改正男女雇用機会均等法
職場や雇用関係において、男女ともに均等な機会を与え、平等を規定した法律です。2007年4月から施行されます。これまで課題とされていたことの多くが改正の対象となっています。
(2006/9/15掲載)
日本の法律では初めて「間接差別の禁止」が盛り込まれ
女性だけでなく男性へのセクハラ防止も企業に義務づけ
女性のみを対象とした取扱いや女性を優遇する取扱いを原則として禁止する一方、雇用の場で男女労働者間に事実上生じている格差を解消することを目的として、1985年、男女雇用機会均等法が制定されました。ただ、これまでの均等法は、「女性だから」という直接的な差別を対象としていた女性差別禁止法と言えるものでした。
2007年4月からの改正により、均等法は、女性差別禁止から「男女両方を対象とした性差別禁止法」と、性格が大幅に変わります。たとえば、女性のみ、男性のみを採用することを禁止すると同時に、保育士、看護士を希望する男性が、男性だからという理由で不採用とされれば、均等法違反で訴えることできます。また、セクシャルハラスメント対策も強化されました。これまでも企業は、セクハラ防止のために事前対策を講じ、就業規則に記載するなど、セクハラ防止のための配慮が求められてきましたが、今回の改正によって、これまで女性に限ってきた性差別を男性でも禁じ、今まで見過ごされがちだった女性上司から男性へのセクハラも、調停の対象となりました。
そして、今回の改正で日本の法律では始めて、「間接差別の禁止」が盛り込まれました。「間接差別」とは、表面上は性別に無関係であっても、結果的に採用や昇進の男女差別につながる処遇のことを指します。改正法の中で間接差別の事例とされたものは「合理的な理由がないにもかかわらず、募集・採用で身長、体重や体力要件を示す」「総合職の採用にあたって全国転勤を要件にする」「昇進の際に転勤経験を要件にする」の3点。これにより、一方の性に厳しい条件を課す「形を変えた」差別が禁じられます。ただ、3つ以外に問題がないわけではありません。これでは変化する差別に対応できないのでは、という懸念から、「間接差別は省令の規定以外にも存在しうる」として、機動的に見直すことも規定に加えられました。
さらに、今までの均等法では、妊娠・出産を理由に解雇することを禁止していましたが、改正法によって、解雇だけではなく、不利益取扱いの禁止として、正社員からパートへの変更、退職勧奨なども禁止されることになりました。
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