裁量労働制における所定休日出勤について
裁量労働での法定外休日出勤の考え方について相談させてください。
現在、裁量労働の条項を整えています。
土曜日出勤(法定外休日)の取り扱いおよび固定残業時間、残業代について相談です。
下記の通り労使協定をとりおこなっているものとします。
<一般社員>
・所定労働日 :月~金曜日の5日間
・所定労働時間 :7.5時間/日
・月所定労働日数:20日間
・割増賃金/法定外休日:所定労働時間を超えた分を割増率25%で支給
<裁量労働制>
裁量労働制は1日の労働時間しか定めることが出来ず、一週間や月間単位で労働時間を定めることはできない認識で正しいでしょうか。
(残業代等の計算過程で一週間、一か月の労働時間を計算する必要はあるかと思いますが)
その1)所定労働日 :月~金の5日間
所定労働時間:8.5時間/日
月労働日数 :20日間
賃金に20時間分(125%)/月の残業代を含んで支給
法定労働時間ではなく、一般社員の所定労働時間を基本として割増しています。
その2)所定労働日 :月~土の6日間
所定労働時間:8.5時間/日
月労働日数 :24日間
賃金に51時間(125%)/月の残業代を含むものとして支給
法定労働時間ではなく、一般社員の所定労働時間を基本として割増しています。
→そもそも残業時間の考え方は合っていますでしょうか。
その1)の場合、土曜日は裁量労働に含んでいないので、実働時間×125%で給与を支給することを基本と認識しています。
ただ、すでに20時間の残業代を払ってはいるのでそれを充当して、25%の割増賃金のみを支払うことは可能でしょうか。例えば、別途特別条項を定める、労使協定を定めればイレギュラーとして当内容で処理することは可能でしょうか。
その2)の場合、土曜日分の労働時間分をあらかじめ給与に含むのは正しいのでしょうか。実働としては、基本的に土曜日は出勤しません。
お手数をおかけしますが、ご回答いただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いします。
投稿日:2025/04/24 12:17 ID:QA-0151426
- SSSAさん
- 愛知県/情報サービス・インターネット関連(企業規模 31~50人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
以下、回答させていただきます。
その1)
裁量労働制における、みなし労働時間制が適用されるのは、あくまで所定労働日に対してとなります。
そして、所定労働日に対し、1日単位でみなし労働時間が適用され、所定労働時間を超えた時間分を手当として賃金を支払います。
その上で、所定労働日に該当しない日に休日労働を行った際は、貴社で定める通常の休日出勤に対する賃金を追加で支払う必要があります。
つまり、土曜日の出勤に対して25%のみ支払いますと、未払い賃金が生じることとなります。
なお、ご質問者様が記載されております、所定労働時間8.5時間/日は、あくまで所定労働時間は7.5時間であり、
裁量労働制の適用を受けることによって、みなし労働時間として、8.5時間/日労働をしたものとみなす。という解釈となります。
その2)
上記、その1)と同様、ご質問者様が記載されております、所定労働時間8.5時間/日は、あくまで所定労働時間は7.5時間であり、
裁量労働制の適用を受けることによって、みなし労働時間として、8.5時間/日労働をしたものとみなす。という解釈となります。
月~土の6日間勤務の場合、週の所定労働時間を合算いたしますと、40時間を超えることとなります。
労働時間の週の上限(週の所定労働時間合計)は、40時間迄となりますので、このような契約はそもそも不適切となります。
投稿日:2025/04/24 16:38 ID:QA-0151445
相談者より
ご回答ありがとうございます。
みなし労働時間についてご指摘ありがとうございます。解釈について理解しました。
追加で質問させていただけますでしょうか。
その2)の場合、所定労働時間が40時間を超えるので不適切とのことですが裁量労働として協定を結んでいても適切に定めるのは難しいとのことでしょうか。
度々申し訳ございませんが、ご回答いただけますと幸いです。
投稿日:2025/04/24 18:33 ID:QA-0151454大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
項目 その1 その2
土曜は労働日か含めない(所定休日)含める(所定労働日)※出勤しない
土曜出勤時の扱い実働×125%、または25%(20h分充当)原則実働がないので支給不要。ただし制度上課題あり
割増賃金設計月給に固定残業(20h)含む月給に固定残業(51h)含む(実態と合わないリスク)
ご質問の内容は、労務管理上も法的な観点でも非常に重要なポイントです。最終的には、就業規則・賃金規程・労使協定をセットで整備し、文書化しておくことをおすすめします。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
以下の通り、裁量労働制における法定外休日出勤の取扱いや残業代の考え方について、
ご回答申し上げます。
1. 裁量労働制における労働時間の定義について
裁量労働制(専門業務型/企画業務型)は、実際の労働時間にかかわらず、「みなし労働時間」として労働したものとみなされます。
1日単位でみなし労働時間を定める必要があり、週単位や月単位では労働時間を設定できません。ただし、残業代の清算や月額固定給与を設計する場合には、月間所定労働日数×みなし時間という計算が必要になります。
2. ご提示の「その1」「その2」ケースの整理と確認
その1:
所定労働日:月~金(5日間)
みなし労働時間:8.5時間/日
月労働日数:20日
残業代:20時間分(125%)を月給に含めて支給
土曜出勤:裁量労働対象外とし、実働時間×125%支給
コメント:
ご認識通り、土曜日は裁量労働の対象外(所定休日)とする場合、実際に働いた時間に対して割増賃金(125%)を支給する必要があります。
