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退職勧奨に応じず就業もしていない従業員への給与支払について

いつも参考にさせていただいて助かっています。

昨年4月に人事担当として今の会社(小さい外資系IT)に入社しました。
業績はあまり芳しくなく管理・営業部門では定期的に人の入れ替えをして、
秋の新年度(当社は十二月締)予算策定時に、サービス部門についても数名の
人員削減をする決定が下されました。

対象者(業績や評価の低い者)への退職勧奨面談には部門長と私が同席して、
会社の経営事情が厳しくて来年度以降の人件費予算がないことを説明し、
口頭で退職してほしい旨の通知と、転職活動用の猶予期間を提供する条件
(年末までの出社義務免除と給与支払保証)を提示しました。

何人かは勧奨に応じてくれて、無事に次の職場に転職するか、次は決まって
いなくても会社都合で年末には退職しています。
問題は、同意を渋りながらも面談日以降は出社しなくなった人達です。
今さらになって「次が決まっていないし同意もしていないから辞めない」です。

彼らが出社しなくなった時点で、会社としては実質的に同意したものとして
取り扱っていましたが、年末に退職同意書を送っての提出を求めたところ、
「口頭でも書面でも同意していないのでこんなの無効だ」と反論してきました。
おまけに「会社の命令で出社していないのだから新年度も給与支払義務がある」
といった主張もしています。

労使間では労働者側が保護されることを差し引いても、このように一方的に
権利だけを享受することは可能なのでしょうか?
また、就業の実態のない者にまで給与は支払わないといけないのでしょうか?
「働かざる者食うべからず」だと思っています。

外部の知人に相談したところ「普通は1年分位の退職金を積んでさっさと追い出す」
「書面がないのは詰めが甘すぎる」といった指摘を受けました。

ちなみに当社に退職金制度はありません。会社も予算は確保していないようです。
書面は確かに残しておいた方がよかったとは思いますが、部門長からは強い態度で
「不用意に作成するな」と指示され、「今までもこれで大丈夫だったから」と言われて
こちらの意見や提案は聞き入れてもらえません(過去にも辞めさせた例があるそうです)
社長に相談しても「部門内で解決してほしい」と取り合ってくれない状況です。
法務担当者も年末に(勧奨でなく)辞めたばかりで、後任が3月まで入りません。

小さい会社ですので人事は私一人で、リストラ実務の経験もなく、書籍やネットでは
そこまで踏み込んだ情報を見つけられませんでした。
社長はこの件で私を試して、次は私が入れ替えられる番なのかもしれません。

まずは今月25日の給料日をどうすればよいのか悩んでいます。
部門長は「払う必要ない!もう解雇する」と断言して、手続きから外しているのですが、
仮に辞めようとしない人達の言い分も考えると労基法の罰則が適用されてしまう可能性も
ありそうで不安です。(24条の賃金支払と120条の30万円の罰金)
最悪、私か経理の人が25日に銀行振込に行かないといけないのでしょうか。。。

お聞きしたいのは、
1 絶対に書面で同意しないと退職勧奨の合意としてみなされないのか
2 今年度も出社・就業しない従業員に給与を支払わないといけないのか
です。

よろしくお願い致します。

投稿日:2012/01/21 16:59 ID:QA-0047801

disgasさん
東京都/情報サービス・インターネット関連(企業規模 11~30人)

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プロフェッショナル・人事会員からの回答

全回答5

プロフェッショナルからの回答

服部 康一
服部 康一
服部賃金労務サポートオフィス代表

お答えいたします

ご利用頂き有難うございます。

文面を拝見する限りでは、経営層に人事コンプライアンス意識の欠落している典型的な会社といえますね‥ 確かに退職合意の文書すら作成してないというのでは詰めが甘過ぎると言われてもやむを得ないところです。

その上で、読み取れる重要な事実を整理してみますと、
・対象従業員に関する明確な退職の意思は文面のみならず口頭でも確認が取れていない
・対象従業員は会社の指示ではなく自ら勝手に出社しなくなった
・部門長や社長が使用者としての責任ある対応を行っていない
といった事が挙げられます。

