4週6休の場合の変形労働時間制の導入について
1日7時間労働・4週6休
週40時間労働を超過している分は割増賃金として支給しています。
1休の週では労働時間が42時間になってしまうため、
①変形労働時間制の導入
②4週8休とし、そのうち2日は休日出勤として割増賃金を支給
いずれかに変更しなければ労基法に抵触すると指摘を受けました。
もし変えるとするならば②なのですが
これは言い方の問題で、現行の雇用契約との違いはそこまで無いようにも感じます。
この指摘は正しく、雇用契約を見直す必要があるのでしょうか?
投稿日:2025/10/21 19:50 ID:QA-0159746
- S・Yさん
- 東京都/HRビジネス(企業規模 11~30人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1. 現行の状況(問題点の確認)
1日7時間 × 週6日勤務 = 42時間/週
4週で24日勤務 × 7時間 = 168時間/4週
法定労働時間 = 40時間 × 4週 = 160時間/4週
→ 毎月・毎週の平均で 法定労働時間(週40時間)を超過 しています。
したがって、「週40時間を超える部分(=2時間/週)」は、たとえ恒常的でも時間外労働に該当し、36協定の範囲内で割増賃金(25%以上)を支払う必要があります。
2. 指摘内容は正しいか?
結論から言うと、指摘は正しいです。
つまり、次のいずれかの対応が必要になります。
対応案→内容→法的適合性
(1)変形労働時間制の導入→1か月単位(または1年単位)の変形労働時間制を採用し、繁忙週は42時間・閑散週は38時間などとして平均週40時間以内に収まるよう設計→適法(労使協定・就業規則変更が必要)
(2) 4週8休制に変更→週40時間以内に収まるよう週休2日相当とする。休日出勤があれば割増で支給→適法(単純・明快)
(3)現行のまま「4週6休・週42時間」→恒常的な時間外労働状態→違法状態(労基法第32条違反)
3. ご懸念の「(2)は言い方の問題では?」について
たしかに、「4週6休+週2時間の残業」と「4週8休+2日休日出勤(割増支給)」は実質的な勤務実態がほぼ同じになるケースも多いです。
しかし、法的には次の違いが明確に存在します。
項目→4週6休→4週8休(2日休日出勤)
週40時間以内→超過(42時間)→原則内(休日労働は別途処理)
割増発生の根拠→時間外労働(第37条1項)→休日労働(第35条+第37条3項)
36協定必要性→必須(時間外のため)→必須(休日労働のため)
就業規則上の整理→「1週の所定労働日6日」→見直し必要→「1週の所定労働日5日」「休日出勤あり」へ変更
つまり、「言い方」だけで済むものではなく、労働時間制度の前提そのものが異なるのです。
行政指導では「恒常的に週42時間労働を設定している場合」は、違法な所定労働時間設定として是正勧告の対象になり得ます。
4. 実務上の対応方針
選択肢(1) 1か月単位の変形労働時間制
【手続】労使協定締結+就業規則記載
【ポイント】1か月単位で「平均週40時間以内」に設定
例)
1週42時間(6日)勤務×2週
1週38時間(5日)勤務×2週
→ 4週で160時間(平均週40時間)に収まる
→ 現行の勤務体系を大きく変えずに合法化できるため、最も現実的な方法です。
選択肢(2) 4週8休制+休日出勤扱い
【手続】就業規則改定+36協定(休日労働)届出
【ポイント】週5日勤務を原則にして、月2日分を休日出勤として割増支給
→ 見た目は単純ですが、「休日出勤」が恒常化すると「制度として4週6休」と同義になり、形式上は適法でも運用上はグレーです。
5. 推奨対応(まとめ)
判断項目→推奨
法令適合性→変形労働時間制導入が最も確実
実務の手間→就業規則+労使協定改定で済む
今後のリスク回避→行政調査時にも説明しやすい
休日出勤の恒常化→回避できる
6. 参考条文
労働基準法第32条(法定労働時間)
同法第35条(休日)
同法第37条(割増賃金)
同法第32条の2(変形労働時間制)
7.結論
ご指摘は正しく、現行の「4週6休・週42時間」は労基法32条違反の状態です。
対応としては、(1)1か月単位の変形労働時間制を導入するか、あるいは(2)4週8休とし、休日出勤扱いとするいずれかが必要。
実務上は(1)の方が運用も安定し、法的にも明確に適法です。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/10/22 09:06 ID:QA-0159758
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、ご指摘の通り2の場合は事実上現行契約と変わりなく、雇用契約の実態を正しく反映していないものといえるでしょう。
すなわち、休日労働割増賃金を支給されるとしましても、当該休日労働が常態化してほぼ休日となる事はないようでしたら、そうした契約は避けるべきですし、やはり変形労働時間制の導入または現行の勤務時間の在り方そのものを見直しされるのが妥当といえるでしょう。
投稿日:2025/10/22 19:27 ID:QA-0159799
プロフェッショナルからの回答
労働基準法第十三条
【ご相談】
これは言い方の問題で、現行の雇用契約との違いはそこまで無いようにも感じます。この指摘は正しく、雇用契約を見直す必要があるのでしょうか?
【回答】
(1)労働基準法第32条(労働時間)に関連して、「法定労働時間を超える労働時間を定めた労働契約は、それ自体としては本条の処罰の対象とはならないが、その部分は、第十三条の規定により無効である。」とされています。(「令和3年版 労働基準法 上 厚生労働省労働基準局編」)
(労働時間)
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
(この法律違反の契約)
第十三条 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。
(2)本件の場合、現行の雇用契約(1日7時間労働・4週6休)は、法定労働時間(週40時間)を超える労働時間を定めており、その部分は無効になると考えられます。
一方、「4週8休」とする雇用契約は、法定労働時間を超えておらず、無効とはならないと考えられます。
投稿日:2025/10/22 23:44 ID:QA-0159806
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