年俸制の意義
年俸制を導入する企業がありますが、その意義がよくわかりません。
管理職や裁量労働制適用者であっても深夜勤務割増の支給が必要ですし、
残業代を払わないように年俸制を導入するというのは理由にはならないと思います。
固定残業代を設定するという考え方もありますが、
それは年俸でなく月給制でも設定できるので、やはり年俸制にする理由にはなりません。
また、月例給を年俸の14分の1のようにして14分の2を賞与扱いとすることもありますが、
そうすると、賞与相当分まで割増賃金の算定基礎に入ってしまいますので、
無駄に割増賃金が高くなってしまいます。
そもそも、重い債務を担う契約については、契約期間を短くする方が得だと思いますので、
賃金の支払いという労働契約の条件をわざわざ月極めから年額に設定することについて
何の得もないように感じるのです。
このように考えると、年俸制という制度に何のメリットも感じないのですが、
年俸制を導入するにはどのような意義があるのでしょうか?
切実な相談というわけではなく素朴な疑問というレベルの質問で恐縮ですが、
専門家である皆様のご意見を賜りたく存じます。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
投稿日:2012/08/01 10:52 ID:QA-0050732
- *****さん
- 東京都/コンサルタント・シンクタンク(企業規模 6~10人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
実務面では、手間ヒマを食う、変則制度
「 年単位で決める 」 以外に、年俸制の明確な共通定義は存在せず、その為、導入関連統計の信頼度にも疑問符が付きますが、大雑把なところ、厚労省調査の17.3% ( これも、H18年度 ) といったところでしょうか。 導入企業は、それぞれのメリットを感じて採用されたのでしょうが、執行役員といったような、責任、権限、処遇面で、経営者に近い高級管理職を別にすれば、大多数の社員に関しては、実務管理面では、通常の月給制と変わらず、と言うより、より手間ヒマを食う、変則制度と言ってよいと思います。 ただ、同じ 「 年俸 」 という言葉でも、その中身は、可なり、バラバラであり、同床異夢の感なきにしも非ず、といったところで、立場によって、いろいろな意見があるでしょう。 導入したが、いくばくも経たず、元に戻した事例も少なくありません。
投稿日:2012/08/01 13:10 ID:QA-0050735
相談者より
ご回答ありがとうございます。
>実務管理面では、通常の月給制と変わらず、
>と言うより、より手間ヒマを食う、変則制度
やはりそうなのですね。
それなのにもかかわらず、年俸制に対して
疑問視する声があまり聞かれないことを
常々不思議に思っておりました。
まだ、そのようなデメリットに対する認識が
よく浸透していないということなのでしょうか?
参考になりました。ありがとうございます。
投稿日:2012/08/01 13:33 ID:QA-0050739大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
実務面では、手間ヒマを食う、変則制度 P2
メリットは喧伝しやすいのですが、ディメリットの方は、やって見なければ分らないということは、ままあることだと思います。
投稿日:2012/08/01 13:46 ID:QA-0050741
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
おっしゃる通りで、純粋な会社側の目線のみで考えますと、年俸制に殆どメリットはないものといえます。実際、余り深く考えもせず一種のトレンド感覚で導入している会社もあるものといえるでしょう。私見でも年俸制の安易な導入には反対する立場です。
ただ逆にいえば、年俸制にすることで従業員、特に管理職等一定の重責を荷う立場の方に採りましては、固定年俸ですと当該年度につき安定した収入が確保されますので魅力的な制度になりえるものと考えられます。また、変動年俸制ですと業績に応じた賃金アップ制度を整える事によって月給制よりも賃金上昇が見えやすくなり相応のインパクトがあるものといえます。
つまり、有能な従業員に対する処遇という観点から目的を明確にした上できちんと制度設計すれば年俸制が有益になる場合があるといえるでしょう。
投稿日:2012/08/01 20:22 ID:QA-0050748
相談者より
ご回答ありがとうございます。
確かに、会社側からの視点に偏り、社員の目線で考えていませんでした。
しかし、まだ疑問が残るのです。
>月給制よりも賃金上昇が見えやすくなり相応のインパクトがある
この点なのですが、月給制でも業績との連動性はある程度図れるのではないかと思うのです。
また、労基法の下では、月給制でも結局はある程度安定した収入を保護されますし、
逆によっぽどひどい仕事をしている場合は、年俸制でも賃金カットは可能なんじゃないかと思うのです。
反論ばかりで申し訳ありません。
でも、結果的に年俸制に対する認識が深まりました。
本当に、ありがとうございます。
投稿日:2012/08/01 21:01 ID:QA-0050751大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
成果給の一つ
万能の制度はありませんので、導入の目的により、メリットにもデメリットにもなるでしょう。年俸制は外資企業等中心に導入されて来たように、成果に対する処遇の明確さが特長だと思います。成果が評価を受ければ昇給も100万単位で可能であり、逆もあります。
しかし月給制ではここまでドラスティックな変動は合わないでしょうから、対象者の立場や職務分掌により有効な場合もあると言えると思います。
投稿日:2012/08/01 21:32 ID:QA-0050753
相談者より
ご回答ありがとうございます。
タイトルの「成果給の一つ」という表現でなんとなく理解しました。
事業年度の結果を個人の処遇にストレートに反映させるという、わかりやすくドライな賃金制度であるということなのですね。
事業年度の結果を反映させるには、同じタームで年俸と表現した方がストレートに示せるということなのかと気づきました。
だいぶ整理ができました。
ありがとうございました。
投稿日:2012/08/01 23:40 ID:QA-0050754大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
こちらこそご返事頂き感謝しております。
「月給制でも業績との連動性はある程度図れるのではないかと思うのです。
また、労基法の下では、月給制でも結局はある程度安定した収入を保護されますし‥」
― おっしゃる通りですね。ただ、人間の心理としまして、結果としてはそうであっても月毎よりも年収ベースでの増減比較や収入保証の方が印象が強くなりがちというのもまた事実ではないかと考えます。勿論、これは個人の考え方にもよりますし、正直細かい点をつけば幾らでも議論の余地は残るでしょう。但し、実務上人事担当者としましてはそうした答えの明確に出ないような事柄を深く追求されるよりも、御社事情に合った制度設計をされる事に尽力されるべきと感じています。
投稿日:2012/08/02 09:54 ID:QA-0050756
相談者より
重箱の隅をつつくような返信をしてしまい申し訳ございません。
長年の疑問点であったため、少しこだわりすぎてしまいました。
しかし、おかげさまでかなり理解が深まり整理ができました。文献に当たるだけではそうはいかなかったと思います。
誠にありがとうございました。
投稿日:2012/08/02 10:01 ID:QA-0050757大変参考になった
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