会の違法性と積立てた余剰金について
社内の従業員による親睦会等のための○○会がございます。
会費は正社員(嘱託)¥2000・パート、アルバイトは¥1000です。
入社=入会が実態で、入社時に労働契約を結びますが、そこで会についての説明がなかったという方や説明が不十分で内容を理解していない状態であっても労働契約書には「資金支払いの控除○○会二千円」と記載がありサインをした事で同意したとみなされると考えます。
そもそも控除の対象が使用者から義務付けられ労働者にとって自由な選択の余地がない場合は自由な意思に基づく同意とはいえないため違法にあたるのではないでしょうか?
会員の大多数は会則の内容どこか存在すら知りません。
会費を給与から天引きされていますが、労使協定を結んでいるのか定かではなく、仮に労使協定を結んでいたとしても会員に周知させておらずその点も違法性を感じております。
表面上は社員のための会といいながら実際には役員や社長の意思が大きく反映される会です。
実態として親睦会や旅行の催しへの参加、不参加の選択のみが出来る状態であり不参加者への還元は全くないため不満の声が多く、現在会員達で会則に基づいて会則改定をする動きをとろうとしています。
そこで会則の改定に伴い今まで積立てた親睦会費(慶弔見舞金と旅行積立金を含む)を1度リセットするための対応について伺いたいです。
会則では親睦会等に不参加であっても返金するなどの規定はないです。
現状は親睦会や旅行へ不参加でも返金や還元は全くなく慶弔見舞金も一度も受け取っていない方もいます。個別の管理はしていませんが、勤続年数に合わせて現金で返金するのは税務上難しいでしょうか?
実態として親睦会や旅行については不参加者が多いのですが積立金をそれに充てて使いきるのが妥当でしょうか?
社内アンケートや会員を招集し議会を開きそこで決定とした方がいいでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします。
投稿日:2025/09/10 03:53 ID:QA-0158010
- BLACKさん
- 埼玉県/輸送機器・自動車(企業規模 101~300人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.会費控除の適法性
原則:労働基準法24条は「賃金は全額払い」を定め、控除は法律に定めがある場合か「労使協定に基づくもの」に限られます。
「○○会費」の天引きは、労使協定(賃金控除協定、いわゆる第24条1項但書協定)がある場合にのみ有効です。
ただし、労使協定があっても「加入・脱退の自由がなく、事実上強制されている」場合には「自由な意思による同意」とはいえず、違法とされるリスクがあります。
→ 実態が「入社=強制加入」「会則周知なし」であれば、違法性を帯びている可能性が高いといえます。
2.積立金の性質と税務上の扱い
(1) 積立金の性質
会費は会社の資金ではなく、社員相互の任意組織の資金。
実際の管理実態(会社口座で管理か、会の独立会計か)によって性質が変わります。
(2) 返金の可否と課税関係
慶弔見舞金や旅行補助に充てられるのが一般的ですが、返金する場合は「給与」とみなされ課税対象」になる可能性があります。
特に「勤続年数に応じて現金返金」すると、退職金・給与の性質を持つと判断されるリスクが高いです。
一方で、「親睦会費を払い戻す」という形で、**拠出額の返金(積立金の返戻)**であれば課税されない取扱いも考えられます。
→ ただし「誰がいくら出したか個別管理していない」場合は返金根拠が曖昧になり、給与課税リスクが残ります。
3.今後の対応(会則改定・積立金処理)
(1) 会則改定の進め方
会員への周知・承認を経て改定することが不可欠。
実務的には以下の流れが妥当です。
アンケート等で会員の意向確認
会則に定める手続き(総会や議決)で改定決定
改定後のルールを明文化し周知
(2) 積立金の処理
選択肢は以下のとおりです。
親睦会活動に使い切る
税務リスクが最小。旅行や懇親会、福利厚生に充当。
不参加者が多い場合の不公平感が課題。
会費を返金する
個別積立の記録がない場合は「一律返金」で処理。
税務上は給与課税リスクが残るため、税務署や顧問税理士に相談必須。
福利厚生の形で還元する
商品券配布、図書カード、会社イベント費用負担など。
実質的に返金に近いが「福利厚生」と整理できる分、給与課税のリスクが軽減される可能性あり。
4.推奨アプローチ
違法性のリスクを下げるため、まずは 「任意加入・任意脱退」を明確化 するよう会則を改定。
積立金については、全員参加型の福利厚生的な使途で消化するのが一番無難です。
→ 例えば「図書カード配布」「全員対象の記念品」「食事会費用補助」など。
どうしても返金を求める声が強ければ、税務上の整理(給与課税かどうか)を税務署に事前相談してから進めるのが安全です。
5.まとめ
給与天引きは労使協定が前提だが、強制加入なら違法性が強い。
積立金は返金すると給与課税のリスクがあるため、福利厚生的に使い切る方が安全。
どうしても返金する場合は、一律返金とし、税務署・税理士の確認を経て進めるべき。
会則改定はアンケート+総会の手続きで決定し、任意加入制に改めることが望ましい。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/09/10 09:34 ID:QA-0158020
相談者より
丁寧なご回答いつもありがとうございます。とても参考になりました!
投稿日:2025/09/10 14:08 ID:QA-0158060大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、法的に問題が生じるのは、労使協定の件になりますので、早急に締結及び周知が求められます。
その上で、今後の対応に関しましては、総会を開催し解散の検討等も含めまして協議の上決議されるのが妥当といえます。
投稿日:2025/09/10 09:36 ID:QA-0158022
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/09/10 14:10 ID:QA-0158062参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
|個別の管理はしていませんが、勤続年数に合わせて現金で返金するのは
|税務上難しいでしょうか?
上記が今後の判断軸のポイントになるかと思案をいたしましたが、個人への
現金返金は、給与所得とみなされる可能性があり、課税対象となることが
あります。特に、金額が個人の勤続年数に応じて算出される場合は、
給与所得と判断されるリスクが高まります。
まずは、税務上の問題を避けるために、税務の専門家であります税理士へ、
ご相談をいただくことをお勧めいたします。
また、税務上の取扱いがグレーであれば、親睦会や旅行等で会員のために
使い切る方向がもっとも無難ではあります。
投稿日:2025/09/10 11:31 ID:QA-0158038
相談者より
ご回答ありがとうございました、とても参考になりました。
投稿日:2025/09/10 14:10 ID:QA-0158061大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
労使協定などの合意の証拠がなければ違法性が高いと判断される可能性も高いでしょう。
税務処理の判断は人事マターではないので、必ず税理士など専門家の確認を得て下さい。
投稿日:2025/09/10 14:50 ID:QA-0158067
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/09/10 17:21 ID:QA-0158079参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。
関連する書式・テンプレート
返金通知書
取引先から自社に指定よりも多く振込があり、返金対応をしたときの通知書です。