泉徴収で即時反映。
最もシンプル。
賞与から返還する場合
返還分は「非課税」で控除できるが、処理を誤ると賞与課税が過大になる可能性あり。
精算が年度内に完了すれば、年末調整で是正可能。
注意点
「返還額を賞与から控除する」ときは、会計処理を「給与過誤精算」として区分すること。
会社側で返還分を「雑収入」等にしてしまうと、税務処理に齟齬が出るため、必ず「給与の過誤精算」で処理。
3.住民税への影響
住民税は前年の課税所得に基づいて翌年度課税されるため、精算が翌年にまたがると影響が残る場合があります。
今年度内(12月まで)に精算完了すれば、翌年の住民税も正しい金額に反映されます。
4.ご本人様への説明ポイント
社会保険・税金とも、年度内に精算すれば最終的に余計な負担は発生しないこと。
精算を賞与で行う場合でも、年末調整で調整がかかるため安心してよいこと。
ただし、賞与時の手取り額が一時的に大きく減るため、生活資金計画にご留意いただきたいこと。
精算が年度をまたぐ場合は、住民税への影響が残るため、できるだけ今年中の精算が望ましいこと。
5.まとめ
社会保険 → 月額変更手続きで是正すればOK。
所得税 → 精算が今年度内なら年末調整で最終的に整合。
住民税 → 翌年度課税なので、年度をまたぐ精算は要注意。
精算方法は給与でも賞与でも可。ただし、処理の仕方(給与過誤精算として扱うこと)が重要。
実務的には「賞与から一括精算」も問題ありませんが、年度内に処理を終えるかどうかが最大のポイントになります。
ご希望が「賞与精算」である場合、念のため税務署の「源泉所得税Q&A」や健保組合への確認をしておくと安心です。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/09/10 09:19 ID:QA-0158016
相談者より
井上様
お世話になっております。
大変わかりやすく丁寧なご回答、アドバイスをいただきありがとうございます。
1点追加でお伺いしてもよろしいでしょうか。
賞与からお預かりする際、課税で精算しなければならないものと思い込んでいたのですが、非課税でも可能とのことで…
課税or非課税どちらでお預かりするのがよりよいのか…がよくわからず、Web検索しても理解につながるページにたどり着けずにおります。
以下理解で合っておりますでしょうか…
[例] 賞与:100万、精算額20万とします。
1.課税で精算:課税支給額80万に対して所得税が計算される。
2.非課税で精算:課税支給額100万に対して所得税が計算される。
→上記どちらも年内で完結すれば年末調整で精算できるが、2で計算した方が、年末調整時還付(還付金 増)の可能性が高くなる(賞与での手取りは減るが)。
初歩的な質問で申し訳ありません。
ご教示いただけますと幸いです。
投稿日:2025/09/10 11:22 ID:QA-0158037大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
以下のご認識には相違はないと言えるでしょう。
|1.社会保険は、本来の契約変更月での月額変更手続きを行う。
|2.所得税は、今年度内で精算が完了すれば、最終的には年末調整で正しく
年税額の精算することになる。
また、精算方法は、本人の希望を優先するのが一番であり、給与でなければ
いけない、賞与でなければいけないなどはありません。
給与は社員の生活給であります為、今回の事例の振り返りと、再発防止策は
社内で検討をなさってください。
投稿日:2025/09/10 11:22 ID:QA-0158036
相談者より
米倉様
お世話になっております。
ご教示いただきありがとうございました。
認識に相違なしとのことで安心いたしました。
ありがとうございました。
投稿日:2025/09/10 15:54 ID:QA-0158074大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
追加のご質問にご回答申し上げます。
追加のご質問をいただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
考え方や規定等につきましては、ご説明申し上げました通りです。
追加のご質問
「賞与からお預かりする際、課税で精算しなければならないものと思い込んでいたのですが、非課税でも可能とのことで…
課税or非課税どちらでお預かりするのがよりよいのか…がよくわからず、Web検索しても理解につながるページにたどり着けずにおります。
以下理解で合っておりますでしょうか…
[例] 賞与:100万、精算額20万とします。
1.課税で精算:課税支給額80万に対して所得税が計算される。
2.非課税で精算:課税支給額100万に対して所得税が計算される。
→上記どちらも年内で完結すれば年末調整で精算できるが、2で計算した方が、年末調整時還付(還付金 増)の可能性が高くなる(賞与での手取りは減るが)。」
につきましての最終の判断は、所轄の労働基準監督署、もしくは、税務署が行うものと存じます。
つきましては、本ご質問は、所轄の労働基準監督署の監督官もしくは税務署の担当者にご確認されることをお勧め申し上げます。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/09/10 11:36 ID:QA-0158041
相談者より
井上様
追加の質問にもご回答をくださいましてありがとうございました。
最終の判断は、所轄の労働基準監督署、もしくは、税務署なのですね。
確認してみます、ありがとうございました。
投稿日:2025/09/10 15:56 ID:QA-0158075大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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