休職規定について
当社は就業規則に休職規定を採用しております。
具体的には、私傷病発生後2か月後に、回復していなければ4か月間といったものです。
現在は、発生後1か月半ほどですが、本人は意欲はありますが、運動機能及び言語機能に障害も残る可能性もあり、明らかにいままでの仕事は継続するのが難しいと思われる状態です。部署変更も会社規模的に難しいです。
この場合に、本人に対し退職勧奨を行うことは可能でしょうか。
※もちろん本人の意思を尊重し強制にならないように勧める前提です。
投稿日:2025/08/25 15:33 ID:QA-0157122
- 相談者1914さん
- 岩手県/その他業種(企業規模 1~5人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1. 法律上の整理
休職制度は就業規則に基づいて設けられる会社独自の制度です。
→ 通常は「私傷病によって労務提供ができないときに一定期間、雇用関係を維持しつつ休ませる」仕組みです。
休職期間中は「解雇制限」があります。
→ 労働契約法16条に基づき、解雇は「客観的合理性と社会的相当性」が必要です。
→ 病気療養中に「解雇」するのはハードルが高く、裁判例でも無効とされるケースが多いです。
退職勧奨については、労働者の自由な意思に基づく限りは可能です。
→ ただし「強要」や「執拗な勧奨」は違法な「退職強要」とされ、パワハラ認定される危険があります。
2. ご質問のケースにあてはめると
現時点では「発症から1か月半」「休職制度は2か月経過後に発動」とのことですから、まずは就業規則に則って休職扱いにするのが自然です。
ただし、会社規模的に配置転換も難しく、職務復帰の見通しが薄いとのこと。
この場合に 退職勧奨そのものは可能ですが、以下の点に注意が必要です。
3. 退職勧奨を行う際の注意点
(1)タイミング
休職制度がある以上、原則はその手続きを踏む(2か月経過後に休職開始)。
休職制度を飛ばして直ちに退職勧奨すると「就業規則の趣旨に反する」と問題視される可能性あり。
(2)本人の意思の尊重
「今の制度ではこのまま休職に入る形になりますが、○○さんが復職を強く望んでも、実際には配置転換の余地がなく難しいのが現状です。ご自身としてはどう考えますか?」と、あくまで本人に考えてもらうスタンスが重要です。
(3)選択肢を提示する
休職 → 回復後復職の可能性
休職 → 回復しなければ休職期間満了で自然退職(規定がある場合)
本人の意思による退職(自主退職)
などを整理して説明すること。
(4)記録を残す
面談時の内容は必ず記録化しておく(後日のトラブル防止)。
4. 実務上の進め方の提案
まずは就業規則どおり、2か月経過時点で「休職」に入ってもらう。
そのうえで、会社の事情(部署変更困難・復職見通しが低い)を丁寧に説明し、本人の今後の希望を聞く。
本人が「退職したい」との意思を明確に示した場合のみ退職手続きを進める。
本人が強く「働きたい」と言う場合は、会社都合ではなく「休職・休職満了による自然退職」で対応するのが安全。
5.まとめ
退職勧奨そのものは可能だが、休職制度がある以上は、まず休職に入ってもらうのが筋。
勧奨はあくまで「本人の意思を尊重し選択肢を提示する」形で行うべきで、強要はNG。
本人が納得していない段階で退職を強く促すと「違法な退職強要」とされるリスクがあります。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/08/25 16:13 ID:QA-0157128
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
職勧奨を行うこと自体は可能です。
ご記載いただいた通り、強制等にならないようご留意ください。
但し、現在は就業規則に従えば、まだ休職に入るかどうかの判断前なので、
法律的には休職制度を先に活用するのが適切と考えられます。
この時点で退職勧奨を行うとまだ休職もしていないのに退職を迫られたと捉え
られ、トラブルになるリスクが高いものと思案いたします。
また、他の仕事への配置転換がどうしても実現することができず、
就業規則に休職期間満了時に復職できなければ自然退職との規定があれば、
休職期間満了→自然退職の流れにて対応を行うのが最も安全と言えます。
投稿日:2025/08/25 16:41 ID:QA-0157139
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
休職は解雇回避措置です。
休職規定がある以上は、休職させる必要があります。
退職勧奨をすること自体は可能ですが、その場合には、
ご認識のとおり、強制しないこと、バーターとして、