ただし、月給に含めている「20時間分の残業代」を充当して「割増分25%のみを追加で支払う」処理については、労使協定や就業規則で明確に定めることで可能と解されます。
注意点:土曜出勤を「所定休日出勤」と位置づける場合、その労働が裁量労働制の枠外となるため、実労働時間の管理が必要です。
その2:
所定労働日:月~土(6日間)
みなし労働時間:8.5時間/日
月労働日数:24日
残業代:51時間分(125%)を月給に含めて支給
実態:土曜日は基本的に出勤しない
コメント:
この場合、土曜日を形式上「所定労働日」として給与設計しているため、出勤しないならみなし労働は発生していないのに支給されていることになります。
土曜日を実質的に労働日としないのであれば、裁量労働制における「所定労働日」に含めない形の方が、制度設計上も実態に即します。
出勤しない前提で賃金に含めるのは、労働基準法第37条の趣旨(実労働に対する対価)に照らして問題が生じる可能性があります。
3. 割増賃金の考え方について(裁量労働における)
裁量労働制であっても、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えると、割増賃金の支払い義務が発生します。割増の基礎となるのは「みなし時間>法定時間」の部分であり、労使協定によりあらかじめ〇時間分の割増を固定支給することは可能です。
たとえば、みなし時間8.5時間/日 × 20日 = 170時間/月。法定は160時間/月とすると、超過10時間分についての割増(10×25%)が対象になります。
4. 特別条項・労使協定での対応
ご提示のように、特別条項や労使協定において、「月給に含まれる残業代との相殺」「割増部分のみ支給」などのルールを明記することで、一定の柔軟な運用が可能になります。
ただし、明文化されていない場合や、実態と乖離していると、労基署の指導や是正勧告の対象となる恐れがあります。
5.結論まとめ
項目 その1 その2
土曜は労働日か含めない(所定休日)含める(所定労働日)※出勤しない
土曜出勤時の扱い実働×125%、または25%(20h分充当)原則実働がないので支給不要。ただし制度上課題あり
割増賃金設計月給に固定残業(20h)含む月給に固定残業(51h)含む(実態と合わないリスク)
ご質問の内容は、労務管理上も法的な観点でも非常に重要なポイントです。最終的には、就業規則・賃金規程・労使協定をセットで整備し、文書化しておくことをおすすめします。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/04/24 17:34 ID:QA-0151447
相談者より
ご回答ありがとうございます。内容について理解しました。
しかしながら、追加で質問させてください。
その1)に対してのご回答で『「20時間分の残業代」を充当して「割増分25%のみを追加で支払う」処理については、労使協定や就業規則で明確に定めることで可能と解されます。』とありますが、具体的にはどのように定めることが考えられますでしょうか。例や記載する条件などを箇条書き等で教えていただくことは可能でしょうか。
また、実労働時間の管理が必要とのことですが、どのような意味でしょうか。
土曜日の実労働時間が分かるようにすれば問題ないのでしょうか。もしくは平日についても実労働時間を管理し、残業が20時間/月を超えないか確認する必要があるとのことでしょうか。
もし、当内容で協定や就業規則等を問題なく定められたとして、心配な点があります。
みなし労働日も実働時間としては8時間をオーバーして働いているのに、その分は考慮されず土曜日に充当されると従業員の不利益になりませんでしょうか。
その2)に対してのご回答について実態に即した協定とすること、理解しました。
引き続きの質問となりますが、ご回答いただければ幸いです。
投稿日:2025/04/24 18:40 ID:QA-0151455大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答ありがとうございます。内容について理解しました。
しかしながら、追加で質問させてください。
その1)に対してのご回答で『「20時間分の残業代」を充当して「割増分25%のみを追加で支払う」処理については、労使協定や就業規則で明確に定めることで可能と解されます。』とありますが、具体的にはどのように定めることが考えられますでしょうか。例や記載する条件などを箇条書き等で教えていただくことは可能でしょうか。
また、実労働時間の管理が必要とのことですが、どのような意味でしょうか。
土曜日の実労働時間が分かるようにすれば問題ないのでしょうか。もしくは平日についても実労働時間を管理し、残業が20時間/月を超えないか確認する必要があるとのことでしょうか。
もし、当内容で協定や就業規則等を問題なく定められたとして、心配な点があります。
みなし労働日も実働時間としては8時間をオーバーして働いているのに、その分は考慮されず土曜日に充当されると従業員の不利益になりませんでしょうか。
その2)に対してのご回答について実態に即した協定とすること、理解しました。
引き続きの質問となりますが、ご回答いただければ幸いです。
上記のご質問に対して、ご回答申し上げます。
ご質問に対しては、回答の通りです。
なお、「みなし労働日も実働時間としては8時間をオーバーして働いているのに、その分は考慮されず土曜日に充当されると従業員の不利益になりませんでしょうか」
従業員の不利益に該当するか否かについては、最終的には所轄の労働基準監督にお問合せいただければと存じます。
よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/04/24 18:56 ID:QA-0151456
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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