フレックスタイム制の清算期間途中における退職
お世話になります。
フレックスタイム制を適用している社員が、退職することになりました。
給与計算についてご教示いただけないでしょうか。
清算期間:当月1日~当月末(1カ月)
1日の就労時間:8時間
所定労働時間:8時間×所定労働日
平均就労日数:20.16日
退職日:2025/8/10
土日祝休みのため、退職日までの8月の所定労働日数は6日です。
5日間は有給休暇を使用し、1日はPM半日有休を使用しています。
半日有休を使用した際の勤怠が、
出勤9:00 退勤14:00(休憩なし)で14:00~18:00が半休です。
このとき、固定労働時間制であれば1時間の法定内残業が発生すると思いますが、フレックスタイム制だとどのように計算するのか分かりません。
就業規則には、月途中の退職の場合、日割りで支給すると記載があります。
基本給÷賃金計算期間における所定労働日数×勤務日数
また、就業規則のこの記載内容に問題がないかも教えていただけますと幸いです。(平均就労日数でなくてもよいのか、疑問に思いました)
よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/08/08 12:18 ID:QA-0156577
- あぷでさん
- 東京都/情報処理・ソフトウェア(企業規模 31~50人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
ご質問のケースにおけるフレックスタイム制の総所定労働時間は、
8時間/日 × 6日間 = 48時間です。
ですので、48時間を超えた時間は残業となります。
次に総労働時間を計算していきます。
全日有給: 5日 × 8時間 = 40時間
半日有給: 4時間
実労働時間: 5時間
総労働時間: 40時間 + 4時間 + 5時間 = 49時間
よって、ご記載いただいたお言葉をお借りしますと、
固定労働時間制と同様、1時間の法定内残業が発生いたします。
また、就業規則における月給制の場合の月途中退職時の按分計算方法に
ついては、法令上の明確な取り決めはない為、会社規定内で、計算方法を
明確に定めていれば、問題はありません。
投稿日:2025/08/08 15:13 ID:QA-0156593
相談者より
ご回答ありがとうございます。
清算期間終了時点で、所定労働日時間が超過しているかどうかということなんですね。
ありがとうございました。
投稿日:2025/08/08 17:38 ID:QA-0156607参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.今回のケースの整理
項目→内容
清算期間→当月1日~当月末(1カ月)
所定労働日数→6日(8/1〜8/10のうち土日祝除く)
所定労働時間→6日 × 8時間 = 48時間
実績(勤怠)→有給休暇5日(=8h×5=40h)+ 半日出勤5h(9:00〜14:00)+ PM半休(4h)
実労働時間(フレックスのコアタイム含む)= 5h(8/6の出勤分)
有給分加算時間(みなし労働時間)= 40h+4h(PM半休)= 44h
総労働時間(実績)= 49時間(5h+44h)
2.時間超過の扱い(フレックスタイム制)
原則】フレックスタイム制では…
清算期間内に「総労働時間」が「所定労働時間」を上回った分が時間外労働(残業)の対象
労働日単位で残業を判断しません(※固定労働制と違う点)
つまり…
49時間(実績)−48時間(所定)=1時間が法定内残業となります。
3.結論
退職月の清算期間終了時点で「総労働時間が1時間超過」しているので、1時間分は時間外労働として割増支給が必要です(ただし法定内残業=割増1.0倍)。
4.日割計算における「就業規則記載」の適否
規定内容:
「月途中の退職は日割り支給:基本給 ÷ 賃金計算期間における所定労働日数 × 勤務日数」
この規定は合法です。
法令では「日割り支給方法をどのようにするか」は企業に裁量があり、就業規則等に明記されていれば合法です。
よくある手法:
【所定労働日数ベース】(今の規定)
【カレンダー日数ベース】(月の日数で割る)
【平均労働日数ベース】(20.16日等で割る)
疑問:「平均就労日数でなくてもよいのか?」
→はい、所定労働日数ベースでも問題ありません。
むしろ、その月の労働日数で計算する方が実態に即して公平です。
5.対応まとめ
項目→対応
賃金の割増→所定48h超過の1h → 法定内残業として割増なし(×1.0)で支給
日割支給方法→所定労働日数6日を基準に「基本給÷月所定労働日数×6日」でOK
就業規則の記載→法的に問題なし。平均就労日数である必要はない
6.補足:他に注意すべき点
労働時間が不足していた場合(例えば所定48hに対して45hしかなかった)→ 不足分は控除される(欠勤控除)
精算期間中の退職は、清算が必要な月と認識し、過不足精算する義務があります(労基法第24条に基づく全額払いの原則)
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/08/08 16:16 ID:QA-0156598
相談者より
ご回答ありがとうございます。
日割り計算は基本給÷21日×6日ということになるのでしょうか。
(8月の所定労働日数は21日です)
また、就業規則の日割り計算の文言を、平均就労日数に直したところで、不利益変更になりますか?
続けての質問で申し訳ありません。
投稿日:2025/08/08 17:47 ID:QA-0156609大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
2回目のご質問にご回答申し上げます。
改めて、ご質問、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
内容につきましては、ご説明申し上げました通りです。
改めてのご質問「日割り計算は基本給÷21日×6日ということになるのでしょうか。
(8月の所定労働日数は21日です)
また、就業規則の日割り計算の文言を、平均就労日数に直したところで、不利益変更になりますか?」についてですが、最終的な計算方法および、不利益変更になるか否かの判断は、所轄の労働基準監督署の判断となります。つきましては、本ご質問は、所轄の労働基準監督署の監督官にご確認されることをお勧め申し上げます。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/08/08 22:39 ID:QA-0156613
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、フレックスタイム制で月中途退職の場合ですと、清算期間(1か月)における在籍日数に応じた週法定労働時間の総枠に基づき計算される扱いになります
従いまして、当事案の場合ですと、当人の当月の実労働時間数が、8時間×当月の所定労働日数×(10/31日)で得られた労働時間内であれば時間外労働の発生はございません。
そして、通常フレックス制の場合ですと1日の所定労働時間は定まっておりませんので、法定内残業につきましても直ちに支払う義務迄は生じませんが、御社の場合のように1日の所定労働時間を8時間と定めておりかつ通常休憩に当たる時間を勤務されているとすれば、1時間分の通常賃金を支払われるのが妥当といえるでしょう。
また、日割り賃金の計算方法は法的に定められておりませんので、規則の内容については問題ございません。
投稿日:2025/08/09 19:26 ID:QA-0156618
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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