人事異動拒否
就業規則で人事異動についての規定は一切ありません。
今回本人は現在の部署でもっと勤務したいというだけの理由で就業規則で「社員は人事異動に応じる義務がある」とは記載されていないとして異動を拒否しています。
このような場合本人の同意を得れないと人事異動を発令することは出来ないのでしょうか。
なお過去に本人は何回も異論なく異動しています。また他の社員も過去異動を拒否した者は一人もいません。異動先は郊外の市から本人が居住する本店所在地で、通勤時間も1時間かかっていたのが10分で通勤できるようになります。
投稿日:2010/06/22 13:17 ID:QA-0021226
- *****さん
- 北海道/その他業種(企業規模 11~30人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
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人事異動
配置転換、いわゆる配転とは、同一企業内で、従業員の職務内容または勤務場所を変更する人事異動をいいます。このうち、同一勤務地での所属または職種の変更を「配置替え」といい、勤務地の変更を伴うものを「転勤」といいます。このような意図的または計画的な人事異動であるジョブローテーションは、企業戦略に適った人員の配置、人材の育成・能力開発あるいは士気の維持・高揚を目的として、わが国企業では活発に実施されています。
この配置転換は、使用者の人事権に基づく業務命令によって行われます。使用者の配転命令の法的根拠―これは法文にはありませんが、労働契約にあります。すなわち、就業規則の条項は、それが合理的なものであれば、労働契約の内容となる、というのが判例の立場です。通常、企業が定めている配転条項は、長期雇用システムを機軸としている人事制度のもとでは合理性が認められ、労使間の労働契約において配転命令を容認する合意が成立している、と考えるのです。したがって、使用者は、個々の従業員の同意を得ることなく、従業員の勤務地を決定する権限を有しており、従業員は、原則として配転命令に従わねばならないのです。
投稿日:2010/06/22 13:55 ID:QA-0021227
プロフェッショナルからの回答
- この回答者の情報は非公開になりました
配転命令権の濫用
使用者の配転命令権が肯定されるとしても、その命令を有効とすべきでない特別の事情があれば、配転命令は権利の濫用として無効となります(民法1条3項)。この点について、東亜ペイント事件の判決は、「当該転勤命令につき業務上の必要性が存しない場合又は業務上の必要性が存する場合であっても、当該転勤命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき、若しくは、労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく越える不利益を負わせるものであるとき」と、権利濫用となる場合の基準を示しています(最二小判昭61・7・14)。
その一は、業務上の必要性が存しない場合。通常は高度の必要性は求められていませんが、使用者側に嫌がらせや追い出し目的があったと認定されてその必要性を否定し、配転命令を無効とした下級審の判例があります。
そのニは、不当な動機・目的がある場合。労働組合活動を弱体化あるいは、報復目的で組合の活動家を遠隔地へ転勤させる場合等が考えられます。
その三は、通常甘受すべき程度を著しく越える不利益がある場合。たとえば、従業員の家族の中に障害者や病人がいて、従業員自ら介護や世話をしなければならないという厳しい家庭状況にある場合です。
おたずねのケースでは、この3つめの基準に該当するとはいえないでしょう。配転に関する限り、判例法理は企業に広い裁量権を認めているのです。なお、配転命令が有効であれば、懲戒解雇もできますが、解雇の前に、十分な説明や説得をすることも必要です。
投稿日:2010/06/22 13:55 ID:QA-0021228
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
就業規則に定めのないのが重大な手抜かり、やるべきことは、2つ
■ 人事権は、会社側にあると言っても、就業規則に、人事異動や配置転換に関する記載がないのは、かなり重大な手抜かりです。本人を含め、過去に拒否した事例がなかったといっても、殆どサポート機能は期待できません。労基署では、経営者側の意見が全く通らない可能性すらあります ( 労使間のルールとしての就業規則に記載がないというのは、それくらい危険な事です )。
■ 会社として、やるべきことは次の2点に尽きると思います。
① 会社として、どうしても実施しなければならない異動案件でなければ、命令をスッパリ取り消し、必須の案件ならば、異動に関する本人の条件を聴取し、可能な範囲で受入れ、異動を実行する。
② 就業規則に人事異動や配置転換に関する条項を追加するが、その際、「 正当な理由がない場合、異動命令は拒否できない 」 旨を必ず挿入しておく。
■ 尚、就業規則の追加 ( 或いは、変更・削除 ) の手順は、ご承知だと思いますので、省略しますが、手抜かりなく必要なステップを踏んで下さい。
投稿日:2010/06/22 20:17 ID:QA-0021239
相談者より
投稿日:2010/06/22 20:17 ID:QA-0040478大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- この回答者の情報は非公開になりました
同意の必要性
「就業規則に記載が無かった」という御社の責任がある以上、社員本人の同意を得ないと、もめた際に会社側が不利になるということでしょう。
今すぐに就業規則を改正し、なおかつその社員をそれにあてはめて・・・というのは恐らく現実的には無理かと思われます。それであればご本人を説得するしかありません。
いずれにしましても、異動を拒絶する、というメンタリティは他の業務で支障はなかったのでしょうか?管理体制、評価体制、管理者と対象者の関係性について、説得も含め見直すきっかけかも知れません。
投稿日:2010/06/22 20:35 ID:QA-0021241
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
御利用頂き有難うございます。
異動に関しては当然ながら重要な労働条件の一つになりますし、また異動が全ての従業員に適用される制度であれば就業規則の相対的必要記載事項としまして必ず記載しておかなければならないものです。
異動に関して何ら定めが無いまま異動を強行するとなりますと、根拠のない労働条件を強制することになってしまいますので、そうした対応は行わず本人の同意を得た上で異動させる必要がございます。
また就業規則に定めが無いことを理由に挙げて拒否するといった態度を拝見する限り、法的な知識もある程度備えた従業員と思われますので、トラブルを回避する上でも一方的な措置を採られないことが賢明です。
但し、文面内容からは一見異動が本人にとって不利益とは思われませんので、まずは会社が合法かつ適切な配置を考える上でも異動を拒む具体的理由を確認されるべきです。
職務内容、人間関係、その他処遇面に問題が有るのか、それとも現在の職場の居心地が良いのか、あるいは単に会社を困らせたいのか‥ 本人が事実を話されるか否かは別にしましてもきちんと面談を行い理由を探った上で次の対応を考えることが必要というのが私共の見解になります。
投稿日:2010/06/22 23:07 ID:QA-0021244
相談者より
投稿日:2010/06/22 23:07 ID:QA-0040483大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
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