有期雇用契約での試用期間設定はできますか
期間契約社員制度を考えています。
①一年契約の場合で3ヶ月の試用期間設定は、問題ありませんでしょうか・・
3ヶ月以内であれば15日を超えた場合、一ヶ月前予告で雇用を終了できますでしょうか
②やや非常識な感じはありますが、同じ契約期間で試用期間半年というのは、何か法に触れるのでしょうか
③試用期間内に契約終了する場合、その事由については制約はあるのでしょうか
このような制度を作ると言うよりも、法律ではどこまで許されるかを知った上で、制度を作りたいと思います。
よろしくお願いします。
投稿日:2011/08/19 16:31 ID:QA-0045471
- アリさんさん
- 東京都/商社(専門)(企業規模 101~300人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- この回答者の情報は非公開になりました
有期雇用における試用期間
関連する法令としては、労働契約法第17条があります。正当な理由がない限り、期間の定めのある雇用を解除できない、とあります。これは比較的新しい法律です。厳密に考えば、試用期間を理由とする雇い止めは有期雇用と併存しにくいですが、まだ判例が十分、示されたわけではありません。有期雇用の場合でも、試用期間が設定されることは実際にあります。しかし、1年契約で半年という試用期間の設定は恣意的で、試用期間とみなしてよいか、疑問を感じます。とはいえ、判例はありません。常識的に判断して、1年契約の有期雇用では3ケ月程度の期間が納得を得やすいでしょう。あえて6ケ月とするならば、合理的な根拠が求められるでしょう。
投稿日:2011/08/19 17:33 ID:QA-0045473
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
御質問内容に各々回答させて頂きますと‥ ①:有期雇用契約であっても試用期間設定は可能です。但し、法的制限はなくとも、更新を行わず正味1年のみの契約とする場合ですと、3ヶ月の試用期間は長過ぎる感が否めませんのでせいぜい1ヶ月程度までとすべきでしょう。また15日を超えた場合の解雇につきましてですが、30日前の予告は必要条件ではありますがそれだけで解雇が有効となるとは限りません。解雇の正当性につきまして明確な法的基準までは無い為、トラブルになった際は個別の具体的状況を踏まえての判断がなされることになります。それ故、試用期間中であっても就業規則上の解雇事由に該当しないような安易な解雇は避けるべきといえます。 ②:直接法令上では禁止されていませんが、このような社会通念に反するような長期の試用期間は無効とされる可能性が極めて高いものといえます。それ故、労務リスク回避の上でも当然避けるべきです。 ③:これも直接の法的定めはございませんが、解雇する為には相応の理由が無ければいけません。 以上触れてきましたように解雇問題につきましては明確な基準がございませんので、対応としましては、試用期間中であってもまず解雇を検討される前に問題行為については必ず注意指導を行い様子を見られる等、雇用継続に向けての努力も示すことが重要といえます。
投稿日:2011/08/19 23:16 ID:QA-0045478
相談者より
ありがとうございます。
試用期間を過ぎれば、よほどのことが無ければ解雇できないものと思います。
試用期間を2ヶ月に設定した場合、1ヶ月経過時点で「協調性に欠ける。」といった事由で30日前予告をすれば解雇できるのでしょうか
再度の質問ですが、よろしくお願いします。
投稿日:2011/08/22 10:19 ID:QA-0045493大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
試用期間のポイント
①.試用期間の長短については、法的規制はありませんが、一般的には、3カ月とか、6カ月で、最長でも1年が限度とされています。但し、1年契約の場合、3カ月間が、妥当な限度でしょう。試用期間の者に就いては、解雇予告の定めは適用外ですが、14日を超えて引き続き使用されるに至つた場合には、適用されます ( 労基法21条 )。
②.①.で説明しましたように、法的制約はありませんが、契約期間の半分にも達する契約期間は、かなり、妥当性を欠くものと思います。格別の事由がなければ、係争になっても通用しないでしょう。
③.解雇予告された労働者が、解雇理由を記した証明書を請求すれば、使用者は遅滞無く交付しなければなりません ( 同22条2項 )。
投稿日:2011/08/20 11:14 ID:QA-0045480
相談者より
ありがとうございました。
