無期雇用のアルバイトスタッフの退職について
いつも大変お世話になっております。
新たに正社員が入社することになったため、これまで無期雇用で雇用していたアルバイトのスタッフにご退職いただきたいと考えています。
これまで長らく働いてくれたため、できるだけ穏便に済ませたいと考えています。
本人の勤務態度や性格に全く問題がなかったかと言えば、色々と思うところはあったものの、それを理由に退職させるには至らないと考えております。
このような事例の場合、整理解雇として、まずは相談の上退職をお願いするということでよろしいでしょうか。
万が一本人がそれに応じてくれない場合は、退職日の30日以上前の解雇通知でも、1か月分相当の賃金を支払うなどして退職をしてもらうという方法でよいでしょうか。
金銭の支払いでも解決しない場合(納得してもらえない場合)は、雇用の継続をする他ないでしょうか。
ご意見いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/05/28 15:48 ID:QA-0153120
- 困った人事さん
- 東京都/医療・福祉関連(企業規模 11~30人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
アルバイトスタッフの方にご退職いただきたいというご相談について、法的リスクを最小限に抑えつつ、穏便に進める方法を以下のとおりご案内いたします。
結論(要点)
このケースでは「整理解雇(経営上の必要に基づく解雇)」に該当する可能性があります。
ただし、整理解雇は法的に非常に慎重な対応が求められ、リスクも高いため、可能な限りまずは本人との話し合いによる「合意退職」を目指すべきです。
万が一、本人が合意しない場合、解雇予告(30日以上前通知または30日分の手当)による「普通解雇」も理論上可能ですが、最終的に雇用継続を余儀なくされる可能性もあります。
前提整理
項目→内容
対象者→無期雇用のアルバイト(=正社員ではないが期間の定めのない雇用契約)
雇用上の問題→特段の非違行為はなし(業務上の問題が退職理由ではない)
目的→正社員の採用に伴う人員整理として、穏便に退職してもらいたい
1.望ましい対応方針:まずは「合意退職の打診」
本人に対し、
(1)正社員登用により組織体制が変更されること
(2)雇用契約の継続が難しい事情(業務配分、役割の縮小など)
(3)長年の勤務への感謝を示しつつ、できるだけ誠実な形での退職(例:慰労金や退職日調整など)
を丁寧に説明し、本人の同意のもとでの「合意退職」を目指すのが最善です。
対応例:
(1)書面でなく口頭ベースでまず相談
(2)希望があれば退職日までの支援(例:有休消化、就職支援など)を提示
(3)合意が取れたら、「退職合意書」を締結して明文化
2.本人が応じない場合の対応(整理解雇・普通解雇)
整理解雇の4要件(判例上の要件)
要件→内容
(1)人員整理の必要性→経営上の合理的な必要があること
(2)解雇回避努力義務→配転・希望退職募集など他の手段を尽くしたこと
(3)人選の合理性→解雇対象者の選定が合理的で、公平であること
(4)手続の妥当性→本人に十分な説明と協議の機会を与えたこと
これらを満たさないまま解雇に踏み切ると「不当解雇」とされ、無効となるリスクがあります。
3.解雇予告で退職させることは可能か?
理論上は可能(普通解雇)ですが、解雇理由が「勤務態度不良」や「重大な契約違反」などでなければ、普通解雇の正当性が問われやすいと思います。
解雇予告を行っても、解雇無効を主張されて労働審判や訴訟に発展する可能性があります。
4.金銭提示でも解決しない場合の対応は?