こうした点を踏まえまして回答させて頂きますと、1:口頭でも合意は成立しますが、証拠が無いとなりますと否定された場合反論は難しいでしょう。労働契約書等の労働に関わる重要な文書の作成義務については従業員側ではなく会社側に存在しますので、文書が無いことによる不利益は基本的に作成をしなかった会社側が被ることになるといえます。そもそも今回のケースでは口頭でも退職に合意したとは言い難いですので、争っても退職したと認められる可能性は極めて低いといえます。 2:その一方で、退職に合意していないにも関わらず出社しないというのは明らかに無断欠勤といえます。勿論、当人達が主張しているように会社側から出社しないよう命じたのであれば別ですが、文面の通りですと会社としては単に実質的な退職同意ではと推測していたに過ぎませんし、その点は事実に反すると考えられます。そうであれば、ノーワークノーペイの原則に基き給与支払の義務はございません。年末までの出社義務免除と給与支払保証もあくまで退職勧奨に合意した場合の優遇措置ですので、合意していなければこうした措置を採られる義務も生じないものといえます。但し、退職勧奨の段階で強引に退職を迫ったり、同意を渋っているにも関わらず繰り返し同意を催促した場合ですと、事実上の解雇措置とみなされる可能性が生じます。そうなれば、仮に解雇自体が無効となった場合出社が無くともその間の賃金補償を行う義務が生じますので注意が必要です。

恐らくは退職勧奨が退職強要であるか否かが最大のポイントになるものといえます。一連の会社の対応に問題があることからも今後は訴訟に発展する可能性が高いといえるでしょう。そうなればもはや経営者も逃げ場がなくなりますので、事情を経営者や部門長に説明された上早急に労働問題に詳しい弁護士に御相談して対応を検討する等、会社としてきちんと問題に向き合うことが必要不可欠といえます。

投稿日:2012/01/21 22:57 ID:QA-0047802

相談者より

詳細なご回答とアドバイスありがとうございます。

1についてはやはり難しいのですね。。。
2も「条件」とは書きましたが厳密にはそうでもないのです。面談のときは「もう会社には来ないでいいから、転職活動して早く次の所を見つけてほしい」といった言い方をしたこともあり、これを都合よく業務命令と解釈されてしまったのかもしれません(これも書面がないことで知人に指摘されました)。あと、面談後に一度出社してきた対象従業員に対して、部門長が「あれ、なんでいるんだ」と冗談げに言ってしまう場面もありました。
ただ、よくいう「執拗な勧奨」ということはしませんでした。逆に退職同意書を送ったときに「なんでもう少し勧奨の面談しなかったの?」と責められたくらいです。

訴訟になると費用も相当かかると聞いているので、来週来る弁護士さんにも相談してみます。
ありがとうございました。

投稿日:2012/01/22 14:11 ID:QA-0047804大変参考になった

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プロフェッショナルからの回答

川勝 民雄
川勝 民雄
川勝研究所 代表者

担当者の当事者能力を超えてしまっている

会社経営上の都合での 「 整理解雇 」 を、「 勧奨退職 」 で解決しようとしたが、《 考え 》 と《 手順 》 の甘さで、最終段階にきて、難しいトラブルの火種を残してしまったという状況ですね。社長も部門長も、担当者に解決を押しつけて済む問題ではありません。担当者の当事者能力を超えてしまっています。労基署、労組、労働審判、本訴訟、いずれに進むか分りませんが、そうなると、会社責任者のレベルの対応が必要になります。最後のご質問ですが、経緯文書すらもない状況では、(1)書面がなければ、第三者への対抗面で著しく不利になるのは避けられません。(2)労働義務免除 ( 有給、無給を含め ) 問題も、「 言った、聞いてない 」 の水掛論となり、関与してくる第三者の判断になりますが、会社にとって有利な状況とは見受けられません。社長も部門長も、第三者による法的展開がないと動かないのは、事態を悪くするだけです。労基法の罰則適用で事態が解決するわけはありません。

投稿日:2012/01/22 13:24 ID:QA-0047803

相談者より

全体の観点でのアドバイスありがとうございます。

甘さを感じた時点で私ももっと強く主張すべきでした。
部門長も「勧奨に応じないなら解雇するしかないな」とありえないことを言い出しているので、さすがにこれは止めるようにします。
今のところ社内では法的な準備はしていないので、週明けに早めに対応を提起して手配したいと思います。

