異動ができない社員への処遇について
いつも参考にしております。さて、人事異動において、家庭の事情や本人の身体的な事情により、転勤や職種の変更ができない社員がいます。現状では、異動の内示段階で、諸事情がある場合は、苦情申請ということで受付けて、内容を検討、受理すれば異動先の変更などで対応しています。しかしながら、家庭の事情も様々であり、その判断もケースバイケースとなり、公平性を保つことが難しいこともあります。また(本来そういうものだと思うのですが・・・)多少無理してでも、異動を受け入れて、頑張っている社員も多数いると思うとやりきれない思いになります。そこで家庭の事情や身体的な事情により、転勤や職種の変更ができない社員は、予めその旨を申請制にして、その制限の範囲に応じて、賃金を減額するか、資格等級に制限を加えるとかはできないものでしょうか?ちなみに異動に関しては、「1時間30分を超えない範囲」という元々の規程があります。昨今、労務上の問題も少なくなく、フレキシブルに異動を行いたいと考えるのですが、家庭の事情や身体的な事情を既得権のように据えて、異動に対する苦情がある状況をなんとかできないものかと思っています。
投稿日:2007/02/15 10:09 ID:QA-0007570
- 人事労務ばたけさん
- 滋賀県/その他業種(企業規模 501~1000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
一般的な異動命令につきましては、就業規則に定めがあれば広く会社の人事裁量として認められるところです。
但し、その内容が本人にとって非常に大きな不利益をもたらす(例えば、本人が看護を要する家族を抱えている等)場合には例外的に異動命令が人事権の濫用とされるケースもあります。
というわけで、過去の判例等を見ましてもあくまで個別の事情によって異動命令が適切かどうかは判断されますが、原則としては異動命令を行うことは会社にとりまして当然の行為ですので、世間一般でよくある個人的な事情のみで異動を拒否されることは認められないと考えてよいでしょう。
尚、減給等を含めた異動命令拒否への制裁については就業規則での明記があり、その内容が合理的なものであれば認められるでしょう。
投稿日:2007/02/15 11:34 ID:QA-0007574
相談者より
投稿日:2007/02/15 11:34 ID:QA-0033051参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
異動免除社員の別体系管理について
■「契約自由の原則」と「同一労働・同一賃金の原則」のいずれも労働契約上の重要な法規範ですが、前者を具体的課題について実現するため後者の原則を適用される関係にあります。然し、現実課題に適用する場合にはしばしばクラシュを引き起こします。今回のご相談事例においても、個人的事情を「同一労働・同一賃金原則」の例外として処理することは、100件に関して100種類の対応が発生し、後遺産物として社員間の不協和音を引き起こしかねません。
■転勤や職種の変更を求められない(義務免除)社員について、賃金ないし資格面において別体系管理を制度的に行うことによってのみ、このようなエンドレスに発生する個別問題が合理的に解決するものと考えます。因みに、異なった処遇体系が許容されるば場合としては次のような要件が考えられます。
① 従事する職種
② 作業の内容
③ 勤務時間や日数
④ 残業義務の有無
⑤ 転勤義務の有無
⑥ その他の義務の有無
■以上を踏まえて、社員の申請と会社の審査を条件に、別賃金体系・別職種体系のご検討の方向は好ましい選択だと思います。勿論、義務免除の結果とは言え、形式上(やり方によっては実質的にも)対象者に対する明らかな労働条件の不利益変更になると思われますので、諸般の条件を十分ご考慮頂くことが欠かせません。
投稿日:2007/02/15 13:39 ID:QA-0007576
相談者より
投稿日:2007/02/15 13:39 ID:QA-0033052参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 関野 吉記
- 代表取締役社長
異動について
投稿させて頂きます。
【ご相談内容】
家庭の事情や身体的な事情により、転勤や職種の変更ができない社員は、予めその旨を申請制にして、その制限の範囲に応じて、賃金を減額するか、資格等級に制限を加えるとかはできないものでしょうか?ちなみに異動に関しては、「1時間30分を超えない範囲」という元々の規程があります。
異動については一般的に以下の3点に注意する必要があります。
①異動・転勤につき予め対象者の範囲・ルールが記載されており、従業員がその情報を知りえることが出来るようになっている。
②総合職・一般職(地域限定社員)「2007/4/1からは注意」がある場合には、どちらで雇用契約を結んでいるか確認する。
③上記以外であっても就業実態(全国に拠点があり、他社員が異動につき認識し、自らが相当な不利益「介護する親族と同居…など」を被らない限り、その辞令を享受している…など)
異動・転勤辞令については色々な判例がございますが大枠上記があるかないかで【人事権の濫用】があったかどうかを判断しているようです。
御社の場合、すでに配置転換・転勤についての明文化及び実態とがあるものと見受けられます。
であれば(辞令を出した社員が地域限定社員でないとするならば)ご相談内容から勘案するに、当該社員の方が辞令を享受せざるをえない環境であると言えます。
しかしながら会社として「一律に減給制度」を設けることは難しいと考えます。それは減給が一律に転勤を希望しない人に該当するということになると、やむを得ない理由で一時的に転勤できなくなった方にとっては不利益な処遇となってしまい、権利の濫用と判断される場合もありますし、「理由により」処遇に差をつけることは、懲戒・解雇とあまり変わらない形になってしまいます。
また「資格等級に制限」を加えること=複線型人事管理(総合職・一般職に分けて処遇する管理)に近いものと理解致しましたが、今回の均等法改正を考えると、これを適用するのは慎重にならないといけないと考えます。
社員には、これからも様々な理由で転勤について不満を漏す方々が出てくると思います。人事部の皆様には骨の折れるところだと思いますが、しっかり懲戒なども含めたルールを整備し、採用の際にも予め個々に転勤がある旨を伝えるなど、個別の細かなケアで対応する方法が、1番リスクが低いと考えられます。
ご参考になったでしょうか。
投稿日:2007/02/16 11:08 ID:QA-0007584
相談者より
投稿日:2007/02/16 11:08 ID:QA-0033057大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
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