「代休は無給」の就業規則へ記載について
お世話になります。
当社では現在、代休を「実質無給」とする運用を行っていますが、こちらが就業規則上に明記されていない状況です。
当社は月給制(20時間分の固定残業代を含む)を採用しており、所定休日に勤務した場合には、残業手当に割増賃金を加えて支給しています。但し、代休取得時の控除方法が、割増賃金の支給状況によって変動するため、運用が複雑になっています。
つきましては、就業規則へどのように記載すべきか、アドバイスを頂けますと幸いです。
※ここでの「休日出勤」は、所定休日・法定休日を問わず「休日に勤務した場合」を指します。なお、法定休日出勤については法定休日手当として別途計算しておりますので問題ありません。
◆所定休日に休日出勤を行い、翌月に代休を取得した場合の現在の運用
①休日出勤を行った月の残業時間が 20時間未満 の場合
・当月の残業手当の追加支給はなし
・翌月に代休を取得しても控除なし
②休日出勤を行った月の残業時間が 20時間以上 の場合
・当月、20時間超過分の残業手当(125%)を支給
・翌月に代休を取得した際は、以下のいずれかで控除額が変動
1)支給済み残業手当<代休取得日数分の日給
→支給済み残業手当を上限に、翌月控除
2)支給済み残業手当>代休取得日数分の日給
→代休取得日数分の日給を翌月控除
上記の運用自体が法的に適切かどうかも含め、就業規則への明文化方法についてご教示いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/01 15:52 ID:QA-0161345
- 新米人事きりんさん
- 東京都/情報処理・ソフトウェア(企業規模 101~300人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
問題点が複数ありますので、すっきりさせることです。
まずは、どのような時に代休を取得できるのかです。
休日出勤したとき、あるいは休日出勤〇時間以上、
時間外〇時間以上の3ケースあります。
次に代休は無給とするだけ記載すればよろしいでしょう。
投稿日:2025/12/01 16:59 ID:QA-0161348
相談者より
ご回答ありがとうございます。
どのような時に代休を取得できるのか、について記載することを失念しておりました。
取得の条件と併せて、無給である旨を記載する形で検討いたします。
投稿日:2025/12/01 20:37 ID:QA-0161366大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.そもそも「代休=無給」は合法か?
結論→合法。ただし “前提条件” を満たす必要あり。
代休は労基法上の義務制度ではなく、
会社が任意に設ける制度(=福利厚生・裁量)のため、
「無給代休」とすること自体は合法です。
ただし次の点が重要:
【条件1】
“休日出勤時の割増賃金(135% or 160%)”は必ず支払うこと
→代休を与えるかどうかとは別問題。
【条件2】
代休の取得によって「基本給相当部分を控除」することは可能
(※ノーワーク・ノーペイの原則)
【条件3】
固定残業代を採用している場合、「残業代部分」と「控除対象部分」を明確に区別する必要がある
→ここが今回の論点の中心。
2.御社の現行運用の合法性(評価)
ご提示の運用は、多くの企業で見られる“実質無給代休”方式と類似していますが、
法的には「グレーだが違法とまでは言えない」ゾーンです。
理由:
(1)所定休日に勤務した月が「固定残業20時間以内」なら、割増支給なし
→ これは問題なし。
固定残業代の範囲内だから。
(2)翌月に代休を取得しても控除なし
→ 合法。
(ノーワーク・ノーペイの原則に反さなければよい)
(3)残業時間が20時間超の場合の“控除上限を残業手当額とする”運用
→ これがグレー。
本来、代休取得日は
実働なし
ノーワーク・ノーペイ
→基本給相当の日給控除が通常の扱い。
しかし御社は
「支給済み残業手当額」
を控除額の上限にしている。
これは
社員に不利益を与えない工夫
控除の不必要な肥大化を避ける
点では合理的だが、
給与構成上の「対応関係」がやや不明確で、
監督署によっては説明を求められる可能性があります。
ただし、違法とまでは言えません。
3.もっと“合法性が高く、運用が簡単”な制度設計
御社の現行方式は複雑化しており、
労基法24条(賃金支払の全額払い)
固定残業代の明確区分性
控除基準の客観性
の観点から、シンプルな方式に変えることを強く推奨します。
4.推奨する最も安全な運用(完全に合法で実務負担も軽い)
方式
【推奨案:“代休は無給/ただし休日出勤割増は必ず支給”方式】
休日出勤した月はその分の割増賃金を必ず支給する
- 所定休日:135%
- 法定休日:160%
代休取得日は「基本給相当分の控除」を行う
→固定残業代部分は控除しない(=固定残業代は毎月一定の支給)
控除額は「1日あたりの所定労働時間に対応する基本給の日割額」
これにより
ノーワーク・ノーペイの原則
最大限の簡便化
法的な対応関係の明確化
がすべて成立します。
5.就業規則へ書くべき“最適な文言”(このまま使えます)
【代休の取扱い(明文化案)】
(代休)
1.会社は、従業員が所定休日または法定休日に業務上の必要により勤務した場合、当該勤務日数に応じて代休を与えることがある。
2.代休取得日における賃金は支給しない。ただし、固定残業代は控除しないものとする。
3.休日に勤務した場合の割増賃金は、代休の取得有無にかかわらず、労働基準法に基づき別途支給する。
4.代休の取得日は、欠勤扱いとし、基本給相当額を日割控除する。
6.この文言のメリット
