社員の病状が職務遂行に支障をきたした場合の処遇について
先日、社員に軽度の脳梗塞が発覚しましたが現在退院してリハビリをしています。医師によると、半年リハビリして元に戻るかどうか、手足の軽い麻痺が残るかどうかは判定されるとのことです。出社はおそらく数週間後には出来ると思います。
会社がすべきことはまず、現在の職務に問題なく戻れるかどうか、産業医や主治医を交え話し、無理であれば時短など労働条件を変更したり、社内で他の仕事を探すことだと思いますが、もし残った障害の度合いを許容できる仕事が社内にないという場合、
①障害のために現在の職務遂行に支障がある、として解雇や退職勧奨は可能か。退職勧奨の場合、退職金に上乗せは必要あるか。
②就業条件の変更(たとえば時短など)により稼動が可能となる場合、給与の減額等は本人の合意がなければできないか
③将来会社の業績悪化でリストラなどが必要であり、その社員がその候補に挙がった際には障害がある、という理由で他の社員よりも特別に配慮・優遇しなければならないことはあるか
法的に問題がないかどうか、ご教示いただきたく、どうぞよろしくお願いいたします。
投稿日:2010/06/01 18:58 ID:QA-0020822
- *****さん
- 東京都/化学(企業規模 301~500人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、私傷病であることを前提として各々回答させて頂きますと‥
①:解雇する場合には原則として御社就業規則上での根拠が必要になります。つまり、解雇事由が明示されておりそのいずれかの事由に該当していることが求められます。
但し、該当する事由があっても、実際に解雇といった最も重い措置が必要であるか否かは検討しなければなりません。他に配置転換可能な部署や職種があればそうした面も考慮し出来る限り解雇を避ける努力をされる事も重要です。
一方、解雇が相当と考えられない場合の退職勧奨については当人の自由意思で決めてもらわねばなりませんので、繰り返し促す等強要と思われる行為を採らないよう注意が必要です。その場合の退職金上積み等については、会社側に義務付けられたものではなく労働者の同意を得やすくする為の手段に過ぎないものです。あくまで勧奨を行おうとされる時点で状況に応じ判断されるべき問題といえます。
②:就業時間の短縮が会社都合ではなく本人の健康上雇用を維持する上でやむを得ないものであれば不利益変更に当たりませんし、時短分の給与減額をされてもノーワーク・ノーペイの原則により差し支えございません。
③:業績悪化による解雇と身体上労務提供が困難になる理由での解雇とは全く別問題です。従いまして、そうした際には障害の有無に関わらず他の従業員と公平に扱う事、つまり有利にも不利にも扱わないことが必要です。
投稿日:2010/06/01 19:55 ID:QA-0020825
相談者より
有難うございます。大変参考になりました!
投稿日:2010/06/03 16:14 ID:QA-0040297大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- この回答者の情報は非公開になりました
産業医の面談の限界
時間外勤務が多い場合や、従業員が疾病を持った場合など、会社の立場で専門医が診断することがあります。産業医と呼ばれていますが、産業医自身も専門分野は限られたものであり、適切な診察が可能かは問題が残ります。そこで、産業医の診断よりも、主治医の診断書が優位に立つとされています。
職場復帰が可能かどうかの判断は主治医の診断を踏まえ、会社が最終的に行なうことになります。
なお、退職勧奨か解雇ができるかですが、就業規則に定めがあれば、可能です。
精神疾患などと異なり、脳梗塞による後遺症で以前のような仕事ぶりを発揮しない恐れがあるからです。ただ、その判断は医師とも相談して行なうべきであり、それなしに解雇すると問題です。
また、雇用維持の観点から、労働条件を変更し、減給、降格、降職、配転は会社側の裁量の範囲と考えます。
ただ、長年勤務され、本人の悪意や過失で疾病に陥ったわけではありませんから、あまりにも杓子定規な対応は他の従業員にも不信感を抱かせる恐れがありますので、お気をつけください。
ある会社の事例ですが、体調不良の連絡を行なったところ、面識のない管理部門の担当者が、就業規則の定めにより、役務を提供ができない恐れがありますね、その場合、現在の仕事は遂行できないのではないか、と即答してしまいました。
これでは、健康状態すら、会社に知らせられませんし、職務遂行が危うい状態で、勤務を継続することになりかねないです。また、人間性を疑う対応で、労使関係がこじれてしまいそうです。
会社はこのような状況でこそ、適切な判断と対応をし、温情と配慮、英断を発揮すべきでしょう。
投稿日:2010/06/01 22:37 ID:QA-0020826
プロフェッショナルからの回答
復職後の社員の取り扱いについて
①と②について
まず、復職するにあたり、①の職務遂行に支障が出る・一定の水準を下回る場合(この基準を明確にしておくことをお勧めします)解雇といった措置もあるということ、そして、②の就業時間の短縮を行う場合には給与が減額されることについて事前の話し合いの場を設定することが必要です。後々のトラブルを起こさないためにも、相手方の感情にも配慮し、話し合いと誠意を見せた方がよいかと思います。
①について
退職勧奨の際は見舞い金という意味でも、退職金に上乗せするのは恩情的な措置の一つだと思われます。
ただしこの措置は強制ではありませんし、今後適用される前例となってしまうことも考慮に入れつつ、ご判断ください。
②について
時短による減額については前の回答者の通りです。また、復職後のパフォーマンスによって合意の下に部署移動・役職の喪失をした際の減額については、病気が理由ではなくその立場に応じてという意味なので、特に差支えありません。
③について
職務の遂行に関して難しい部分があるのならば、障害があることが直接の理由ではなく、全体的に経営状態が厳しいこと、そしてこれから社員にとっても厳しい状況になる(例えば仕事量が倍になる)ことを共有し、双方納得するまで話し合うことが大事だと思います。
また、雇用対策の一環で企業に対して、雇用する労働者の1.8%に相当する障害者を雇用することが義務付けられており(障害者雇用率制度)、雇用した場合には調整金が国から支払われるという制度もあります(障害者雇用納付金制度)。もしその方がここで言う障害者に該当するのであれば、そのまま雇用することも双方に有利に働くのではないでしょうか。
投稿日:2010/06/02 22:50 ID:QA-0020843
相談者より
投稿日:2010/06/02 22:50 ID:QA-0040308大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。