法定内残業に手当を支払わないのは合法か
転職先で一人で人事総務を行っています。
前任者とは在籍がかぶらなかったので、ほとんど引継ぎがありませんでした。
時間外手当対象者の残業データを給与ベンダーに渡し、今月の給与データが戻ってきたのでチェックしたところ、定時が9:00-17:30なのに、18:00以降の残業時間のみ、つまり法定外残業時間のみを時間外手当の対象にして計算していることがわかりました。その部分については、1.25倍になっています。
しかし、17:30-18:00の間の労働が無視されている状態です。私は自分で給与計算をした経験がありませんが、その部分は1倍で支払われるものとばかり思っていました。ベンダーは「前任者がそうしていた」と言います。
「残業=所定労働時間を超えた時間数では?」と聞きましたら
「これは会社で決めればよいルール。所定が7.5時間でも、残業代は8時間以降しか発生しないという決め方もある。終わったなら早く帰っていいという意味になる」と言われました。
このベンダーの言うことは正しいでしょうか?
ちなみに、就業規則が全般的にあいまいのため、ゆくゆくは全編レビューして改訂する意向はあるものの、現在の給与規定には以下の表記があります。
**********
時間外手当の種類と割増率は以下のとおり
法定労働時間内残業 割増なし
普通残業(法定労働時間外 22時-5時を除く)割増率1.25
**********
普通残業の方が25%と書かれていたら、割増部分のみを言及しているということが明確ですが、1.25という『本体』を含む数字で表記してあるということは、「なし」=本体も含めてゼロ、つまり法定内残業に時間外手当は(1倍部分すら)支払わないという意味にも読み取れますが、いかがでしょうか?
これ以外には何も明確にはされていません。「前任者がどこかに内規を残していればOK」とも言われましたが、今のところそれは見つかっていません。
ネット上も探してみましたが、所定労働時間が法定より短い場合は、その間は割増なし=1倍の時給で換算すると書いてあるものしか見つかりません。
基本的なことで恐縮ですが、ご教示ください。
投稿日:2021/04/11 15:43 ID:QA-0102594
- 香坂さん
- 東京都/半導体・電子・電気部品(企業規模 11~30人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
ベンダーの言うことは正しくありません。
17:30~18:00の間の労働に対しては、法定内残業として1.00倍の賃金は絶対支払わなければならず、「これは会社で決めればよいルール。所定が7.5時間でも、残業代は8時間以降しか発生しないという決め方もある。終わったなら早く帰っていいという意味になる」といった論法は労基署には通用しませんし、このような決め方は法に反し無効です。
今まで支払ってこなかった部分については、労基法24条違反として、遡って支払うよう監督署の是正指導の対象となり得ます。
現給与規定に定める法定労働時間内残業に割増なしとした記載そのものは決して間違いではありませんが、そもそもの話としまして、割増賃金率は法定されておりますので、その定めを上回らない限り、就業規則にこのような記載をする必要はございません。
法に従えばよいだけの話です。
就業規則が全般的にあいまいというのは極めて危険な状況であるといっても過言ではありませんので、現行法に照らしてしっかり見直しをするようお薦めします。
投稿日:2021/04/12 10:02 ID:QA-0102604
相談者より
ご回答ありがとうございます。思った通りで安心しました。発展途上の会社のため、就業規則の見直しは計画しております。
投稿日:2021/04/12 20:52 ID:QA-0102631大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
17:30-18:00は、1.00倍であるべき
▼残業時間には、法定内残業時間と法定外残業時間の2種類があります。御社の場合、9:00-17:30が所定労働時間ですから、17:30以降が(法定内残業時間)割増1.00倍、18:00以降が(法定外残業時間)同1.25倍の支給が必要になります。
▼疑問の前者では、割増加算部分自体が無視されている(0.00倍)とのことですが、これは明らかに、計算システムの誤りです。ご指摘が正しいということです。
投稿日:2021/04/12 10:16 ID:QA-0102605
相談者より
ご回答ありがとうございます。思った通りで安心しました。
投稿日:2021/04/12 20:53 ID:QA-0102632大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
法律
労基法がすべてですので、法を超える勝手な運用は内規だろうと何だろうと無効です。
勤務時間分の給与を支払うことは基本中の基本ですので、残業割増し不要なことはご提示通りですが、1.0倍の給与支給を免れることはできません。
投稿日:2021/04/12 13:29 ID:QA-0102608
相談者より
ご回答ありがとうございます。思った通りで安心しました。
投稿日:2021/04/12 22:28 ID:QA-0102635大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
おこたえいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、確かに法定内残業、つまり1日8時間以内での残業であれば時間外労働割増部分の賃金支払いは不要になります。
しかしなから、所定の賃金(給料)に関しましては、労働契約上の所定労働時間での勤務に対して支払われているものですので、所定労働時間を超える労働時間が発生しますと、当然ながら法定内残業であっても基本部分の賃金支払いが必要となります。この支払をされませんと、労働基準法第24条に定められている賃金全額払いの原則に反する事になります。
たとえ、就業規則等で法定内の労働時間であれば賃金支払いは行わないといった定めを設けられているとしましても、法令内容が優先適用されこれに反する規則内容は無効となりますので、いずれにしましても当事案での30分の残業時間につきましては基本部分の賃金支払いが不可欠です。
投稿日:2021/04/12 18:08 ID:QA-0102619
相談者より
ご回答ありがとうございます。思った通りで安心しました。
しかし、そのベンダー担当者の以前の勤務先で7:45の所定だったのに対し、8時間に達しないと残業代を加算しないと言う運用が行われていたそうです。それは1日15分の固定残業代が付いた給与だと『内規で』決めていたから、という理由だそうです。もしそうなら、その内訳は社員自身に提示していなければいけないと思います。ずいぶん昔の話なのでしょう。
投稿日:2021/04/12 22:33 ID:QA-0102636大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
所定労働時間が7.5hであり、
固定残業等支払われているわけでもなく、
17:30~18:00について、休憩ということではなく、
労働したのであれば、法内残業は必要です。
投稿日:2021/04/12 18:19 ID:QA-0102620
相談者より
ご回答ありがとうございます。思った通りで安心しました。
投稿日:2021/04/12 22:33 ID:QA-0102637大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
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