本人が納得しない限り、一方的に辞めさせることはできません。
解雇自体が無効とされた場合は、雇用契約が継続しているとみなされるため、原則として雇用を継続するしかありません。
5.おすすめのステップ(まとめ)
ステップ→内容
(1)本人との話し合い→「業務再編により雇用継続が困難」であることを丁寧に説明
(2) 合意退職の提案→慰労金・退職日調整など、本人にとって受け入れやすい条件を提示
(3) 合意書の締結→合意内容を「退職合意書」や「確認書」にまとめる
(4) 難航時の対応→記録を残した上で、整理解雇4要件を検討、慎重に対応
(5)可能であれば第三者同席→労務担当や顧問社労士の立ち合いにより、誤解やトラブルを防止
6.補足:穏便な合意退職のために提示できる条件例
(1)退職一時金(慰労金):例 1か月分相当
(2)有休消化の調整(必要に応じて特別休暇付与)
(3)離職票や再就職支援の迅速対応
(4)推薦書や紹介の作成協力
7.最後に
このようなケースでは、「雇止め(有期契約)」よりも「無期雇用の終了」は慎重な対応が求められます。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/05/28 17:37 ID:QA-0153141
相談者より
早速丁寧なご回答をいただきましてありがとうございました。
アルバイトのスタッフに対しては、1年更新などの有期雇用にしておくことも今後検討しないといけないなと考えさせられました。
細かな対応のフローもありがとうございました。
参考にして進めさせていただきます。
投稿日:2025/05/28 18:19 ID:QA-0153149大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
文面だけでは、アルバイトさんの雇用期間、契約内容等わかりませんが、
新たに正社員が入社することになったためだけでは、整理解雇にはなりません。
丁重に説明し、早めにお願いすることです。
解雇通知などは、労基法上の手続きですので、不当解雇などのトラブルとは別問題です。長らく働いてくれたとのことですので、これも勤怠等状況によりますが、
心ばかりの退職金なども視野に入れてください。
本人が納得しない場合には、一方的な手段として解雇ということになりますが、
解雇には、訴訟リスクが伴います。
投稿日:2025/05/28 17:44 ID:QA-0153142
相談者より
早速丁寧なご回答をいただきましてありがとうございました。
アルバイトのスタッフに対しては、1年更新などの有期雇用にしておくことも今後検討しないといけないなと考えさせられました。
これまで長らく働いてくださった方のため、トラブル等にならないように最善の注意を払いつつ進めていきたいと思います。
投稿日:2025/05/28 18:20 ID:QA-0153150大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答させていただきます。
アルバイトスタッフに退職いただきたい理由が、余剰要員の組織となった為、
人員削減を行いたいことを前提に、以下、記載させていただきます。
ご記載の通り、まずは、話し合いにおける合意を得られるかです。
スタッフが納得をされ、合意が得られた場合は、必ず、書面で、
合意記録をとってください。
上記、話し合いの中で金銭的な条件も必要に応じて出てくるかと思案します。
話し合いで解決しない場合は、以下の整理解雇の四要件を全て満たさない限りは、
雇用を継続していただく必要があります。
1)人員整理の必要性
2)解雇回避努力義務の履行
3)解雇対象者選定の合理性
4)解雇手続きの相当性
投稿日:2025/05/28 17:53 ID:QA-0153147
相談者より
早速丁寧なご回答をいただきましてありがとうございました。
アルバイトのスタッフに対しては、1年更新などの有期雇用にしておくことも今後検討しないといけないなと考えさせられました。
トラブルにならないよう、そして長らく働いてくれた方が不快な気分にならないよう最善の策を考えたいと思います。
投稿日:2025/05/28 18:22 ID:QA-0153151大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、整理解雇を有効とされる為には、以下の4つの要件が通常必要になるものとされています。
・解雇の必要性
・解雇人員の選択の合理性
・解雇回避の努力
・労使間での真摯な協議等手続きの妥当性
当事案の場合も、上記4つを全て考慮された上で解雇手続きを採られる必要がございますので、単に解雇予告手当等を余分に支払うだけですと有効な措置にはなりえません。
文面内容からしますと、特に解雇回避の努力が見受けられませんので、実施に未対応でしたら今一度別の部署や業務への配置転換等も含めまして検討されるべきですし、それがどうしても無理の場合でも一方的に退職の見返り条件を決められるのではなく、当人ともよく話し合われた上で退職の時期や一時金の支給額等で柔軟な対応をされるべきといえるでしょう。
投稿日:2025/05/28 22:04 ID:QA-0153173
相談者より
早速丁寧なご回答をいただきましてありがとうございました。
アルバイトのスタッフに対しては、1年更新などの有期雇用にしておくことも今後検討しないといけないなと考えさせられました。
これまで長らく働いてくださった方のため、トラブル等にならないように最善の注意を払いつつ進めていきたいと思います。
投稿日:2025/05/29 16:07 ID:QA-0153247大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
従業員の入れ替え
以下、回答させていただきます。
(1)整理解雇(雇用調整を目的とする解雇)の適否については、1)人員削減
の必要性があるか、2)整理解雇回避のための努力を尽くしたか、3)被解
雇者の選定基準および選定が公正であるか、4)労働組合や労働者に対して
必要な説明・協議を行ったか、について判断することとされています。
本件に関係した裁判例として以下のものがあげられます。
(2)オクト事件 大阪地裁 平成13年7月27日判決(ポイント)
