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【ヨミ】ハイグウシャコウジョ 配偶者控除

「配偶者控除」とは、納税者の配偶者の収入が年間103万円以下の場合、納税者本人に適用される所得控除のことです。例えば妻の年収が103万円以下であれば、夫に対し配偶者控除38万円が適用され、その分夫の手取り収入が増えることになります。 また妻に対しても給与所得控除65万円と基礎控除38万円が適用されるため、妻は所得税を支払う必要がありません。妻の“内助の功”を評価し、専業主婦世帯や妻がパートなどで補助的に働く世帯の負担を軽減するために設けられた税制上の措置ですが、一方で女性の就労拡大を阻害する要因にもなっているとして、現在は女性活躍推進の観点から同制度の撤廃・見直しが議論されています。
(2014/9/8掲載)

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配偶者控除のケーススタディ

女性の活力を封じ込める“103万円の壁”
働きたくても働けない現実にどう対応するか

女性の活躍推進を成長戦略の柱に据えた政府は、それを妨げている各種制度の見直しを始めています。税制上で問題とされるのは、いわゆる“103万円の壁”。103万円の壁とは、年収103万円を超えないように就業調整を行う既婚女性が多いことから、こう呼ばれています。妻が年収103万円以下であれば、夫の所得税負担が軽くなる「配偶者控除」があるためです。夫の勤務先での配偶者手当もこの額を基準に支給する企業が多いことから、パートで家計を支える既婚女性は、103万円を収入の分岐点として強く意識しているのが現状でしょう。

厚生労働省の「平成23年パートタイム労働者総合実態調査」によると、配偶者がいるパートタイム労働者の約2割が就業調整を実施。そのうち3割超の人が理由として「年収が一定額を超えると配偶者の税制上の配偶者控除が無くなり、配偶者特別控除が少なくなること」を挙げています。ちなみにパートタイム労働者は約9割が女性です。

配偶者控除の制度が導入されたのは1961年。終身雇用や年功制など伝統的な日本型雇用システムが高度経済成長を牽引した時代であり、「男性は仕事、女性は家庭」という伝統的家族観がそうした日本型雇用システムを裏支えしていました。しかし労働力人口の減少に伴い、もはや男性正社員だけを念頭に置いた雇用システムは立ち行かなくなりつつあります。女性にも単なる補助的・縁辺的労働力ではなく、中核人材としての活躍が求められていることは論をまちません。こうした背景から、政府は女性の活力を103万円の壁で封じ込めるような制度を見直そうと動き始めました。

もちろん単純に103万円の壁を取り払っただけで、女性の就労拡大が促進されるわけではないでしょう。そもそも家事育児との両立や再就職の条件に高い“壁”があるため、働きたくても働けないという女性も少なくありません。学童保育施設の整備拡充や長時間労働を前提とした働き方の改善、再就職市場における仕事とのマッチングなど、多面的な就業支援をあわせて行っていく必要があります。また配偶者控除を見直すと、主婦世帯は増税になる可能性もあることから、与党内には慎重論も根強く、2014年6月、首相の諮問機関である政府税制調査会は同制度見直しに関する結論の見送りを決めています。

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