燃料手当、寒冷地手当の設定内容と改定状況――支給状況、改定頻度、手当額の決定方法など
原油価格高騰に伴い灯油、ガソリンなど石油製品価格が値上がりを続けていることを受けて、労務行政研究所では、2007年12月に「灯油、ガソリン高騰下における燃料手当、マイカー通勤手当の対応アンケート」としてウェブによる調査を実施しました。本記事では、同アンケートで調べた燃料手当、寒冷地手当に関する設定内容を中心に取り上げています。
※『労政時報』は1930年に創刊。70余年の歴史を重ねた人事・労務全般を網羅した専門情報誌です。ここでは、同誌記事の一部抜粋を掲載しています。
手当を「必要に応じて改定する」53%、「毎年見直す」37%
燃料手当、寒冷地手当を支給している企業は123社中38社と全体の30.9%となっています。
燃料手当、寒冷地手当を「必要に応じて改定する」は52.6%(20社)と過半数を占め、「毎年見直す」企業は36.8%(14社)、「その他」10.5%(4社)となっています。
毎年見直す企業の直近改定時期は、「9月」2社、「10月」8社、「11月」1社、「12月」1社、「その他」2社と、冬支度に備えて10月が最も多くなっています。
なお、「必要に応じて改定する」とした企業の改定時期はさまざまで、今回の灯油価格の値上がりに伴い2007年12月に改定した企業がある一方で、2001年4月や2003年4月など数年前に改定して以来見直しをしていない企業も多く、中には10年以上も改定を行っていない企業もありました。
手当額の決定に灯油価格を用いるのは45%、定額は37%
「灯油の基準使用量を決めて基準灯油価格を乗じて決める」企業が44.7%(17社)と多いものの、「灯油の基準使用量に基づき定額で決める」企業も36.8%(14社)あります。「その他」18.4%(7社)は、基準使用量を定めずに家族構成や有扶・無扶別に定額で決定するケースなどです。
灯油価格の値上がりへの対処状況をみると、燃料手当、寒冷地手当を支給している38社中、「対処した」と回答したのは13.2%(5社)にとどまり、「対処していない」が71.1%(27社)と大勢を占め、「検討中」は15.8%(6社)でした。
この対処状況を手当額の決定方法別にみると、「対処した」5社とも、「灯油の基準使用量を決めて基準灯油価格を乗じて決める」企業でした。「灯油の基準使用量に基づき定額で決める」企業で「対処した」ケースはありませんでした。このことから、灯油価格の値上がりによって水準の見直しを迫られるのは、市場の灯油価格を基に手当のベースとなる基準灯油価格を設定している企業といえます。
手当額の決定方法を改定頻度とクロス集計すると、「毎年見直す」14社中13社に当たる92.9%が「灯油の基準使用量を決めて基準灯油価格を乗じて決める」としています。基準灯油価格を手当額決定のベースにしているために、結果として毎年見直す必要が生じるというわけです。
また、支給形態をみると、現金支給が97.4%(37社)と圧倒的に多く、現物支給は2.6%(1社)のみとなっています。
区分 | 改定頻度 | ||||
---|---|---|---|---|---|
合計 | 毎年見直す | 必要に応じて改定する | その他 | ||
手当額の決定方法 | 合計 | (38) 100.0 |
(14) 100.0 |
(20) 100.0 |
(4) 100.0 |
灯油の基準使用量に基づき定額で決定 | (14) 36.8 |
7.1 | 60.0 | 25.0 | |
灯油の基準使用量を決めて基準灯油価格を乗じて決定 | (17) 44.7 |
92.9 | 15.0 | 25.0 | |
その他 | (7) 18.4 |
- | 25.0 | 50.0 |
一括支給する企業は10月に支給するケースが多い
支給時期については、毎月支給が50.0%(19社)と半数を占めますが、「一括支給」も31.6%(12社)に上ります。また、3ヵ月に1度など「分割支給」は13.2%(5社)、「その他」5.3%(2社)となっています。
「一括支給」の場合の支給月は、「9月」2社、「10月」6社、「11月」1社、「12月」2社、「その他」1社で、改定時期と同じく10月が多くなっています。
ちなみに、改定頻度について「毎年見直す」と回答した企業(14社)のうち、「一括支給」するのは6社。その改定時期と支給時期の組み合わせをみると、「10月改定・12月支給」1社、「9月改定・10月支給」1社で、残り4社は改定した月に支給しています。
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