期間契約での試用期間とその経過後で解雇できる事由に違いはあるのでしょうか
14日経過後、会社が定めた試用期間に解雇しようとした場合、試用期間経過後と同じように普通解雇の法理(?)が適用されるのでしょうか
再度の質問で恐縮ですが、よろしくお願いします。
投稿日:2011/08/22 10:24 ID:QA-0045494大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
こちらこそご返事頂き感謝しております。
先の回答でも申し上げました通り、解雇問題については明確な基準がなく個別の具体的な事情を元に判断がなされることになります。
従いまして、やはり確答は出来かねますが、単に協調性に欠けるだけでいきなりの解雇予告をされるのは避けるべきです。このような場合ですと、具体的に問題点を示した上で注意指導を行い、それでも反省が見られず他の従業員にも迷惑をかけ続けるようであれば試用期間中の解雇予告を行い解雇をすることで対応出来る可能性が高いものといえるでしょう。
投稿日:2011/08/22 11:13 ID:QA-0045495
相談者より
そうしますと、現実問題としては、想定する試用期間を限度とする期間契約を一旦結び、そこで適性を見て再契約を結ぶと言う方向になります。
このやり方の方が、試用期間での契約を終了しやすいと言うことと理解しました。
ありがとうございました。
投稿日:2011/08/22 14:51 ID:QA-0045511大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
除外に例外があるという関係
はい、その通りです。解雇予告義務は、試用期間中の者に対しては必要がありませんが、それは、14日経過するまでの期間に限られています。つまり、除外があって、その除外に例外があるという、法律によく見られる表現になっているので理解し難いところです。
投稿日:2011/08/22 14:19 ID:QA-0045510
相談者より
再度のご回答、ありがとうございました。
14日を越えて試用期間を設けることは、実質的には余り意味が無いと言うことですね
会社としては、多少手間は掛かりますが初めに2ヶ月程度の試用期間契約を締結することにします。
判りやすいご説明、感謝いたします。
投稿日:2011/08/22 14:56 ID:QA-0045512大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
今後の規制法理の発展により、試用期間をより慎重に設定頂くことが労務リスク回避に繋がります。
ご質問拝見し、回答いたします。
試用の法的性質は、判例上では「解約権留保付労働契約説」と位置付けております。
これは、試用期間も当初から期間の定めのない労働契約であり、ただ試用期間中は
使用者には労働者の不適格性を理由とする解約権が留保されているというものです。
理由としては、試用期間が一般に3か月から6か月と比較的長く、試用期間中と本採用後の労働の種類・態様はほとんど同じで労働条件も特に違う点がないからです。
しかし、こうした試用法理は、長期雇用を前提とする正社員の採用と地位取得を想定したものであり、これを正社員とは区別された有期雇用契約者の労働関係に及ぼす場合には、十分な修正がなければ実態との食い違いが生じてしまう一方、こうした有期雇用契約者に対する労働契約につき、格別な制限がないというのが現状であります。
以上を踏まえて、お問い合わせの件を検討致しますと、一年契約の場合で3ヶ月の試用期間設定については、合理的な範囲内の期間設定と考えられなくはないですが、これが半年となれば、やや行き過ぎる感がございます。一方、今後有期雇用契約者への規制法理が発展しつつある状況を鑑みると、試用期間設定は1ヶ月程度が労務リスク上安全といえるでしょう。
また、試用期間内に契約終了する場合として、雇用開始から14日以内であれば、即時解雇が可能ですが(労基法第21条第4項)、15日以上の場合は30日前の予告または30日以上の予告手当の支払いが必要となります。
有期雇用契約者への試用期間設定は今後の規制法理の発展を鑑みると、慎重に設定することが今後の労務リスク回避に繋がることでしょう。
投稿日:2011/08/24 23:23 ID:QA-0045599
相談者より
考え方として良く理解できます。
本来そうであるべきだと思います。
ありがとうございました。
投稿日:2011/08/26 16:35 ID:QA-0045669大変参考になった
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