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【ヨミ】オーガニゼーショナルディベロップメント OD(organization development)

「OD」とは、organization developmentの略で、日本語では「組織開発」と訳されます。「OD」は、人の集まりを組織として機能させるための取り組みの一種であり、組織内の当事者が自らの組織の有効性と健全性を高めるために、行動科学の理論や手法を活用しながら組織に計画的に介入し、組織風土の改革を進めることをいいます。人材開発が「人」そのものを対象とするのに対し、人と人の「関係性」や「相互作用」を対象とし、それが好ましい方向に変化するように働きかけるのが組織開発のアプローチの特徴です。近年、広まりつつあるチームビルディングやファシリテーション、ワールドカフェなどの手法は、いずれも組織開発のメソッドとして考案されました。
(2017/1/27掲載)

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OD(organization development)のケーススタディ

有能な個人の集まりが優れた組織とはかぎらない
人ではなく、人と人との“関係性”に働きかける

グループ・ダイナミクスなどの社会心理学や組織心理学を源流とする「OD」の技法は、1950年代後半にアメリカで創始されました。元来、人種や民族、宗教、文化など多様なバックグラウンドをもつ人々で社会が構成されていることや、個人主義的な国民性であることから、欧米の企業は、大量に集めた従業員を組織化して、機能させることに腐心してきました。結果、ODすなわち「組織開発」の概念や技法が発達したのです。

こうした経緯からもわかるように、組織とは、ただ人が集まれば自然と形成されるものではありません。また、有能な個人の集まりが、必ずしもパフォーマンスに優れた組織になるわけでもありません。そもそも組織とは何か。組織開発の第一人者であるエドガー・シャインは「ある共通の明確な目的、ないし目標を達成するために、分業や職能の分化を通じて、また権限と責任の階層を通じて、多くの人びとの活動を合理的に協働させることである」と定義しています。組織開発とは、人の集まりがこうした協働のシステムとして機能するように、意図的かつ計画的に作り込んでいくための働きかけのことです。

組織開発とよく対比される人材開発では、アプローチの対象は個としての「人」ですが、組織開発では人と人との「関係性」や「相互作用」がアプローチの対象となります。たとえば、「若手社員のリテンション(離退職の引き留め)」という人事課題があったとしましょう。これを解決するために、人材開発のアプローチでは、若手社員がなぜ辞めるのか、その原因を若手社員自身に求めて、カウンセリングや研修の提供、あるいは配置や評価の見直しなど、本人に対する人事管理施策を講じるのが一般的です。

一方、組織開発では若手本人より、むしろ本人と上司や職場のメンバーとの関係性に問題があると考えます。本人に求められる役割や成長目標について上司との共有が十分でなかったり、本人と他メンバーとの間で業務の進め方や職場のルールなどに関する認識のずれがあったりすることもあるでしょう。そうした関係性の改善を促進し、組織の風土そのものを変えていくために、個人への管理施策だけではなく、本人と周囲との対話の創出や全員が参加するワークショップの開催などを通して働きかけていくのが、ODのアプローチの特徴です。

解決すべき人事課題は同じ「リテンション」でも、個人への支援や待遇改善による引き留めか、あるいは自ら留まりたくなる職場づくりか、アプローチの違いによって展開する解決策のコンセプトも変わってきます。

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