例えば4か月分の給与を一括支給するなどの条件を提示する必要があります。
投稿日:2025/08/25 17:46 ID:QA-0157158
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、休職規定の詳細内容にもよりますが、文面を拝見する限り4カ月までの休職は可能とされているようですので、そうであれば期間満了まで休職扱いとされるのが妥当といえるでしょう。
その上で、期間満了時点で御社での就労が困難と判断されるようでしたら、新たな業務を創出してまで雇用継続される義務はございませんので、期間満了で自動退職規定があればその措置で、自動退職規定が無ければ退職勧奨→解雇の線で検討されるとよいでしょう。
投稿日:2025/08/25 19:23 ID:QA-0157171
プロフェッショナルからの回答
裁判例
以下、回答いたします。
(1)「休職までの欠勤期間中」の解雇については次の裁判例があり、参考になると考えられます。
[岡田運送事件2002年4月24日 東京地裁判決]
・「就業規則8条ないし10条」は、業務外の傷病による長期欠勤が一定期間に及んだとき、使用者がその従業員に対し、労働契約関係そのものは維持させながら、労務の従事を免除する休職制度であるところ、この趣旨とするところは、労使双方に解雇の猶予を可能とすることにあると解される。
・したがって、かかる休職制度があるからといって、直ちに休職を命じるまでの欠勤期間中解雇されない利益を従業員に保障したものとはいえず、使用者には休職までの欠勤期間中解雇するか否か、休職に付するか否かについてそれぞれ裁量があり、この裁量を逸脱したと認められる場合にのみ解雇権濫用として解雇が無効となると解すべきである。
・平成13年1月31日まで就労不能と診断されており(※)、仮に休職までの期間6か月及び休職期間3か月を経過したとしても就労は不能であったのであるから、被告が原告を解雇するに際し、就業規則8条に定める休職までの欠勤期間を待たず、かつ、休職を命じなかったからといって、本件解雇が労使間の信義則に違反し、社会通念上、客観的に合理性を欠くものとして解雇権の濫用になるとはいえない。
※脳梗塞により同年11月1日から平成13年1月31日まで就労不能とのA病院医師の意見が記載された傷病手当金請求書をB健康保険組合に提出して傷病手当金の給付を受けていることが認められる。
(2)本件においては、上記(1)を踏まえれば、しかるべき時期において、医師の診断によっても、休職期間終了時までには復帰できるという見込みが立たない場合には、退職勧奨は許容され得るものと思われます。
投稿日:2025/08/25 19:43 ID:QA-0157173
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
運動機能及び言語機能に障害が残る可能性があり、従来どおりの仕事の継続も困難であると思われる状態であっても、休職規定がある以上は、まずは休職規定を適用すべきです。
その上で、就業規則等に休職期間満了後元どおりの完全な復職が不可能な場合は自然退職とするといった旨の規定があれば、当該規定に基づき休職期間満了後自然退職で処理するのが、リスクも少なく安全であるといえるでしょう。
ただし、退職勧奨自体は可能です。
ですが、使用者はどこまでも自由に退職を勧奨できるわけではなく、おのずと限界もあります。
使用者から雇用の終了についての働きかけをするということですから、解雇そのものではないとしても、実質的に解雇に近い行為をすることになりますので、慎重な対応が望まれ、度を過ぎれば退職を強いることにもなります。
心構えとしましては、説得の手段・態度、回数、1回当たりの時間の長さ等を十分考慮し、勧奨を遠慮なく断ることのできる雰囲気を保つことに留意し、本人の自由な意思による退職の申し出が可能な状況を維持することが大事です。
運動機能及び言語機能に障害が残る可能性があり、従来どおりの仕事の継続も困難であると思われる状態であれば、勧奨の趣旨を事前に十分説明し、誠意ある対応が望まれます。
投稿日:2025/08/26 08:22 ID:QA-0157192
プロフェッショナルからの回答
対応
基本的には規定がある以上、規定通りに対処する=休職適用かと思いますが、絶対にプレッシャーを含まないよう十分な配慮や証拠も残した上で、本人の健康配慮を話し合うことは可能です。これは退職勧奨と取られないような、あくまで相談、話し合いとなります。
投稿日:2025/08/26 10:32 ID:QA-0157221
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。