いま求められる“効率的”人事給与業務とは?(第2回)
「いま求められる“効率的”人事給与業務とは?」第1回では、株式会社サイゼリヤが取り組んでいる事例を見ていくことで、現在の人事給与業務のあり方について探っていった。特に印象に残ったのは、同社の「徹底した業務効率性の追求」。そのためには、人事給与システムの有効活用を始めとする、「業務改革」が不可欠であることがわかった。引き続き第2回でも、西川産業株式会社とピジョン株式会社の事例を見ていきながら、改めて、現在の人事給与業務に必要なものとは何かを探っていく。果たして、人事部は人事給与業務をどのように考え、どう取り組んでいくべきなのか…。今後、業務を進めていく上での指針として欲しい。
CASE2:西川産業株式会社
人事給与業務の属人性を解消し、効率を“飛躍的”に向上
創業400年を超える老舗であり、寝具・寝装品・インテリア用品・ベビーキッズ用寝具などの製造卸売業、小売業を展開する、西川産業株式会社。かつては雇用形態や給与体系の多様化に伴い、人事給与業務に関する多くの課題を抱えていた。しかし、革新的な人事給与業務に関する体制作りに成功し、業務効率を飛躍的に向上することが可能になったという。その秘訣について、人事総務部 課長の荒川泰典氏にお話を伺った。
- 西川産業株式会社
- 本社 〒103-0006 東京都中央区日本橋富沢町8-8
- 創業 1566年
- 設立 1947年6月
- 資本金 9億150万円
- 従業員数 990名
- Webサイト http://www.nishikawasangyo.co.jp/
複数の給与体系の計算を一括処理し、繁忙期の残業時間を半減
同社は、幅広く事業を展開していく中で、雇用形態が「正社員」「契約社員」「パート社員」などに多様化。合わせて給与体系も、「月給制」「年俸制」「時給月給制」などと複雑化していった。給与計算業務は、給与体系ごとの担当制としていたが、結果的に専門性の高い属人的な業務となってしまっていた。その影響もあり、繁忙期になると業務量が増え、残業に関するコストが高くなってしまうことも大きな問題だった。
同社では、このような課題を解決するため、人事給与の業務改革を実行。まず、次のように方向性を定めた。
- 異なる雇用形態にも汎用的に対応
- 属人性の解消による業務効率の向上
- システム標準機能の活用による運用の安定化
これらを実現していくために、同社が導入を決めたのが、「ZeeM人事給与」だ。「汎用性が高く、複数の給与体系にも対応できるので、給与計算の一括処理が可能になりました。その結果、業務担当者の負荷が減り、業務の標準化を実現すると共に、ミスも起こりにくくなりました」(荒川氏)。
見やすい画面デザインで、直感的に操作できる点も大きかった。業務に不慣れなスタッフでも、素早く操作を覚えることが可能。「担当者以外のスタッフの業務支援を受けられる体制を構築し、かつては繁忙期には1ヵ月20~25時間もあった残業時間も、導入後には約10時間にまで圧縮することができました」(荒川氏)。
効率化により生まれる「付加価値」に期待
業務を効率的に進めていく上で、大きなポイントとなる人事給与システム。導入の際には、「自社に必要なものは何か」を明確にしておく必要があるだろう。「今回は、人事給与システムの標準機能の網羅性とコストパフォーマンスを評価基準にしました。標準機能が充実していれば、開発や保守費用も低減が可能。また、システムについての知識があまりない人にも、担当を引き継ぐことができます」(荒川氏)。
同社は業務の属人性を解消することで、効率的に給与計算業務を継続できる仕組みを作り上げた。「今後は効率化で得られた時間を、制度や採用など、より付加価値の高い業務に役立てたいと考えています」(荒川氏)。人事担当者の業務は多岐に及ぶ。効率化できる部分は極力シンプルにし、新たな付加価値を生み出せるような業務に多くの時間を費やす…。人事部としてより多くの成果を挙げるためにも、人事給与業務の効率化は業務改革の大きな一歩となるといえるだろう。
CASE3:ピジョン株式会社
同一システムの運営により、国内グループ全体の統制を強化
育児用品・マタニティ用品などを製造・販売する、ピジョン株式会社。国内はもとより、中国・アメリカ・東アジアなどでも事業を展開。国内では育児以外にも女性ケア用品や子育て支援など、事業の多角化を進めている。事業拡大に伴い、グループは従業員数が増加し、雇用形態が多様化。そのため、人事給与業務においては、国内グループ各社の制度運用の確認や実務標準化をはじめとした業務統制が急務となっていた。果たして同社では、この難題にいかに取り組んでいったのか。人事総務本部 人事総務部の若山直樹氏、金塚康夫氏にお話を伺った。