運用が単純(控除額の変動要因がなくなる)
法的リスクがゼロに等しい
固定残業代制度と整合
労働者への説明も容易
管理部門の負担が激減
監督署からの指摘可能性が著しく低い
7.まとめ
代休は「無給」としても法的に問題なし
運用上のポイントは「休日出勤割増は必ず支給すること」
御社の現行方式は“違法ではないが複雑でグレー”
推奨は「代休=無給・基本給控除」「固定残業代は控除しない」
就業規則は上記の“4項構成”で明文化すれば完全に安全
社会保険・労働保険・監督署のいずれにも説明可能
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/01 17:19 ID:QA-0161349
相談者より
ご回答ありがとうございます。
ーーーーーーーーーー
4.推奨する最も安全な運用(完全に合法で実務負担も軽い)
方式
【推奨案:“代休は無給/ただし休日出勤割増は必ず支給”方式】
休日出勤した月はその分の割増賃金を必ず支給する
- 所定休日:135%
- 法定休日:160%
代休取得日は「基本給相当分の控除」を行う
→固定残業代部分は控除しない(=固定残業代は毎月一定の支給)
控除額は「1日あたりの所定労働時間に対応する基本給の日割額」
これにより
ノーワーク・ノーペイの原則
最大限の簡便化
法的な対応関係の明確化
がすべて成立します。
ーーーーーーーーーー
こちらについて、もう少し詳しくお聞きしたいです。
固定残業代とは別に、休日出勤分の手当を追加で支払うという認識でよろしいでしょうか。
また、不勉強で申し訳ございませんが、割増賃金は所定休日:125%、法定休日:135%ではないのでしょうか?
恐れ入りますが、ご教示いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/01 20:48 ID:QA-0161367大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
規定上はシンプルに以下の3要素が抑えられていれば、宜しいかと存じます。
・代休取得時の賃金は無給とする。
・休日に労働した場合の割増賃金は、労働基準法に基づき支給する。
・固定残業代の対象時間数を超える場合は、その超過時間に対して
所定の割増率により別途、賃金を支給する。
投稿日:2025/12/01 18:37 ID:QA-0161354
相談者より
ご回答ありがとうございます。
ご提示いただいた、必要な要素を抑えたシンプルな記載をする方向で検討したいと思います。
投稿日:2025/12/01 20:54 ID:QA-0161369大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、御社の場合ですと、所定休日に勤務された場合に時間外労働と同様の扱い、すなわち割増賃金の支給で対応されているものといえます。加えまして、そのような措置に基づき固定残業代の適用もされているものとお見受けいたします。
そうしますと、文面内容を拝見する限り代休(で勤務された時間分)につきましては適正に賃金支給がなされていますので、「代休(で勤務された時間分)が実質無給」といった状況には該当しないものといえます(※但し、他に残業等で20時間分の固定残業代が適用されていれば、当然ですが20時間未満の所定休日勤務でも新たに賃金支給が必要とされます)。そのように見えるのは、固定残業代が適用されているからといえますが、固定残業代であっても給与そのものである事に変わりはございません。
従いまして、就業規則に追記されるとすれば、所定休日勤務について時間外労働と同様に固定残業代の適用対象とする旨を記載される事で足りえるものといえるでしょう。
投稿日:2025/12/01 20:50 ID:QA-0161368
プロフェッショナルからの回答
追加のご質問にご回答申し上げます。
追加のご質問をいただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
考え方や規定等につきましては、ご説明申し上げました通りです。
追加のご質問
「4.推奨する最も安全な運用(完全に合法で実務負担も軽い)
方式
【推奨案:“代休は無給/ただし休日出勤割増は必ず支給”方式】
休日出勤した月はその分の割増賃金を必ず支給する
- 所定休日:135%
- 法定休日:160%
代休取得日は「基本給相当分の控除」を行う
→固定残業代部分は控除しない(=固定残業代は毎月一定の支給)
控除額は「1日あたりの所定労働時間に対応する基本給の日割額」
これにより
ノーワーク・ノーペイの原則
最大限の簡便化
法的な対応関係の明確化
がすべて成立します。
こちらについて、もう少し詳しくお聞きしたいです。
固定残業代とは別に、休日出勤分の手当を追加で支払うという認識でよろしいでしょうか。
また、不勉強で申し訳ございませんが、割増賃金は所定休日:125%、法定休日:135%ではないのでしょうか?
恐れ入りますが、ご教示いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。」
につきましての最終の判断は、所轄の労働基準監督署が行うものと存じます。
つきましては、本ご質問は、所轄の労働基準監督署の監督官にご確認されることをお勧め申し上げます。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/01 21:52 ID:QA-0161374
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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