【ヨミ】ファシリテーション ファシリテーション
(2017/2/13掲載)
『世界で一番やさしい会議の教科書』の著者で業務改革コンサルタントの榊巻亮氏(ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ)の試算によると、日本の一般的なビジネスパーソンが一生のうち会議に費やす時間は3万時間だといいます。労働時間のじつに3割が、何らかの会議や打ち合わせなどに充てられている計算です。長時間労働の是正に向けて、“長すぎる”会議の効率化、生産性向上は喫緊の課題といえるでしょう。
「日経情報ストラテジー」が2016年11月にICT系情報サイトITproで実施した『会議実態調査』でも、「効率的な会議」ができているという回答者は全体のわずか13.2%に過ぎませんでした。参加する会議の問題点をたずねた質問では、「特定の人がしゃべっている」が58.5%で最も多く、次いで「脱線する、時間がかかる、密度が薄い」(49.1%)「納得感がない」(40.6%)「意見が出ない」(35.9%)などが問題点として挙げられています。
意見が出ないのも問題ですが、逆に意見やアイデアをどんどん主張する人ばかりが集まったからといって、会議の生産性が上がるとはかぎりません。話し合いの場とプロセスに適切に介入して、会議を取りまとめるリーダーがいないと、意思決定のための会議なのか、情報共有が目的なのかといったところからぐらついて、収拾がつかなくなり、時間ばかり浪費することになります。そうした会議の仕切り役を担うために活用されるのが、「ファシリテーション」の技術です。
特定非営利法人日本ファシリテーション協会の公式サイトによると、ビジネス分野への応用は1970年代頃からアメリカで始まりました。会議を効率的に進める手法として開発され、やがて現場主導型の業務改革などに活用されるようになったのです。アメリカでは現在、ファシリテーションは専門技能として認知され、重要な会議にファシリテーターが置かれることは珍しくありません。日本でも言葉自体は一般的になってきましたが、そのスキルがビジネスの現場に普及・定着し、日本の会議を変えてくれるようになるまでには、まだ少し時間がかかりそうです。
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