身だしなみ規定の法的問題について
現在、多様性の名のもとにあらゆる企業で頭髪の色、ひげ、ピアス、ネイルなどある一定の規定はあるものの自由にしてもよいという風潮にあると思います。弊社もある程度の緩和は考えてはおりますがお客様相手の職場の為、アルバイトには多少の自由は認めつつ正社員の髪色、髪型については厳しい決まりを崩さずに進めようと考えております。また、弊社は男女で規定が違います。男性は黒髪のみ、パーマ、ピアス、ネイル、メイク禁止です。逆に女性はある程度の茶髪は可、パーマ、ピアス、ネイルも可となっており、メイクは必須としております。現在の社会情勢からみると厳しい規定だとは思いますが、お客様の印象管理を第一に考えるとこれが一番の様に思えます。ここで質問なのですが男女で規定が違う事、自由度が違う規定であることは何か法的に問題ございますでしょうか。問題が無いようであればこのまま男性は男性らしく、女性は女性らしさを保ってもらう規定で行こうと思っております。
投稿日:2025/07/10 17:33 ID:QA-0155232
- とこまるさん
 - 大阪府/その他業種(企業規模 101~300人)
 
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
                ご質問いただきまして、ありがとうございます。
 次の通り、ご回答申し上げます。
 1.結論
 男女で異なる服装・身だしなみルールを設けること自体は、
 必ずしも違法とはいえませんが、
 その差が合理性を欠くと判断されると「性別による間接差別」や「不利益取扱い」として問題視されるリスクがあります。
 現状の御社の規定内容は、法的リスクがゼロとはいえず、改善を検討されることを強くおすすめします。
 
 2.法的根拠と問題となりうるポイント
 (1)関係法令
 男女雇用機会均等法第5条・第6条
 性別を理由とする差別的取扱いを禁止
 労働基準法第3条
 労働条件において、性別を理由として差別的取扱いをしてはならない
 労働契約法第3条
 労働者と使用者は信義則に基づいて均衡を図ること
 
 3.問題となる可能性がある点
 規定内容→懸念される法的リスク→コメント
 男性は黒髪限定・パーマ禁止→性別による過度な制限→表現の自由や個人の尊厳とのバランスが問われる可能性
 女性は茶髪・パーマ可→性別で基準に差→なぜ男性だけ厳格なルールなのか、合理的説明が必要
 メイクは女性のみ必須→性役割固定観念に基づく強制→「女性はメイクすべき」という固定観念に基づく規定は、間接差別に該当するおそれあり
 
 4.判断基準:合理性があるかどうか
 身だしなみの規定は、以下のような「業務上の必要性・合理性」があるかによって適法性が判断されます。
 業務内容・顧客層に対してどのような印象を求めているか(例:保守的な業界)
 性別ごとに異なる印象管理が合理的に説明できるか(例:舞台出演者など特殊なケース)
 社員全体に一貫性をもって求めているか(男女に一方的負担がないか)
 
 5.推奨される対応(実務的アドバイス)
 (1)性別ではなく業務内容・役職・顧客対応の程度に応じた基準とする
 例:「顧客対応部門では自然な髪色と清潔感のある外見を求める」など
 → 性別に依らない「職務基準」へ切り替えるとリスクが下がります
 「メイク必須」ではなく「身だしなみとして清潔感が求められる」と表現を変更
 → ノーメイクを理由に指導することは、今後ハラスメントリスクを伴うため注意が必要です
 (2)就業規則・服装規程の見直し・明文化
 → 抽象的な「男女らしさ」より、会社が期待する「業務上の印象・清潔感」などに基づいたルールに
 
 6.まとめ
 観点→現状規定→法的評価→推奨対応
 性別による髪色規制→男性:黒髪限定、女性:茶髪可→×合理性説明が困難→性別ではなく「職務」による基準へ変更
 パーマ・ネイル等の可否→女性のみ可→× 性別による自由度の差→同様に職務基準へ統一
 メイク必須(女性)→女性に限定→× 固定観念的で間接差別の恐れ→「清潔感ある外見」など中立表現へ
 
 7.補足:最近の判例・行政指導の傾向
 近年の判例・行政通達では、性別に基づいた容姿・服装の押しつけは、ハラスメントや差別に該当する可能性が高まっている傾向があります。
 特に若年層・中途採用者からの苦情や訴訟リスクが顕在化してきています。
 
