業績不振による賃金カットについて
いつも的確にご教示いただきありがとうございます。
業績不振による賃金カットについて相談させて下さい。
当社には労働者の過半数で組織する労働組合はないため、労働者代表と
労使協定を締結しています。
この度、会社の業績不振により、従業員の賃金カットや一時休業を検討
しています。
このとき従業員で集会を開き、多数決で「賃金カットや一時休業は止む
無し」となり、労働者代表がこれに合意した場合、全従業員にそれを適
用することができるのでしょうか?
それとも、原則個別合意となり、反対者にこれらを適用することはでき
ないのでしょうか?
労働組合の場合は、合意すれば全従業員に適用できると認識しています。
よろしくお願いします。
投稿日:2019/10/07 07:00 ID:QA-0087443
- hagarenさん
- 長野県/鉄鋼・金属製品・非鉄金属(企業規模 31~50人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
過半数労働者と締結した労使協定は、基本的には事業上の全労働者に適用は及びますが、賃金は労働者にとってはきわめて重要な労働条件でありますから、それを業績不振のためとはいえ、カットするわけですから、個別に労働者から自由な意思に基づく同意を得て行なう必要があります。
そして、カットの割合が大きければ、当然、労働者の同意も得にくく、それを容易にするためには賃金カットに至る背景や事情を説明し、また説明の順番や想定問答を用意する等のシナリオ等を事前に準備することも大事です。
さらに、就業規則(賃金規定)等に定めがある場合、この規定で定めた条件を下回る同意を取る場合、就業規則を下回る内容の労働契約は、労働契約法12条の規定により無効となり、就業規則上の条件が適用されます。
そこでまず、当該労働条件について就業規則(賃金規定)を改めた上で、個別同意を取る必要がありますが、同意しない社員には、賃金カットはできないということになります
投稿日:2019/10/07 13:57 ID:QA-0087454
相談者より
詳細なご教示ありがとうございます。
投稿日:2019/10/07 17:40 ID:QA-0087479大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
労働組合があっても、賃金カットは、原則個別合意が必要です。
個別合意が得られない場合には、合理性があれば可能とはなりますが、その際に、理由や組合への説明経過等が問われるということになります。
投稿日:2019/10/07 16:01 ID:QA-0087467
相談者より
ご教示ありがとうございます。
賃金が減額されるということは、やはり個別合意が必要というのがよく分りました。
投稿日:2019/10/07 17:41 ID:QA-0087480大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
ハードルは高い
▼労組という登記法人に比べれば、只の労働者代表の持つ権利は根無し草みたいなものです。それでも、労働者代表は、企業内では一定の権限が認められています。
▼このような分り切ったこと云うには訳があります。それは、現在の労働者代表の選ばれた経緯です。些細なことならいざ知らず、事案が、賃金カットや一時休業といった超努級の重大事項なだけに、現代表が選出されたプロセス、投票参加率、賛成率等を含め、その正当性が蒸し返されることが多いからです。
▼その点、懸念がなければ、手続上は、全従業員集会、多数決、代表合意で承認、全従業員にそれを適用かのうとなります。但し、これは、手続上の問題で、その不利益変更の内容は別です。この点、労働契約法10条に明記されています。
▼労働契約法によって、就業規則の変更によって行った「不利益変更」が適法となるためには、「変更の合理性」が必要となります。「変更の合理性」があるかどうかを判断する際に、裁判例では、次の4つの要素を総合的に考慮して判断されています。
▼4つの要素
・労働者の受ける不利益の程度
・労働条件の変更の必要性
・変更後の就業規則の内容の相当性
・労働組合等との交渉の状況
投稿日:2019/10/07 17:09 ID:QA-0087475
相談者より
詳細なご教示ありがとうございます。
とても分りやすく助かります。
違法にならないよう、しっかりと考えて実施したいと思います。
投稿日:2019/10/08 08:06 ID:QA-0087500大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、交渉相手が労働組合であれ過半数代表者であれ、労働条件の不利益変更の際は原則としまして労働者の個別同意が必要とされています。
しかしながら、労働契約法第10条で示されていますように「労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものである」場合には、個別同意を得られなくとも全従業員に適用される事が可能とされています。
従いまして、判断の具体的な基準までは定められていませんが、代表者の同意に加えまして上記条文内容を満たすような合理性のある変更内容であれば、個別同意なくしても変更措置は有効となりえます。
投稿日:2019/10/07 17:33 ID:QA-0087478
相談者より
詳細なご教示ありがとうございます。
安易な方向に流されず、しっかり段取りを踏んでいきたいと思います。
投稿日:2019/10/08 08:08 ID:QA-0087503大変参考になった
人事会員からの回答
- 阿倍野区民さん
- 大阪府/その他業種
会社の業績不振であれば、全従業員に適用できる可能性はあります。
明確な基準はなく、以下の様々な要素を総合的に判断して合理的かどうか、によります。
・業績不振の緊迫度合い
・従業員への丁寧な説明(全員の同意をとれなくとも、相当の努力をしているか)
・減給の程度(10%をこえると厳しい。ただ、明確な基準はないのでこのままでは倒産目前などならそれ以上でも可能性はあるかもしれません)
・従業員以上の割合で役員報酬をカットする
などです。
「業績悪化」「減給」「判例」などで検索すればいくつか減給が認められたケースが出ます。
ただし、ここをクリアしたから適用できる、という話ではなく、
全員減給実施後に社員が違法だと訴えた場合、上記を総合的に判断して判決が出る、ということです。
投稿日:2019/10/07 20:05 ID:QA-0087485
相談者より
詳細なご教示ありがとうございます。
とても参考なりました。
投稿日:2019/10/08 08:09 ID:QA-0087504大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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