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身元保証書への賠償額の上限記載について

お世話になります。
これまでは賠償額を決めずに身元保証契約ができました。2020年4月の民法の改正によって「身元保証書」の取扱いが大きく変わり、賠償額の上限を決める必要がでてきました。今後は上限の記載のない身元保証書、その契約自体が無効になるというものです。
そこで、「賠償の上限額を記載する」と決めた場合、その金額はどう決めるべきでしょうか。
上限額は法律では決まっておらず、企業側で自由に設定できるとなっていますが、実際、どのくらいの金額にするものなのか、判断に悩んでおります。
ご教示頂ければ幸いです。
(弊社はホテル運営企業です)

投稿日:2021/04/26 12:21 ID:QA-0103081

たんしおさん
沖縄県/旅行・ホテル(企業規模 51~100人)

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プロフェッショナル・人事会員からの回答

全回答2

プロフェッショナルからの回答

増沢 隆太
増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ 人事・経営コンサルタント

対応

金額については担当責任によっても全く異なるため「標準額」というものは無いと思います。
貴社業務を通じて「本人の責による」損害を具体的に算定し、定めるしかないでしょう。実際に保証人からその根拠を求められれば説明しなければなりませんし、何より企業の管理責任や管理職の関与、安全配慮義務など、損害を具体的に証明する義務はこれまで通り企業にありますので、高めに設定することは可能ですが、ほぼ意味がありません。
全責任を負わせたり、年収相当額を支払わせるということは、その社員が単独犯で企業が事前察知の手を講じていた、防止システムを設けていた、被害拡大防止措置をどこまで図っていたかなど、企業側が具体的な損害の理由や根拠を説明できるとなれば、おのずと金額は抑えられる傾向になるのではないでしょうか。

投稿日:2021/04/26 14:30 ID:QA-0103084

相談者より

ご回答ありがとうございました。
身元保証制度そのものを見直してみることに致します。

投稿日:2021/04/26 16:01 ID:QA-0103091大変参考になった

回答が参考になった 1

人事会員からの回答

オフィスみらいさん
大阪府/その他業種

法律で上限額が決まっておらず、企業が自由に設定できるからといっても、決して無制限ではありません。

身元保証書は、従業員が使用者に損害を与えた場合に、第三者である身元保証人がその損害を賠償することを主な内容とするものですが、その前段として、従業員が業務上会社に損害を与えた場合に、従業員に対して損害賠償の請求ができるか、という問題がまずあります。

一般的には、従業員が労働契約に基づく義務やその付随義務に違反して使用者に損害を与えた場合、債務不履行に基づく損害賠償責任を負わなければならないし(民法415条、416条)、労働者の行為が不法行為の要件を充たせば、民法709条による損害賠償責任を負い、第三者に損害を及ぼしたときは、使用者責任(民法715条1項)を前提とする使用者による求償権行使(同条3項)も認められてはいます。

こういう場合、使用者が労働者に対して金銭賠償を求めるケースでは、資力に乏しい労働者にとって過酷な結果をもたらすため、裁判所は一般に使用者から労働者に対する損害賠償請求やその金額について、一定の制限を設けており、結論として損害額の4分の1の限度で請求を容認しており(茨城石炭商事事件 最高裁一小 昭51.7.8判決)、さらに、業務上のミスや備品を壊したことに対する損害賠償の可否についても、「損害の公平な分担」という観点から検討されることになります。

従業員側にミスが認められたとしても、それにより発生した損害は本来使用者が甘受すべきものであり、従業員に対して請求することは原則として許されませんが、従業員のミスが無視できない程度に大きいような場合であっても、その過失の程度に応じて従業員側の負担割合が検討されることになり、裁判例では従業員の負担すべき損害の割合は25%ということになります。

結局のところ、従業員に対しては25%が上限である以上、保証人に対してもそれに準ずるべきであり、直接金額を設定するのは不可能と思われますから、「実損額の25%を上限として賠償の責任を負う」といった表現にするしかないでしょう。

ただし、25%を超えるとなっても、保証人が同意すれば問題はありません。

投稿日:2021/04/26 15:45 ID:QA-0103089

相談者より

ご回答ありがとうございました。
ご意見を参考に賠償額の上限額設定をどうするか、再度、社内で検討してみることと致します。

投稿日:2021/04/26 16:04 ID:QA-0103092大変参考になった

回答が参考になった 0

回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。



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