 以上です。よろしくお願いいたします。                
投稿日:2025/07/11 10:12 ID:QA-0155265
相談者より
                詳しく回答いただきありがとうございました。
お伝えいただいたことを基にまた社内で話し合いを進めていこうと思います。                
投稿日:2025/07/11 16:26 ID:QA-0155316大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
                ご利用頂き有難うございます。
 
 ご相談の件ですが、まず「男性らしく」「女性らしく」といった考え方自体がジェンダーレスの観点から問題とされ、ひいてはセクハラの温床にもなりかねませんので、そうした考え方に基づく措置については避ける必要がございます。
 
 その上で、職種上の顧客目線に立った一定の身だしなみ規定に関しましては、直ちに違法性が生じるものではございませんので、現行規定に関しましても今一度社内で広く議論し見直し等について検討される事をお勧めいたします。                
投稿日:2025/07/11 11:00 ID:QA-0155275
相談者より
                ジェンダーレスの観点、ハラスメント観点まで考えながら再度構築していきたいと思います。
返信ありがとうございました。                
投稿日:2025/07/11 16:31 ID:QA-0155317大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
                ご質問について、回答いたします。
 
 差を設けるには、合理的な理由が必要と考えられます。
 
 必ずしも法令に抵触すると断言はできませんが、近年、性別に対する
 取扱いの差については、ハラスメント問題に発展する傾向が増えております。
 
 例えば、男性らしく、女性らしくの表現を用いることは、ハラスメントの
 リスクを高めるものとされております。
 
 よって、本件についても、性別によって一方に不利益な制限を課していると
 評価されるリスクがありますので、避けていただいた方が良いでしょう。
 
 顧客に不快感を与えない範囲の髪色・服装・装飾のように、
 具体性には欠けますが、業務上必要な外見ルールとして明示いただくか、
 
 具体的に定める場合においても、合理的な考え方をもちつつ、性別は問わない
 一律のルール内容としていただくことをお勧めいたします。                
投稿日:2025/07/11 11:24 ID:QA-0155280
相談者より
                性別によってというのは少なからず問題があるという事ですね。詳しくありがとうございました。
参考にさせていただきます。                
投稿日:2025/07/11 17:05 ID:QA-0155321大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
                会社の業務上の判断として、社会通念上、客観的相当性に問題がなければ、
 ただちに法違反とはなりません。
 
 例えば、
 男性のみスーツにネクタイは一般的ですし、
 男性は長髪不可、ピアス不可とし、
 必ずしも男女同条件というわけでもありません。                
投稿日:2025/07/11 14:17 ID:QA-0155307
相談者より
必ずしも男女同条件でなくていいこともあるのですね!ありがとうございます。再度検討していきます。
投稿日:2025/07/11 17:06 ID:QA-0155322大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
                業務上の必要性という点で合理性があれば大丈夫でしょう。
 ただご指摘のように価値判断などが変わっていますので、「男らしい」のような、具体性のない評価はやめ、「男性はスーツ着用」など具体的な指示に変えていきましょう。                
投稿日:2025/07/11 15:21 ID:QA-0155313
相談者より
男らしさ、女らしさというニュアンスにとられかねない表現は控えようと思います。回答ありがとうございました。
投稿日:2025/07/11 17:08 ID:QA-0155323大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
均等法
                【御相談】
  男女で規定が違う事、自由度が違う規定であることは何か法的に問題がありますか。
 
 【回答】
  「男女雇用機会均等法のあらまし」(厚生労働省)(平成26年5月作成)における関連記述について、以下、情報提供させていただきます。
 
    男女雇用機会均等法のあらまし
     2雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等
      (1)募集・採用についての性別を理由とする差別の禁止(第5条)
       Q3 求人誌に募集広告を出すに当たって、「男性の長髪不可」と  
         記載することはできるでしょうか。
 
       A   募集に当たって男女で異なる条件を付けることは、均等法に違
        反します。ただし、男女ともに就労時に清潔な服装や身だしなみ
        が必要とされる業種・業態であって、服装や化粧といった社会一
        般に認められている男女の身なりや身だしなみのあり方の違いに  
        照らして、合理的な理由があり、社会通念上許容されると思われ
        る範囲内で男女異なる取扱いをしている場合は、法違反とはなり
        ません。                
投稿日:2025/07/11 22:30 ID:QA-0155333
    回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
    回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
    ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
    
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