投稿日:2012/01/22 14:18 ID:QA-0047805大変参考になった

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プロフェッショナルからの回答

小高 東
小高 東
東 社会保険労務士事務所 代表(特定社会保険労務士) 

退職勧奨など

1.退職勧奨は、あくまで勧奨です。本人が合意していないといっている以上、書面等がなければ、合意したことを証明できません。また、実際に渋っていたということは合意までしていたのでしょうか?
退職勧奨に合意しなくとも辞めてほしい場合は、次のステップとして解雇ということになります。
2.まだ、解雇していないということは、出社していなければ、欠勤扱いで、ノーワークノーペイの原則により、無給ということも可能でしょう。
■労働問題に精通した弁護士さんでなければ、法廷でも勝つ見込みは少なくなります。できれば、何度も話し合う姿勢、誠意ある対応が大事です。それでもやむを得ない場合には、訴訟リスクを覚悟の上で、合理的理由等確認し、解雇に踏み切るしかありません。
以上

投稿日:2012/01/23 13:01 ID:QA-0047811

相談者より

ご回答ありがとうございます。
1. 「会社の事情は理解するが、退職勧奨には合意しない」といった反応でした。解雇については要件を満たすのが難しそうですので慎重に進めます。
2. ノーワークノーペイを主張したいところですが、昨年末までは既に支払ってしまったので、それを取り戻すとなると違う意味で多大なる困難が待ち構えていそうです。。。

社長がようやく事の重大さに気付いてくれたので、訴訟の可能性にも備えて準備を進めたいと思います。

投稿日:2012/01/24 03:57 ID:QA-0047820大変参考になった

回答が参考になった 0

プロフェッショナルからの回答

増沢 隆太
増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ 人事・経営コンサルタント

解雇の体制

ご説明の内容ではあまりに会社側の脇が甘いと言わざるを得ません。退職勧奨で収まる可能性を潰したのは経営陣の責任であり、まして出社してきた時に軽口をたたくとは、およそ経営者の自覚の欠けた、こうしたデリケートな人事マネジメント能力への疑問を感じてしまいます。それほど退職勧奨から解雇に至るプロセスは難しいものです。訴訟になって多額の費用が掛かる可能性もあり得ると思います。今からできることは解雇として、すべてのアクションの記録を完全に残し、今後は慎重に解雇手続きとして取り組むことではないでしょうか。もはや経営責任であり、担当者への投げっぱなしのようなことですむレベルでは無いと感じます。

投稿日:2012/01/23 23:09 ID:QA-0047819

相談者より

ご回答ありがとうございます。確かに甘かったです。。。
部門長からは「なんでこんなにこじれるんだ」と言われ、今後は社長の指示で動くことにしました・・・こんな所で愚痴になってすみません。今日は訴訟費用の見積もりと、対象者の心情に配慮した丁寧な対応の準備に臨みます。

投稿日:2012/01/24 03:58 ID:QA-0047821大変参考になった

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プロフェッショナルからの回答

増沢 隆太
増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ 人事・経営コンサルタント

責任の明確化

いえいえ愚痴ったって良いじゃないですか。悪いのは経営責任者です。人事問題、特に人員整理問題ではご自分のマインドセットをしっかりと持ち、自分の責任は自分の責任、経営の責任は経営者の責任、としっかりと明確化しませんと、ご自身が病んでしまいかねません。これは本当に重要な点ですから、しっかり責任「感」回避をして下さい。「(責任を背負って)リストラをした担当が辞めてしまった」というのは美談でもなんでもなく、責任分掌が出来ていない悲劇だと考えます。小職は人員整理・解雇等での支援対象は、整理対象者より、むしろ人事ご担当の方であることを強調しています。

投稿日:2012/01/24 08:36 ID:QA-0047822

相談者より

そう言っていただけると救われます。
弁護士の先生が積極的に協力してくださったので、まだまだ予断を許しませんが、どうにか前に進めそうです。
ありがとうございました。

投稿日:2012/01/24 20:03 ID:QA-0047845大変参考になった

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回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。



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