年次有給休暇の退職時買い取りについて
年次有給休暇の退職時買い取りについてご相談させてください。
従前よりいわゆるグレーゾーンのものと認識しており、買い取り行為自体は適法なのでしょうか?
実態として、従業者の退職時に年次有給休暇を全て消化されてしまうと業務引継ぎの妨げとなるため、本人同意のもと買い取りを実行してよいものか迷っています。
また、買い取りの場合、月給を日給換算し算定すればよろしいものでしょうか。
よろしくお願い申し上げます。
投稿日:2025/07/16 15:23 ID:QA-0155526
- 人事総務頑張るさん
- 東京都/その他業種(企業規模 101~300人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、グレーゾーン等ではなく買取行為は原則違法行為とされます。
その上で、例外的に退職で未消化にならざるを得なくなった年休分については買取をされても労働者に有利な措置となる事から可能とされています。
但し、本人が退職日までに年休取得を希望されている場合ですと、消化が優先されますので注意が必要です。
投稿日:2025/07/16 19:21 ID:QA-0155543
相談者より
服部 康一 様
このたびは貴重な情報をいただき、誠にありがとうございます。感謝いたします。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
投稿日:2025/07/18 12:00 ID:QA-0155661大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.年休の退職時買い取りは「適法」か?
はい、退職時における未取得年休の買い取りは、法的に認められています。
(1)根拠
労働基準法第39条では「年休の時季指定権」や「年休の時効」などが定められていますが、使用者が年休を「金銭で買い取る」ことについて直接規制している条文はありません。しかし、以下のとおり運用上のルールがあります。
(2)原則:在職中の年休の買い取りは違法
年休の趣旨は「心身の疲労回復」。
したがって、在職中に年休を金銭で補填することは、労働基準法違反(行政通達により)とされています。
(3)例外:退職時の年休買い取りは違法ではない
退職により年休を取得する機会が完全に失われるため、
未消化分を本人同意のもとで金銭精算(買い取り)することは適法とされています。
【参考通達】昭和63年3月14日基発150号「退職時に未消化の年休が残っている場合、労使間の合意により、金銭により精算することは差し支えない」
2.業務引継ぎとの関係:消化させず買い取りしてよいか?
本人が年休の取得を請求している場合は、原則としてこれを拒否することはできません(時季変更権の濫用はNG)。
例外:正当な時季変更権の行使が可能な場合
年休の時季変更権(労基法39条5項)は、業務の正常な運営を妨げる場合に限って使用者が行使できますが、退職が決まっている従業員に対して時季変更権を行使することは、通常「適切でない」とされています(事実上取得機会がなくなるため)。
そのため、本人が年休の取得ではなく買い取りを望んでいる場合に、買い取りで合意することは妥当です。
3.買い取り額の計算方法
(1)基本的には「賃金の1日分」で算出
労基法では「年休の賃金=所定労働日の通常賃金」とされています。
月給制の場合、月給を所定労働日数または所定労働時間で日割計算して算定する方法が一般的です。
(2)例:月給30万円/所定労働日数20日なら
1日当たりの年休買い取り額 = 30万円 ÷ 20日 = 15,000円
ただし、労使合意でこの方法以外(所定時間×時間単価 など)を採用しても差し支えありません。
4.実務上の注意点
本人同意を必ず文書で得てください(「○日分の年休を金銭精算により放棄する」旨)。
就業規則や退職手続マニュアルに「退職時年休の買い取りは本人申出に基づく合意により可能」などの記載があるとベターです。
社内慣行化すると「取得を促さず買い取りで済ます企業」として誤解を受けるリスクもあるため、一定の運用基準(例:退職日までに業務上取得困難な場合など)を設けましょう。
5.まとめ
項目→回答
退職時の年休買い取り→本人同意のもとであれば適法
引継ぎとの関係→本人が取得希望なら原則拒否できないが、本人が買い取りを希望するならOK
買い取り額の算定→月給を日給換算(例:月給÷所定労働日数)で算定が一般的
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/07/16 19:31 ID:QA-0155545
相談者より
井上 久 様
この度は、大変詳しく、また理解しやすくご教示いただき、誠にありがとうございます。
弊社での今後の方向性を定めるにあたり、大変貴重なものでございます。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
投稿日:2025/07/18 12:03 ID:QA-0155662大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
有休の買取は原則として禁止されています。
ただし、例外として、退職時には買い取ってもいいとしています。
買取額は法律で決まっておりませんので
例えば1日一万円や五千円など
労使間で定めて下さい。
投稿日:2025/07/16 19:44 ID:QA-0155549
相談者より
小高 東 様
この度は、ご教示いただきまして誠にありがとうございます。
感謝いたします。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
投稿日:2025/07/18 12:03 ID:QA-0155663大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
年次有給休暇の買取り行為は、原則、禁止されております。
しかしながら、例外として、退職時において、本人の自由意思に基づく
同意があれば、買取り行為も適法とされております。
会社側の強要はNGとなり、本人には拒否権もございます。
買取り時における支給額の決定方法は、
労働基準法第39条第9項では、買取金額の計算方法として、
「通常の賃金」「平均賃金」「標準報酬日額」の3つが規定しています。
貴社の就業規則等に買取時の算出方法に指定があれば、通常、そちらに従い
ますが、特段無ければ、最も本人優位な計算結果を用いるのが良いでしょう。
最も多く採用されるのは、通常の賃金となります。
・通常賃金で計算する場合
月給 ÷ 当月月の所定労働日数
・平均賃金で計算する場合
直近3ヶ月の総賃金 ÷ 期間の総日数(暦日数)
・社会保険の標準報酬月額 ÷ 30日
投稿日:2025/07/17 07:40 ID:QA-0155567
相談者より
米倉 徹雄 様
この度は貴重なご見解をいただき、誠にありがとうございました。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
投稿日:2025/07/18 12:04 ID:QA-0155664大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
労働者の権利・義務
以下、回答させていただきます。
(1)年次有給休暇の買い取りについては、次のような通達があります。
年次有給休暇の買上げの予約をし、これに基づいて法第39条の規定によ
り請求し得る年次有給休暇の日数を減じないし請求された日数を与えない
ことは、法第39条の違反である。
(2)以上を踏まえ、法令遵守徹底の観点にたち、本人同意があったとしても買
い取りは実行すべきではないと考えられます。
(3)一方、労働契約法では、労働者に対しても、「労働契約を遵守するととも
に、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならな
い」としています。
(4)こうしたことを踏まえ、従業員に対して、時季指定権を適切に行使し、ま
た、業務命令に対して誠実に取り組むことが求められていることについて丁
寧に説明することが考えられます。
投稿日:2025/07/17 08:13 ID:QA-0155571
相談者より
服部 高明 様
多方面からのご知見をいただき、誠にありがとうございます。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
投稿日:2025/07/18 12:07 ID:QA-0155665大変参考になった
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