1)本件は、経営状態の改善のために営業職を内勤営業に切り替えるなどの
営業の効率化等が図られていたものの、従業員3名が経営悪化を理由とし
て解雇されたもの。
2)経営が悪化している一方で、本件解雇が行われた同年度に新規採用を行
い、また本件解雇のわずか2カ月前に翌年度の新規採用者を2名内定させ
ているほか、特定の従業員に対しその功績を理由に高額な賞与を支給。
3)従業員3名を解雇して、新卒者を採用するといういわば従業員の入れ替え
を行ったものといえる。その入れ替えに当たって、それが経営上合理的で
あったと認めるに足りる的確な疎明資料はない。
4)当該3名を解雇して、人員削減措置を経営上取らざるを得ない必要性が
あったとは言い難く、また希望退職者の募集を募るなどの解雇回避の手段
もとっておらず、業務成績を基準とした人選基準も、そもそも勤務評価基
準のみならず評価結果の表示方法も明らかではなく、適正な勤務評価がさ
れていたとは認めがたい。
5)本件解雇は経営上のやむを得ない必要がありかつ合理的措置であったと
は言えず、無効。
(3)以上を踏まえれば、本件解雇についてはリスクが高いと考えられます。こ
うした認識のもと、雇用継続も有り得るものとして、合意退職に向けて誠実
に通り組んでいくことが重要であると思われます。
投稿日:2025/05/29 06:54 ID:QA-0153178
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
労働契約法第16条では「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合」でなければ解雇は無効であるとしています。
要は、解雇理由に合理性、相当性がなければならないということであって、
「解雇理由に合理性がある」とは、誰が考えてもその解雇はやむを得ないという理由があること。
「解雇理由に相当性がある」とは、解雇という思い処分をされるには、それに応じた重大な事実、理由がなければがならないということ、つまり、行為と処分にバランスがとれているかということです。
更に整理解雇とするためには、以下の4要件が満たされている必要があります。
①人員整理をしなければならないほど、経営上のやむを得ない事情があること(解雇の必要性)。
②労働者を配置転換させる、希望退職を募る、といった解雇をできるだけ回避する経営努力がなされていること(解雇回避努力)。
③解雇の対象となる労働者の選定基準が合理的で、その基準の適用が公平になされていること(人選の妥当性)。
④整理解雇しなければならない事情や経緯などを労働組合や労働者に説明し、十分に協議を尽くしているなど解雇手続きが妥当であること(解雇手続きの妥当性)。
さらにいえば、労基法第20条では、労働者を解雇する場合は、少なくとも30日以上前に予告するか、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない、としていますが、これはあくまで解雇する場合の手続き(手順)を定めたものであって、実際に解雇するとなれば、それが普通解雇であれ、懲戒解雇であれ、客観的に合理的な理由があるのか、社会通念に照らして相当なのか、が厳しく問われます。
正社員が入社するという理由で、アルバイトスタッフに退職してもらうというのは、それこそ合理的な理由とはなり得ず、社会通念に照らしても認められるものではありません。
本人と話し合いの場を持ち、一定額の金銭補償を提示をすること自体は特に問題はありませんが、退職するか否かは本人の自由ですから、本人が拒否した場合は、強要することはもちろん、解雇もできません。
投稿日:2025/05/29 08:22 ID:QA-0153180
プロフェッショナルからの回答
対応
正社員やアルバイトというのは法的な呼称ではなく、社内呼称です。つまり社員は無期か有期の2種類しかいないので、今回はいわゆる正社員の解雇と同様に臨む必要があります。
整理解雇の4条件のハードルが異常に高いため、一方的な解雇はきわめてリスキーです。まずは状況の説明と、退職パッケージ(上積み退職金や出勤免除など、できそうな条件)を考え、少しずつすり合わせる「交渉」になります。
尚、相手の瑕疵をあげつらうのは、そこに対して懲戒を課したり反省改善誓約文を提出させていなければ会社の責任になります。単に相手を煽るだけでリスクしかないと思います。
投稿日:2025/05/29 10:11 ID:QA-0153203
プロフェッショナルからの回答
ご相談内容について回答いたします
ご検討の整理解雇は、企業の経営上の必要性に基づく人員削減のための解雇であり、人員削減の必要性、解雇回避努力義務の履行、人選の合理性、解雇手続の妥当性の4要件を満たす必要があります。
今回のケースのように、単に「新たに正社員が入社するからアルバイトを辞めさせたい」という事情だけでは、人員削減の必要性が認められにくく、整理解雇としての正当性は極めて低いと考えられます。
最も穏便かつリスクの低い方法は、あくまでも話し合いによる合意退職(任意退職)を目指すことと考えます。
勤続年数、会社への貢献度を考慮しつつ、退職金を上乗せする、有給休暇の買い取りを行う、再就職支援を行うなど、経済的な配慮を含めた条件を提示し、納得の上、退職していただけるのが望ましい形となります。
なお、解雇を行う場合、30日以上前の解雇予告を行うか、解雇予告手当(1か月分の賃金)を支払うことで即時解雇が可能です。しかし、これは解雇の正当性が認められる場合に限られます。今回のケースでは、解雇に客観的に合理的な理由よ、社会通念上相当が認められにくく、解雇予告手当を行っても不当解雇と判断される可能性が高いと考えます。
アルバイトの方が合意退職に応じない場合は、雇用契約の継続を前提に再配置や業務見直し等をご検討いただくことになります。無期雇用であることから、雇止めはできず、解雇にも高いハードルがあることを考えますと、雇用継続が基本方針となります。
投稿日:2025/05/31 07:20 ID:QA-0153332
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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