- ピジョン株式会社
- 本社 〒103-8480 東京都中央区日本橋久松町4番4号
- 設立 昭和32年8月
- 資本金 51億9,959万円
- 従業員数 849名 (正社員・契約社員)
- 関係会社 国内7社、海外6社
- Webサイト http://www.pigeon.co.jp
同一システムにより国内グループ全社を管理
同社のグループ会社は国内7社、海外6社に及ぶ。「近年は事業規模が拡大しているほか、グループ各社で人事制度や賃金体系、人事給与システムが異なっていることもあり、以前は各社の人事給与業務の運用状況を把握するのに苦労していました。昨今、社会的に内部統制や個人情報保護などへの対応が重要視されています。ピジョングループとしても、統制機能強化や給与業務の効率化・標準化の必要性を強く感じ、新しい人事給与システムの導入を決定したのです」(若山氏)。
そこで同社が導入したのが、複数の会社の管理に対応した人事給与システムである「ZeeM人事給与」だ。マスタデータをグループ会社ごとに設定できるため、雇用形態や制度が異なっていても、同一システムで扱うことが可能。また、複数のグループ会社を対象にした人事情報の任意検索や、グループ内転籍者の年末調整の自動反映といった機能も持つ。「グループの1社が制度を変更する場合も、他社に影響を及ぼすことはなく、個別対応が容易になりました」(若山氏)。
同一システムによる運営に加え、シンプルで使いやすく、操作に不慣れな人でも使いこなせることも大きかったという。「私たち本社スタッフがコールセンターのような役割を果たし、グループ会社から問合せがあった場合にも、電話で指示することで業務を進めるということもありました」(金塚氏)。同社はシステムの機能を十分に使いこなすことで、グループ全体の業務の効率化を実現した。やはり、「操作性のよさ」「システムの拡張性」は、人事給与システムを選択する際の大きなポイントとなるようだ。
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幅広く「社内開発」「社内連携」を実現
人事給与システムの導入による効果は、同社にとっては人事部門だけにとどまらず、情報システム部門も含め、グループ全体にも及ぶ。今回のシステム導入を機に、各社が業務の棚卸しを実施し、グループ全体での業務効率化を実現することができたという。「グループ会社の業務フローや運用フローも統一し、内部統制・セキュリティ・法令改正にもグループ全体で確実に対応できるようになりました」(若山氏)。
さらに2010年3月には、国内グループ全社での人事給与システムの統合を計画中で、現在は新規2社追加のための準備も開始している。「今後は、さらなる経営効率の向上を目指していきます」(若山氏)。そのためには、現在の人事給与システムを使いこなし、さらに自社の方向性に合わせ、業務改革を推進していくことが重要になっていくことは間違いないだろう。
これから人事給与担当者に求められるもの
これまで2回に渡って、優良企業が展開する“効率的”な人事給与業務への取り組みを見てきた。「雇用形態の多様化により、給与計算業務の負荷が増大していた」「事業規模の拡大によってグループ内で多様化していた制度や業務を、統制する必要があった」など、その課題こそさまざまだが、各企業とも自社の業務課題を的確に捉えて、業務改革を推進していったことがわかった。
そのプロセスには、ある共通した“動き”がある。それは、各企業とも「人事給与システムを効果的に活用した」ということ。それによって、「業務の属人性の解消」「業務の標準化・平準化」「業務統制の強化」などの業務改革を実現していった。その上で、各企業とも今後のさらなる「成長」を見据えている。
このような取り組みは、決して業務改革だけに限らないだろう。人事給与担当者自身も、現状の業務の見直し、改善、効率化を常に意識し、さらなる自己成長を目指していって欲しい。それが、人事部門のみならず、自社全体の成長にも大きく寄与することになるからだ。
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クレオは、人事給与パッケージ・会計パッケージといった企業の基幹業務を支える総合的なソリューションにより、お客様が直面する課題を共に解決し、16年に渡って信頼と実績を築いてきました。ZeeMは、その過程で培った業務に関する実績とノウハウを盛り込み、人事給与・会計などの基幹系業務ソフトウェアからアウトソーシングまで、お客様のプロフェッショナルな業務を支援するトータルソリューションを提供しています。
http://www.zeem.jp/